文化

2023年12月27日

【受験生へのエール】初詣に! 本郷・駒場周辺の寺社紹介②

 

 共通テストまで残された時間もわずか。混雑による各種感染症への罹患(りかん)が懸念される中、初詣に行くか迷っている受験生もいるだろう。駒場キャンパス、本郷キャンパスの周辺にある著名な寺社のうち、四つを取材した。この機会に来年の初詣の予定について考えてみてはいかがだろうか。今回は駒場周辺の金王八幡宮と明治神宮を紹介する。(取材・峯﨑皓大)

 

 

金王八幡宮 〜地域の人々に親しまれる渋谷の祖〜

 

取材協力:権禰宜(ごんねぎ)・黒田裕香さん

創建:1092年

渋谷駅井の頭線改札から徒歩10分

 

金王八幡宮
金王八幡宮


 渋谷駅にほど近い、街の喧騒の中に趣深く鎮座する金王八幡宮。周辺の会社員や地域の人に古くから親しまれ、七五三や結婚式などで大切な役割を果たしてきた。

 

 創建は1092年、平安時代にさかのぼる。源義家源義家による後三年の役において、河崎土佐守基家が仙北金沢の柵の攻略に成功、義家はこれを元家の信奉する八幡宮の加護によるものと、基家の拝持する妙見山の月旗をもって八幡宮を勧請(かんじょう)した。

 

 実は金王八幡宮は渋谷の祖と呼ばれているという。基家の子の重家の代に渋谷の姓を堀河天皇から賜り、金王八幡宮を中心に活動したためだ。また春日局らの金王八幡宮への祈願により徳川家光が三代将軍になったとの逸話や、渋谷氏の子孫には東郷平八郎など出世した偉人もおり、出世のご利益がある。

 

 他にも子授けや交通安全、そして八幡宮ということで勝負事のご利益を得ることも可能だ。受験シーズンには多くの受験生が自分に「勝つ」強さを求め訪れるという。

 

 また金王八幡宮には鎌倉時代の都内最古の神輿(みこし)が現存する。江戸時代の初期に金王八幡宮の氏子が鎌倉の大祭にて当時の鎌倉七神輿の一つを担ぎ出し、渋谷まで持って帰ってきたという。追手は途中で日が暮れて目黒区の目切坂で見失ったことから目切坂は暗闇坂ともいうそうだ。その神輿は長い間地域の人に愛され続けている。

 

 「大学受験は自分の変化の契機になると思います。この変化の時代に変わらないものの一つが神社です。周囲が慌ただしく変化し、自分を見失いそうになった時も神様はいつも変わらず見守っています。落ち着いて頑張ってください」と黒田さんは語った。

 

 

明治神宮 〜日本、そして世界から愛される崇敬神社〜

 

取材協力:明治神宮職員

創建:1920年

駒場キャンパスから徒歩30分

 

明治神宮
明治神宮

 

 連日にぎわいの絶えない明治神宮の境内。1920年の創建以降、日本人のみならず世界中の人々から常に注目を集め続けた。

 

 明治神宮は創建当時広く国民に愛されていた明治天皇と昭憲皇太后を御祭神として祀り、国家の隆盛・世界の平和を常に祈っている。社殿を取り囲むのは70万平方メートルにも及ぶ広大な鎮守の杜(もり)。東京帝国大学(当時)教授だった林学者・本多静六が中心となり全国から献木された約10万本を植栽して造成された人工林だ。常緑広葉樹と針葉樹の植える割合を100年後の杜の姿も考慮に入れて緻密に計算し、今の杜がある。

 

 崇敬神社として人々の畏敬を集め、そして人々を導くような神社でありたいという。「創建してから100年ほどと他の神社に比べて歴史が浅いにもかかわらずここまで多くの人々を連日集めるのは明治天皇の国民全体からの尊敬があってこそ」と明治神宮職員は語る。現在は参拝者数を公表していないがコロナ前は初詣の参拝者数日本一を誇り、そして最近はインバウンドの影響で連日観光客でににぎわい、平日は半数以上が外国人観光客だという。

 

 明治天皇は東京帝国大学(当時)の卒業式にて「ことしげき世にはあれども國民(くにたみ)を教ふる道に心たゆむな」と詠まれたという。受験生には「世の中が大変であってもしっかりとした教育ができる国でなければならないとの思いで明治天皇はこの歌を詠まれたと拝察いたします。東京大学の学生の方々には国のため、世界のために一層勉学に励んでいただければ御祭神もお喜びになると思います」と語った。

 

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