LATEST NEWS 2019年10月26日

極薄炭素層の準結晶 高速で巨大電場生成

 鈴木剛特任研究員(物性研究所)らは、原子1層分の炭素のシートであるグラフェンを30度ねじって2枚重ねた準結晶状態で、質量を持たない電子の状態変化の直接観測に成功した。観測の結果、電子が質量ゼロのまま、100万分の1ミリメートルにも満たない2層の間に10兆分の1秒間で30ミリボルトの電圧が発生することが判明。超高速に巨大な電場を生み出せるため、無線通信の高速化への応用が期待される。成果は7日付の米科学誌『ACSナノ』(電子版)に掲載された。

 

 グラフェンは伝導性や強度に優れ、伝導電子の質量がゼロに相当する特殊な性質から、大規模通信を行う次世代光デバイスの材料として期待されている。炭素原子の層を重ねると電子に質量が生じることが課題だったが、2018年、30度ねじって重ねると特殊な準結晶状態になり、電子の質量をゼロに保てることが判明。一方、デバイスへの応用には、2層の間を移動する電子の制御が必要だ。

 

 今回は、紫外線より波長が短い光を発射する物性研究所開発のレーザーをグラフェンに照射し、質量ゼロの電子の状態変化を測定。30度ねじって重ねたグラフェンで、超高速で巨大な電場が発生した。照射する光の波長、強さを変えれば、2層の電子の質量をゼロに保存したまま電流・電圧を超高速で制御することも可能となる。


この記事は2019年10月22日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

ニュース:変わる高校入試 中学で教育さらに高度化 中高一貫校の高校募集停止の背景
ニュース:リーグ最下位確定 硬式野球立大戦 打線振るわず連敗
ニュース:細胞のインフルへの防御機構解明
ニュース:量子コンピューター大規模化 実現へ加速
ニュース:台風19号 駒場・本郷ともに閉鎖措置
ニュース:AI技術でSNSのハッシュタグを改善
ニュース:極薄炭素層の準結晶 高速で巨大電場生成
ニュース:遠赤色光が光合成促進
ニュース:学生向けスペース「知るカフェ」駒場にも
企画:WHO,ROBOT ロボットと人の役割分担明確に 「ロボット工学三原則」に迫る
企画:音を立てるのは日本文化? 麺の食べ方巡る対立
東大新聞オンラインPICK UP:スポーツ編
東大教員と考える日本の問題:「日本社会と外国人」石田賢示准教授(社会科学研究所)
地域の顔 本郷編:わだつみのこえ記念館
キャンパスガール:戸倉佳音さん(理Ⅱ・1年)

※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。

同じ記者の記事

関連記事

合わせて読みたい

NEWS 2019年10月11日

新型タンパク質「ヘリオロドプシン」構造解明

COLUMN 2019年08月14日

【著者に聞く】リノベーション建築の旅はいかが? 専門家が語る新旧融合の魅力

NEWS 2019年04月29日

世界初 窒素と水からアンモニアの合成に成功

NEWS 2019年03月13日

小児の悪性脳腫瘍の病態を解明 子供の多様ながん治療に応用期待

2019年10月01日

重力波望遠鏡KAGRA本格稼働へ 世界水準の観測精度に期待

TOPに戻る