緑深き土地に生まれ、幼少期から自然に慣れ親しんできた。大学入学後は、趣味の旅行と山登りも兼ねて自転車部旅行班へ入部。サイクリング尽くしの学生生活をスタートさせた。
合宿ではキャリアに10キログラム以上の荷物を積み、日がな一日100キロメートルを目安にこぎ続ける。夜は基本的にテントを張って過ごし、朝になればまたペダルをこぎ始める。ワイヤー断裂やスポーク折損といったトラブルの対応から荷物の積み方に至るまで、あらゆる技術を磨いた。
十分な技量を獲得した2年次の夏には2カ月かけて日本を縦断し、利尻島に沈む夕陽に旅の終わりを感じ取った。また、3年次の春に部員と巍々たるアトラス山脈を越えた際には集落の人々に食事を分けてもらった。自転車旅行でしか得られない経験は多いと武田さんは語る。
改めて自然環境の保全に関心が向き、目下の関心は林業にある。卒業後は高度な技術であるロープワーク高所伐採の習得を目指し、職人に弟子入りする予定だ。【竹】