EVENT 2020年9月14日

【オンライン五月祭企画】東京大学法律相談所 義援金詐欺事件の模擬裁判から「信頼」の価値を問う

 毎年五月祭の目玉企画の一つとして注目される模擬裁判。今回は、その模擬裁判を上演する東京大学法律相談所に団体の概要や普段の活動、そして今年の五月祭の模擬裁判のテーマなどについて紹介してもらいました。

(寄稿)


法律相談所とは?

 

(普段の法律相談の様子,写真は東京大学法律相談所より提供)

 

 法律相談所は、1947年当時の法学部長であった民法学者・我妻栄教授の「東大医学部に附属病院があるように法学部にも法律相談所を」という考えのもと発足しました。本郷キャンパスでの週4回の無料法律相談に加え、年に一度の地方への出張法律相談や勉強会などの実施、講演会の企画運営など「学問的研鑽(けんさん)」と「地域社会への貢献」の二大理念を追求しています。

 

 現在では法学部生を中心に3、4年生合わせ約250人と、本学法学部生の約3分の1が所属する非常に大きな団体です。また、多くの卒業生の方々とも活発な交流があり日々の相談活動についても折に触れてアドバイスをいただいています。

 

模擬裁判とは?

 

 模擬裁判とは五月祭における法律相談所の企画で、所員が一から脚本・判決を執筆しキャストも務める2時間の法廷劇です。

 

 社会的に関心の高い問題を題材として取り上げることで多くの方にとって縁遠い存在となりがちな「法律」を身近な問題に感じていただくことを目的にしており、本年で72回目を迎える伝統ある活動となっています。

 

 また、例年五月祭の公式パンフレットで「みどころ企画」として取り上げていただくなど学内でも特に注目度の高い企画となっております。昨年は「部活動における過剰指導(ブラック部活)」を題材とした民事事件を扱い、2066名もの方々にご来場いただきました。

 

 模擬裁判の魅力は、高い完成度とエンターテインメント性にあります。卒業生の監修を受けたリアルな脚本のもと、学生が議論と準備を重ねて作り上げる裁判劇は圧巻です。また、裁判官役が判決文を読み上げるまでは役者さえもその結果を知りません。結末を知らされないまま進行する舞台で、役者の演技も迫真の熱を帯びます。

 

 本年度の模擬裁判は、新型コロナウィルスの感染防止の観点からオンラインでの開催となり、安田講堂にてご覧いただくことはできなくなってしまいました。一方で、遠方にお住まいの方など、普段はご来場になれない方にもご自宅からご覧いただくことができます。はたして被告人は有罪か無罪か、最後の判決まで全く分からない波乱の法廷劇をこの機会に一人でも多くの方に楽しんでいただきたいと思います。

 

(昨年度の模擬裁判の様子,写真は東京大学法律相談所より提供)

 

第72回模擬裁判 『濡れた紙飛行機』

 

(本年度の模擬裁判のポスター、画像は東京大学法律相談所より提供)

 

   「被災地の人々のために義援金を送りませんか?」被告人・首藤は幼馴染の鳥井とともにNPO法人を立ち上げ、資産家たちから多額の義援金を集めていた。しかし、鳥井は首藤が集めた義援金を被災地には送らず、全て自分たちのものにしていた。「自分こそ鳥井に騙されていた」と主張する首藤。義援金の使い道について、彼女は本当に何も知らなかったのだろうか。地震や台風といった自然災害が頻発する現代日本に生きる私たちには、何が求められるのだろうか  

 

 「義援金詐欺」。新聞やテレビの報道で耳にしたことがある方もいらっしゃるでしょう。被災者への支援をかたって金銭を騙し取る特殊詐欺の一つです。「オレオレ詐欺」に代表される特殊詐欺事件は、昨年の認知件数が1万6千件超、被害額は300億円超という数字にもみられるように深刻な社会問題です。近年ますます巧妙化するその手口は、私達がいつ被害者となるか分からない状況を生み出しています。

 

 地震や台風など、自然災害の被害を受けることが多いこの日本では被災された方々に向けて義援金を募るという心温まる活動、どうにか手を差し伸べたいという人々の善意を目にすることが少なくありません。しかしその裏で、その善意につけ込み卑劣な犯罪を行う者がいることも残念ながら事実です。

 

 72回目を迎える本年度の模擬裁判『濡れた紙飛行機』では、そんな義援金詐欺に関する刑事事件を題材に現代社会における「信頼」というものが持つ価値について問い直します。

 

 被災者に向けた義援金を託すという行為が、その窓口となる団体への信頼の上に成り立っているということは想像に難くありません。しかし、それ以外にも、日常的な物の売買や誰にでもある交友関係…私達が生きる社会を構成する無数の人間関係はおよそ信頼に根差していると言ってよいでしょう。その信頼が何らかの出来事によって揺るがされた時、私達はどう生きるべきなのでしょうか。当事者たちの様々な思惑が交錯し、二転三転する裁判の展開を通じて観客の皆様と一緒に考えることができたら幸いです。

 

模擬裁判企画(五月祭ホームページ)

20日(日) 10:15~12:15

 

交流会とは?

 

 五月祭では例年、法律を身近に感じていただく企画として所員との交流会も実施しています。交流会では法律相談所の活動紹介や法律をテーマとする難易度別のクイズなどを行う予定です。小中学生の方には身近なお金のトラブルについて、高校生以上の方にはいわゆるトロッコ問題について刑法の観点から考えてもらうクイズを用意しております。また、東大法学部生と話してみたいという方の参加も大歓迎です。本年度はオンラインでの開催となりますが、大人から子どもまで幅広い方に楽しんでいただける内容となっておりますので是非ご参加ください。

 

東京大学法律相談所交流会企画(五月祭ホームページ)

20日(日)14:00〜17:30 
21日(月・祝) 9:00~17:30

*企画への参加URLは時間になったら五月祭ホームページ上で公開されます。

 

(昨年の交流会の様子,写真は東京大学法律相談所より提供、画像は一部加工しています)

 

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