小中高は勉強漬けの日々を送り、1浪の末晴れて理IIに入学。「どこかに属さなきゃという恐怖心から入った」金融系サークルも、自分の関心からは程遠かった。2年次に知人と教育事業を立ち上げたが、瞬く間に就活の時期に。事業との両立に苦しむ中、社会的評価という「他者が主語の基準」で進路を選ぶ自身や周囲の東大生に違和感を覚えた。自分の「好き」を追求できる環境を求め、3年次の夏に教育事業に専念することを決めた。
自身が代表取締役を務める株式会社パイオナンドは昨年3月に法人化。未就学児・小学生の興味を掘り下げる探究学習に伴走し、自己肯定感や好奇心、主体性など「非認知能力」を育むサービスを手掛ける。
教育投資の面でも、点数が視覚化される受験勉強への偏重が著しい日本社会で、多くの若者には「自分の『好き』を見つめる時間が足りていない」と話す。教育を通じてその風潮を打破し、あらゆる人が「自分が主語の基準」で幸せをつかめる社会を実現する先駆者であり続ける。【梧】