インタビュー

2017年11月28日

【東大PEAKに迫る①】PEAK生が語る、制度の利点・欠点とは?

 PEAK(ピーク)について、どのくらい知っているだろうか? PEAKが比較的新しい制度であることや人数が少ないことが影響してか、東大生の中でもPEAK制度の理解は進んでいないように思われる。今回はPEAK生への取材を通し、PEAKの利点・欠点について考えていきたい。

(取材・宮路栞)

 

そもそもPEAKとは?

 

 PEAKとはPrograms in English at Komaba(教養学部英語コース)の略称だ。2010年3月の『東京大学の行動シナリオ FOREST2015』の中の「世界から人材の集うグローバル・キャンパスを形成し、構成員の多様化を通じ、学生の視野を広く世界に拡大する」という重点テーマの具現化を目指したもので、その名の通り全授業が英語で行われる。

 

 PEAKは学部英語特別選考による入学者が在籍する前期課程の「国際教養コース」と、「国際教養コース」修了者と通常の前期課程を経た学生の在籍する「国際日本研究コース」「国際環境学コース」に分かれる。学部英語特別コースとは、いわゆる秋入学の試験であり、初等・中等教育を日本語以外で履修した学生を対象に書類と面接審査を実施。そうして入学した学生が一般生と同じように前期課程のうちは幅広い分野の学習をし、後期課程で文理に分かれて自分の専門科目を研究するという仕組みだ。

 

 PEAK生はPEAK制度をどのように捉えているのか。今回は4人の学生に取材を行った。

 

PEAK生の意見

 

 まずは前期課程の「国際教養コース」に在籍するサーカー壽梨さん、加藤匠馬さん、ファン・ズハンさん(それぞれPEAK・2年)。

 

左からサーカー壽梨さん、加藤匠馬さん、ファン・ズハンさん(撮影・宮路栞)

 

――まず初めに入学の経緯を教えてください

サーカーさん「私はインドと日本のハーフなのですが、小学校に入る前からずっとインドにいたので、日本人としてのアイデンティティーを求めに日本の大学に入りたかったんです」

加藤さん「僕も似たような感じですね。僕は日本人ですがずっとアメリカに住んでいたので日本に住んでみたかったから、日本の大学に入ろうと思っていました」

ファンさん「私は2人とは違って中国人なのですが、最初はアメリカに行きたかったんです。それでアメリカの大学と香港の大学を受けるついでに東大を受けてみたら受かっちゃって。そこからどこに行こうか考えてみると、アメリカと香港に比べて東大に入った方が将来どうなるか想像がつかなくて面白そうだと思ったんですよね」

 

――PEAKの良い点はどこだと思いますか

加藤さん「いろんな人と話せるのは良いかな」

ファンさん「私もそう思います。クラスメート世界中から集まっているから毎日新たな視点を知ることができるのが面白いです」

サーカーさん「PEAKの授業は少人数なのが多いからじっくり教えてもらえるのが助かります」

 

――ではPEAKの悪い点は

サーカーさん「もっと英語のできる教員がいるといいですね。日本人の教授がほとんどで後は中国人の教授なので先生の方も多様化してほしいです」

加藤さん「それともっと難しい資料を読みたいです。少人数で教えてもらえるのはいいけど逆に下に合わせ過ぎて授業のレベルが下がっている気がします」

サーカーさん「PEAKの授業をもっと増やせば良いと思います。選択肢が少なくてあまり興味があるのがないです」

ファンさん「一般生との交流が少ないのもあると思います。PEAKの授業をもっと増やして一般生もどんどんPEAKの授業に来れば良いと思います」

加藤さん「たしかにPEAKだけちょっと孤立してる感じがしますね」

サーカーさん「一般生の授業を取りたくてもPEAKの宿題が多過ぎるし、日本語の授業があるとはいえ外国人の子には日本語で授業を受けるのは少し難しいと思います」

 次は一般入試から進学選択の制度を利用してPEAKの「国際日本研究コース」に進学し、現在はアメリカに留学中の浅野宏耀さん(PEAK・3年)。

 

浅野宏耀さん(写真は浅野さん提供)

 

――PEAKに進学したのはなぜですか

浅野さん「何か一つやりたいと思えるものがなかったので教養学部を考えていたところで、2年生の時に履修した中国に行く授業を経て日中関係について関心が高まったので今在籍している国際日本研究コースに決めました。英語ができるようになりたかったことと留学生の友達が欲しかったことも理由ですね」

 

――PEAKは全授業が英語で行われますが授業についていくのは困難ではありませんか

浅野さん「少し大変ですが、授業やレポートをこなすたびに少しずつ上達します。その実感が自分でも分かるので楽しいですね。進学選択で悩んでいた時にPEAKに進んだ先輩に話を聞いたとき、特別英語は得意ではないけれどなんとかやっていけてると言っていました。その通りだと思います」

 

――PEAKの良い点はどこだと思いますか

浅野さん「多様な学生が集まっていることですね。さまざまな意見や視点を見聞きできるので楽しいです。留学生が増えることで大学の雰囲気も変わるだろうし、一般生の意識も変わると思うのでPEAKの存在はとても重要だと思っています」

 

――PEAKの改善すべき点は

浅野さん「専攻が二つしかないことです。自分の専攻をあまり気に入ってない学生が多いように感じます。もっとPEAKで学べる学問の範囲が広がると良いと思います。PEAKの授業は選択の幅が狭く、興味に沿って時間割を組むことが難しいです。もっと英語で開講する授業の数が増えてほしいですね。それと同時に、一般生ももっとPEAKの授業を受けてほしいです。たとえば、英語の勉強に、といって英語中級や英語上級を余分に取る生徒もいますがPEAKの授業を取った方が効果的だと感じる時があります。また、それによって留学生と一般生の交流が増えることを願っています」

 

一般生の意識改革も必要

 

 PEAKの良い点と悪い点ははっきりしているようだ。つまり、さまざまな視点を持つ人に出会うことができて日々新たな発見がある一方で、授業の選択肢が少ないことや一般生との関わりが少ないことが問題となっている。

 

 一般生との交流に関しては、4人が言っているように一般生もPEAKの授業を取ることが一つの解決法になるだろう。記者の周りにもPEAKの授業を受けている人が何人かいるが、そのような人は珍しく、「さすが」といった評価になりやすい。そうではなく、全員が受けるのが普通という環境に持っていくことが重要になってくると思う。そうなってくればPEAKの授業をもっと増やすべきという意見が多くなり、大学側も要望に応えるためにPEAKの授業を増やしやすくなるのではないか。

 

 東大がグローバル化を推進していく限り、PEAKの発展は不可欠だろう。一般生とPEAK生の交流を通して、学校生活がより良いものになっていくことを期待したい。

 

【東大PEAKに迫る】

【東大PEAKに迫る①】PEAK生が語る、制度の利点・欠点とは?

【東大PEAKに迫る②】留学生への支援「学生同士の助け合いが理想」

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