LATEST NEWS 2017年3月15日

【東大新聞お試し】大隅東工大栄誉教授にノーベル賞

 この記事は、2016年10月11日号からの転載です。東京大学新聞の紙面を限定公開 お試し読みのご案内の一環で4月28日まで限定公開しています。


 スウェーデンカロリンスカ研究所は3日、2016年のノーベル生理学・医学賞を大隅良典栄誉教授(東京工業大学)に授与すると発表した。生物が飢餓状態などに際して細胞内で自らのタンパク質を分解し利用する機能「オートファジー」を、世界で初めて分子レベルで解明したことなどが評価された。パーキンソン病や2型糖尿病といった医療分野などへの応用が期待される。

 

 大隅栄誉教授は1972年に東大大学院を単位取得退学し、88年から一時期は東大で研究を行っていた。大隅栄誉教授は東大助教授時代の88年、飢餓状態に置かれた酵母が自身のタンパク質を「液胞」という細胞内の器官で分解していることを世界で初めて観察。オートファジーに関係する遺伝子を特定し、酵母以外の生物にもオートファジーの働きが存在することを突き止めるなど一連の研究を進め、今回の受賞につながった。

 

 受賞発表の同日に記者会見に臨んだ大隅栄誉教授は「研究者としてこの上ない名誉。格別の重さを感じている」と受賞への喜びをかみしめた。「人がやらないことをやろうという思い」で研究してきたと振り返った。「常に研究を支えてくださった故・今堀和友先生(東大名誉教授)、安楽泰宏先生(東大名誉教授)の両恩師に心から感謝の意を申し上げます」とも語った。

 

 また「研究を始めたときはオートファジーが必ずしもがんや人間の寿命の問題につながると確信していたわけではない」と基礎科学の重要性を強調。「『どこに向かっているか分からない』ことに研究者がチャレンジでき、基礎科学を見守ってくれるようなゆとりある社会となるよう、努力したい」と今後の展望を語り、「『役に立つ』という言葉が社会を駄目にしている」と警鐘を鳴らした。

 

 五神真総長も同日、東大の公式ウェブサイトにコメントを寄せ、「本学としても大きな誇り」と受賞を祝福。大隅栄誉教授が東大で助手・講師・助教授として学業や研究に従事したことに触れ、「偉大な『知のプロフェッショナル』の先達の一人」と称賛した。

 

 大隅栄誉教授は72年東大理学系研究科博士課程単位取得退学。88年より教養学部助教授を務めた。東工大特任教授などを経て、14年より同大栄誉教授。

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