COLUMN 2020年10月9日

【留学生の就活】② 採用基準に区別なし 好影響は日本人社員へも

(左上より時計回りに)北川愛子(きたがわ あいこ)製造・流通本部マネジング・ディレクター(アクセンチュア)、ジョン・ウォンジンマネジャー(アクセンチュア)、浅井孝和(あさい たかかず)さん(ソニー)、清水舞子(しみず まいこ)さん(ソニー)

 

 近年、留学生を積極的に採用する企業も多い。果たして日本企業は、留学生に何を期待しているのだろうか。総合コンサルティング企業であるアクセンチュアの日本法人と、ソニーの採用担当者に取材した。見えてきたのは、留学生「だから」採るわけではない企業側の意識だ。(取材・江亞亭)

 

 アクセンチュアとソニーの新卒採用では共に志望者のポテンシャルを重視するため、留学生の採用基準は日本の学生と区別していないという。

 

 アクセンチュアで製造・流通本部マネジング・ディレクターを務める北川愛子さんは「東大の留学生含む就活生と話をしていると、企業のことは詳しく調べている一方で、自分の将来を見据えた上での、就活で目指すべき目的や軸が定まっていない学生も多い」と話す。アクセンチュアが求める人材は、ストレッチをしてでも次なる目標に対して貪欲な姿勢を持つ人や、信念をもって主張できる人、チームワークを大事にする人などが挙げられるという。

 

 ソニー採用部の浅井孝和さんは、他人との違いを楽しめて、さまざまなバックグラウンドの人と働けることを採用基準として挙げる。「ソニーには多様な人や異なる感性が大胆に交錯し価値を生み出す、多様性と活気に満ちた文化があるので、違いをぜひ押し出してほしいと思います」

 

 アクセンチュアのプロジェクトの多くでは日本語が必要となるため、留学生であっても、日本語で仕事をすることに抵抗がない人を採用する傾向にある。入社後の研修は基本的に日本語で行われ、特に留学生用の特別プログラムなどは用意していない。仕事はプロジェクト制なので、語学力やスキルを考慮した上で、本人がより活躍できるプロジェクトや業務を担当させるなど、柔軟な対応をしているという。

 

 ソニーの語学力基準は部署によるが、外国人の受け入れに当たっては、語学サポート、入社直後に先輩社員が仕事の基礎を教えるチューター制度などの用意をしている。イベントを開催し、異なる部門でも横のつながりを作れるようにすることを意識していると浅井さんは話す。

 

 アクセンチュアのマネジャーを務める東大卒留学生のジョン・ウォンジンさんは、仕事において外国人として特別な扱いをされずに、平等な対応をされたことが、成長につながったと振り返る。学生時代は留学生コミュニティーなど自らが属する環境を選べるのに対して、就職後は同様の環境を自由に選べない。仕事で関わるさまざまな人からのフィードバックを重ねることでビジネスセンスが養われ、結果として日本語でのコミュニケーション能力も上がったという。

 

 ソニー採用部の清水舞子さんは、中国人社員と協働した経験を振り返り、職場の人材が多様になることで、自らの仕事に対する意識も変わりつつあると語る。「日本の働き方の特異性に気付かされて、変えていかなければ、と思います」。多様性を増す職場は、日本人・外国人双方にとって、気付きや成長を与える環境を生み出している。

 

【関連記事】

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この記事は2020年9月22日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

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