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2025年10月4日

【寄稿】あと一歩届かず――東大ラクロス部、意地の戦いも早稲田に惜敗

 

 昨年度入れ替え戦を延長戦の末劇的な逆転勝利を収め、一部の座を守り抜いた東大ラクロス部(BLUE BULLETS)。日本一を目指し再び歩み始めた今シーズンは、各定期戦を順調に勝ち進み7月にリーグ戦を迎えた。しかし、初戦、対明治学院大学戦を4-6で落としプレーオフ進出に向け、1戦も負けることができない窮地に。そんな中、第三戦、宿敵早稲田大学との大一番を迎えた。東京大学ラクロス部男子BLUE BULLETSに試合の様子を寄稿してもらった。(寄稿=東京大学ラクロス部男子BLUE BULLETS・米今咲喜、薮﨑友那)

 

 後がない東大、FINAL4進出へ弾みをつけたい早稲田。両校の意地がぶつかる一戦が始まった。試合冒頭のFO。東大が手元を制すも、グラボを拾いきれず、ゴール前で混戦に。セーフティが不在の中、早稲田に拾われ、そのままシュートを決められ、開始早々に痛い先制点を許してしまう。

 

 しかし、気持ちを切らさず丁寧にボールを繋ぎ、攻撃時間を確保。チームに最初の得点をもたらしたのは3年#2江田亮介選手だった。同期の3年#51山中真央選手からの鋭いフィードを受け、冷静にゴールに突き刺すと会場は大盛り上がり。スコアは1-1。再び振り出しに戻る。

 

 

 次の1点をめぐって激しい攻防が続く中、チャンスを掴んだのは早稲田。一度は4年G#3栗原敬之選手のナイスセーブでしのいだものの、同じ形でのミスが続き、守備の時間が長引く。DF陣も粘り強く耐えるが、わずかな隙を突かれて強烈なスタンシューを決められ、1Qは1-2で終了した。

 

好セーブでチームの窮地を救い続けた4年G#3栗原敬之選手(撮影・山本萌楓)

 

 第2Q開始直後、東大は早稲田対策として準備を重ねてきたFOブレイクの形を見事に実行。狙い通りの展開で一気にゴール前まで運んだ。しかしここは決め切れず、追いつくには至らない。

 

 それでも、東大の集中は途切れない。続くオフェンスで再び試合を動かしたのは、3年生コンビ。#51山中真央選手の視野の広いパスが、クリースを横切る#69田邉成選手に届くと、正確なショットがゴールネットを揺らし、2-2の同点。試合が再び熱を帯びていった。

 

今試合5得点中3フィードで得点に貢献した3年#51山中真央選手(撮影・山本萌楓)

 

 守っては、要所でチームを救い続ける守護神・#3栗原敬之選手が、ここでも冷静かつ力強いビッグセーブ。早稲田の反撃の芽を摘み、東大に再び攻撃の機会が生まれる。

 

 そして、勝負を動かしたのは再び田邉選手。3年#9山田康生選手のフィードを受け、ゴールに向かって力強く入り込むと、落ち着いたシュートでゴールを射抜き、3-2とついに逆転に成功した。

 

今試合2得点をあげた3年#69田邉成選手(撮影・山本萌楓)

 

 後半戦。幾度となく苦しめられてきた勝負の第3Q。東大はハーフタイムで戦術と意識を改めて確認し、気持ちをひとつにして後半へ臨んだ東大。しかし、再び厳しい展開が待ち受けていた。

 

 序盤、相手ゴーリーのセーブからテンポの速い攻撃を仕掛けられるも、ここで立ちはだかったのはディフェンス陣。今試合が怪我からの復帰戦となった4年#10高橋慧選手、そしてプレーでチームを鼓舞し続けた4年#45能見太貴選手を中心に、粘り強く体を張って守り抜いた。

 

強度の高いプレーと統率力でチームを守りつづけた4年#45能見太貴選手(撮影・山本萌楓)

 

 なんとか無失点で時間を進めていた東大だったが、こぼれ球に対する一瞬の隙を突かれる。クリース前でルーズボールを相手のエースに拾われ、痛恨の失点。スコアは3-3、再び振り出しに。

 

 残り2分、東大はストーリングの警告がかかる中でクロージングに入り、丁寧にボールを回すものの、早稲田の2人掛かりのディフェンスが襲いかかり、痛恨のボールダウン。残り20秒を切ったところで裏から崩され、シュートを許してしまい、3-4。わずか数秒で逆転を許し、試合は最終第4Qへ。厳しい状況の中でも、勝利への執念が問われる15分間に突入します。

 

 残された時間は15分。なんとか早めに追いつきたい東大でしたが、第3Qからの悪い流れを断ち切れず、開始早々にマンダウンのピンチを迎えた。ここは守りきれず、痛恨の失点。スコアは3-5。2点のビハインドを背負う厳しい展開となる。

 

 これ以上は離されたくない場面。ここで光ったのが3年#9山田康生選手。相手DFの一瞬の緩みを見逃さず、鋭い切り返しから自ら勝負。得意のランシューを突き刺し、悪い流れを断ち切った。

 

エース・3年#9山田康生選手が東大に再び勢いをもたらす(撮影・山本萌楓)

 

 勢いそのままに追いつきたい東大。しかし、焦りからか細かなミスが重なり、オフェンスの機会を自ら手放してしまうと、試合巧者・早稲田はその隙を見逃さなかった。厳しい体勢からも強引にゴールへと向かわれ、1点をもぎ取られる。スコアは4-6。

 

 もう後がない東大。人数をかけて前線でボールを奪いに行き、最後の攻勢に出ると、残り3秒。アンセットの場面から何とか1点を返し、5-6。わずかに望みをつなぎます。しかし、反撃もここまで。無情にも試合終了の笛が鳴り響き、東大はあと一歩届かず、5-6での悔しい敗戦となった。

 

 試合を通じて、東大は早稲田の得意とするブレイクを的確に封じ、流れが相手に傾きかける場面でも粘り強く耐えるシーンが随所に見られたが、シュートの決定力の差、そして細かなミスや判断の遅れが勝敗を分け、惜しくも敗北となった。

 

 

 現在、東大は1勝3敗となり、プレーオフであるFINAL4進出の可能性が消滅した。残る1試合は、明治大学との一戦。両者ともに負ければ入れ替え戦となる。日本一への道は閉ざされ 後悔や悔しさ、さまざまな気持ちが生まれる状況だが、目の前のことに集中し、残された時間全力で準備を重ねていく。

 

 25 BLUE BULLETSに最後まで温かいご声援をお願いしたい。

 

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