就活

2014年4月23日

「傾向と対策」をやめて、「好きのちから」を磨こう。

与えられた課題や目の前の勉強をこなすだけでいいのだろうか。学生時代に何かやったほうがいいのではないか。

そんな漠然とした焦りや不安を抱えている東大生へ。大学に入学し、これからどういう学生生活を送ろうかと考えている1年生へ。東大出身でフリーランスでコーチングをしていらっしゃる山口さんに寄稿して頂きました。


東大生のみなさん、こんにちは。私は2004年に東大の教養学部フランス科を卒業し、現在はフリーランスでコーチングという手法をベースにした個人セッションを行っています。クライアントさんは主に30代・40代の女性で、共通して「自分らしく働きたい」という目的で相談にいらっしゃいます。悩みや不安をきき、相談者がいきいきとお仕事や人生に向かって行く後押しをするのが、私の仕事です。

相談者の方々や、友人や知人から、しばしば、「好きな仕事をしていて、いいですね。」「楽しそうに、お仕事をされていますね。」と、言われます。こころのことを考えたり、ひとの話をじっくり聴くことは好きで得意なので、たしかに、好きな仕事をしています。以前は苦手なことを頑張って働いていましたが、当時よりもストレスは少なく、創造的な仕事ができていると思います。

さて、この記事を読んでいる方々の大半は、将来何らかの仕事に就いて活躍したい、と思われているでしょう。できればいきいきと働いて、成果を残したい、何か社会の役に立ちたい、と考えているひとが多いのではないでしょうか.

そんなひとにおすすめしたいのが、「好きのちからを磨く」ということです。好きなことを突き詰めて取り組む、という経験が、社会に出た時に大きなちからになるのです。

好きなことを仕事にしよう、そのために好きなことを見つけよう、と言いたいのではありません。

好きなことを突き詰めて取り組むと、ぐーーーっと意欲が湧いたり、熱中するような経験をたくさんします。「こんな時、すごいエネルギーが湧いたな」とか「こんな時、すごい楽しかったな」という感覚を、たくさんたくさん身体に覚えさせておくのです。なんだか意欲が湧く、なんだか楽しい・・を、たくさんの場面で深く経験する、ということが、好きのちからを磨くということです。

好きのちからを磨いていると、自分がどんな場面で、何をしているといきいきするのか、力を発揮するのか、わかるようになります。

それは、社会に出た時に、2つの点で大きなちからになります。

1つは、「幸せに働き続ける」ということです。

好きのちからにより、楽しい、いきいきすることを、仕事として選べるようになります。選択肢の中で、「成長性がある」などの客観的な評価に基づいた視点に加えて、自分自身が「意欲を持って取り組める」という主観的な評価に基づいた視点でも選ぶことができるようになります。結果、幸せに働き続けられる可能性が、高まります。

もう1つは、「圧倒的な成果を上げる」ことです。

やる気なくイヤイヤ仕事に取り組むよりも、意欲を持って取り組んだ方が、良い成果を上げられるのは、簡単に想像がつくことでしょう。周りのひとを見回しても、起業して会社を成長させていたり、組織の中でひときわ重要な仕事を担うなど、圧倒的な成果を上げているひとは、仕事そのものを楽しんでいます。仕事をばりばりやっていきたい、社会にインパクトを与えるようなことをやっていきたい、という思いを持つひとにとっても、好きのちからを磨くことは、とても役に立ちます。

取り組むことは、何でもかまいません。好きがよくわからないというのであれば、なんとなく良さそうだな、と感じるものから選んでもいいです。勉強、サークル活動、インターンシップなど活動的なことでもいいし、昼寝やゲームなど生産性のなさそうなものでも、いいと思います。例えば、最も気持ち良く昼寝のできる条件を探し求める、みたいなことでも、好きのちからは磨かれます。

東大生は、傾向を読み解いて対策を立てることに長けているひとが多いです。就職活動において求められることに対策を立て、無難に就職し、職場において求められることに対し無難に成果を出す、ということができるひとは、たくさんいるだろうと思います。

一時的にはそれで良くても、長期間にわたって傾向と対策だけをやってきて、行き詰まりを感じるひとは少なくありません。頑張るだけでは、どこかでガソリンが切れてしまうのです。相談者の中にも、「求められることにはうまく応えているけど、このままで良いのかと漠然と不安だ」という言葉を口にするひとは、たくさんいます。

好きのちからを磨くことは、毎日に彩りを増やすだけでなく、人生を切り開いて行く力になります。この記事を読んで、少しでも共感したことがあれば、ぜひ好きのちからを磨くことを、始めてみてください。

山口さん.jpg

山口由起子(やまぐち・ゆきこ)
1980年、広島県生まれ。小学校時代2年間をブラジルで過ごす。東京大学教養学部卒業後、ベンチャー企業でM&A担当、子会社役員など。その後、ベンチャーキャピタルに転職し、投資や事業支援を経験。山口さん本.jpg

2008年に独立。IT企業の財務や採用活動等を支援する傍ら、知人の起業家から依頼を受けたことをきっかけに、コーチングをベースにした個人セッションを開始。ブログやtwitter、メルマガなどソーシャルメディアを使って集客し、30代・40代女性を中心に500人以上の実績。

著作:『心を削らない働き方 ほんとうの自信を育てる6つのレッスン

koushi-thumb-300xauto-242

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit

   
           
                             
TOPに戻る