東大は12月11日声明を発表し、10日に東大病院の教員が収賄罪で起訴されたと明らかにした。併せて調査で判明した事案の概要と、再発防止のための緊急的な改善策を発表。責任の所在を明確にするため、総長と2名の担当理事は役員報酬の一部を自主返納した。
松原全宏准教授(東大医学部)は医療機器メーカー・日本エム・ディ・エムから受けた奨学寄付金が賄賂に当たるとして、11月19日に逮捕され、12月10日起訴された。
東大は外部の弁護士から成る調査チームを設置した。一部メディアは、賄賂の見返りに同社の医療材料を東大病院で使用されていた疑いがあると報じていたが、チームの調査結果によると、この医療材料は東大病院内の委員会で医療材料としての有効性、価格の妥当性等が審議された上で採用されていたという。
一方調査チームは、松原准教授が同社から受け取った寄付金を「親族に使用させる目的のタブレット端末」などに流用していたと認定した。東大が私的流用と認定した金額は、准教授から既に返還されたという。収賄罪が成立するかについては司法の判断に委ね、言及を差し控えるとした。調査は継続中。
再発防止のための緊急改善策も発表された。①寄付の審査にあたって、教職員に対し、寄付元との利害関係を申告させる②寄付金の執行管理について、現在行われている現物確認に加え、外部監査などを導入し、本部や病院の事務部門と連携させ、監査体制・手法を強化する③医療材料などの登録申請にあたり、申請者医師と当該製品の製造販売業者との利害関係を申告させる、審査の透明性を確保する-の3点が挙げられた。
東大病院に関する「抜本的改善策」は新設された「医学系研究科・医学部・医学部附属病院改革委員会」で検証中で、早急に策定・公表する予定。
本事案の責任の所在も明確化された。松原准教授については、11日現在自宅待機措置が取られており、今後起訴を受けて、休職の措置が取られる。懲戒委員会の手続きが進み結論を得た段階で厳正な処分が行われるという。
さらに「起訴されたという重大性」と調査結果を受け、監督責任を明らかにするため①藤井輝夫総長が役員報酬の30%を1カ月自主返納②相原博昭理事・副学長(経営企画、予算配分、教員人事、施設担当)、齊藤延人理事・副学長(研究、懲戒、病院担当)が役員報酬の10%を1カ月自主返納するという。南學正臣・医学系研究科長・医学部長と田中栄・医学部附属病院長も、総長から厳重注意を受けた。










