COLUMN 2017年3月12日

【東大新聞お試し】初心者のための麻雀入門  「不健全」は思い込み

 この記事は、2016年7月12日号からの転載です。東京大学新聞の紙面を限定公開 お試し読みのご案内の一環で4月28日まで限定公開しています。


 酒を飲み、たばこを吹かしてお金を賭け麻雀にそんなイメージを持つ――。マージャン人もいるだろう。しかし、それは麻雀の本質ではない。東大卒のプロ雀士・井出洋介さんと麻雀サークル「白」代表に、麻雀の魅力や初心者へのアドバイスを聞いた。

(取材・加藤憲弥)

 

社会に通ずる真理も

 

 麻雀は4人で卓を囲み、それぞれ14枚の牌で役(上はいがりの形)を作ることを目指すゲーム。牌は全部で136枚あり、手元の牌を1枚ずつ順に入れ替えながら役をそろえる。役は基本的に4組の面子(同じ種類でメンツ連続の数字か、同じ牌を3枚集めた組)と1組の雀頭(2枚の同じ牌の組)で構成される。

 

 井出さんは最高位、名人位など数多くのタイトルを勝ち取り、競技麻雀の普及を目指す「麻将連合μ」を設立したプロ雀士。4歳ごろ麻雀を知ってから家族や親戚と打ち続け、高校や大学で友達と打つときはほぼ井出さんが勝っていたという。「自分はキャリアが長いおかげで勝っているのだと思っていましたが、実はそうではなかったのです」

 

 麻雀でキャリアよりも大事なのは「算数的な確率」を意識することだという。例えば、自分が三萬の牌を2枚持っていて三萬がもう1枚来るのを待っているとする。手元に四萬の牌が来た場合、三萬の牌を一つ捨てれば、待ち牌は二萬と五萬になり、確率は格段に上がる(図)。三萬を待つことにこだわって四萬を捨ててしまうと、自分の手をそろえる機会を逃してしまうというわけだ。

 

 

 さらに、麻雀には「攻め」と「守り」がある。攻めとは自分が上がるために手をそろえること、守りとは相手に上がられないように捨てる牌を選ぶことをいう。自分が捨てた牌が相手の上がり牌だった場合、点数を大きく失ってしまう。麻雀の基礎が分かってきたら、攻守の駆け引きも重要になる。レベルが上がるごとに、麻雀の新たな奥深さを知ることができる。

 

 麻雀の面白さは「全く同じゲームは二度と生まれないところ」と井出さんは語る。同じ役でも、そこに至るまでの牌の捨て方などは人によって違う。「一回ごとのゲームが一つの作品のようであり、毎回新たな作品を生み出すのはクリエイティブ」だという。さらに、麻雀からはいろいろな「真理」を教えられることがある。「麻雀を打つ4人というのは小さな社会。ずっと勝ち続けられるわけではないし、嫌なことも起こるが、楽しむためにはカッとなってはいけない。勝ち負けを越えて4人で打つ場を楽しむことも大切です」

 

 とはいえ、井出さんがこのように考えるようになったのも麻雀を打ち始めてからずっと後のこと。最初のうちは自分が勝つことしか頭になかった。麻雀を打ち続けていると、麻雀の楽しみ方が変わってくるのも面白いところだという。

 

 井出さんは純粋なゲームとしての麻雀を普及するために『マンガでわかる!東大式麻雀入門』(池田書店)などの麻雀入門書も執筆してきた。主婦や高齢者向けの麻雀教室の経験を踏まえて書かれており、「初心者が間違えやすい点をしっかり解説している」という。役やゲーム進行について図を多く使い分かりやすく書かれていて、麻雀初心者だった記者にもとても参考になった。

 

 「まずは一度経験してみれば、きっと面白いと感じるはず。思い通りにいかなくても、続ければ新たな魅力を見つけられます」と言いつつ、「はまりすぎは危険。回数を決めるなどして麻雀と良い付き合いをしましょう。くれぐれも学業に支障のないように(笑)」。

 

実戦で感覚をつかむ

 

白の活動の様子。部員たちが麻雀を打ったり、そ
れを観戦したりしている

 

 東大生の麻雀事情はどうなのか。麻雀サークル「白」代表の今井広規さん(理Ⅱ・2年)は「最近では麻雀を題材にしたアニメなどの影響もあり、大学に入り麻雀を始める人も多いです」と話す。週3回サークルで活動するほか、駒場Ⅰキャンパスでは21KOMCEEなどで空きコマに打ったり、雀荘に行ったりすることもあるという。

 

 今井さん自身は中学生のときに麻雀を打ち始めたが「麻雀にはまだ決定的な戦術と言えるものがなく、自分で研究する人はどんどん強くなるので、大学から始めた人で僕より強い人もいます」。

 

 麻雀のルールや役は難しそうだが、ネットでもルールなどを解説するサイトが多くあり、手軽に触れることができる。麻雀は実力による勝敗だけでなく、勝負が運に左右される面もあるため、基本的な知識さえあれば初心者でも経験者と一緒に打って、勝つこともできるという。実際に麻雀を打つには仲間を4人集める必要があるが、近年では「天鳳」などのネット麻雀が普及しており、仲間を集めずに気軽に楽しみながら練習する人も多い。

 

 ただ、ネット麻雀は実際の麻雀と全く同じではない。例えば、「天鳳」では実際の麻雀よりも守りが重視される傾向があるという。また、オンラインには麻雀で勝つことだけを求める人たちが集まることも。実際の麻雀ではその場の状況などを話しながら楽しむことができ、コミュニケーションが生まれるのはネット麻雀にはない面白さだ。

 

 初心者が麻雀を始めるにはどうすればよいのか。今井さんは「白に来てくれれば最初から丁寧に教えます」と話す。白は154人の部員で構成され、女性も十数人おり、さまざまな打ち方の人と対局できる。「勝てるようになるためには、ルールを覚えて、実戦で打ちながら感覚を身に付けることが重要。白に限らなくても、ネットなどでも試行錯誤しながら打ってみてほしい」

 

 白では小学生への麻雀教室も開いている。小学生たちは最初のうちはルールを覚えるのに苦労するが、すぐに楽しむようになるという。これらの活動を通して、白は「賭けない、飲まない、吸わない」をモットーとする健全な麻雀環境の普及を目指す。「昭和の麻雀の印象からか麻雀に賭けなどの悪いイメージを持つ人も多いけれど、実際にはそんなことはありません。未経験の方もぜひ一度やってみてください」

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