硬式野球部(東京六大学野球)は21日、明大との2回戦を戦い、10-0で敗れた。途中登板した松本慎之介(理Ⅱ・2年)の好投や秋元諒(文I・2年)のマルチヒットなど気迫を見せたが、投手陣が序盤から明大打線に捕まり、スタメンから中山太陽(経・4年)や杉浦海大(法・4年)を欠いた打者陣は明大投手陣を前に散発5安打に倒れた。(取材、撮影・平井蒼冴、宇城謙人)
明大|21 0 1 0 0 4 0 2 |10
東大|00 0 0 0 0 0 0 0 |0
初回の攻防がこの試合の全てを決めた。
先発したのは江口直希(工・3年)。140km/h近い直球と落ち球が持ち味だが、初回から捕まる。先頭の岡田啓吾に初球を楽々打ち返されると、踏みとどまれない。簡単に球を見極められ、ここから怒涛(どとう)の4連打。早速失った2点は、明大の強力投手陣を相手に痛すぎた。
一方の打線。2季連続のベストナインを受賞した中山は怪我がち。開幕から1番で出場を続けてきたが、ついにスタメンを外れる。春は4番を打つこともあった杉浦は、今秋すでに2死球を食らった影響か、今日もベンチスタート。核を欠いた打線の奮起に期待したいところだった。
一死から樋口航介(理Ⅰ・2年)が明大・大室亮満を捉え、中前に打ち返す。打席には長打が期待できる秋元を迎え、早速の反撃を期待したいところ──だったが一走・樋口が大室の鋭いけん制に阻まれ憤死。貴重な走者を失う。結局打線は5回に大室が降板するまで、1人の走者も出せなかった。

2回表にさらに江口が1点を失ったところで大久保監督がマウンドに送り込んだのは、秋季リーグ開幕前に「最も成長した」と評価した松本。監督の期待通り、圧巻の投球を見せた。威力ある直球に落ち球、時折混ぜるスローカーブのコンビネーションで明大打線を手玉に取る。高めの直球で差し込み、低めの変化球は明大打線がファウルにするのがやっと。1点こそ失いはしたが、4回1/3を投げて被安打3に抑えた。
風が舞った神宮。東大打線は次々とあわや本塁打か、という大きな当たりを放つが、打球はことごとく外野手のグラブに収まってしまう。10-0となった9回裏まで、結局相手投手陣を打ち崩せない。9回二死から秋元がこの日2本目となるヒットを放ち、気を吐くと、続く4番・大原海輝(文・4年)もヒットを打ち1、2塁とする。この日一番の好機に、代打に送り込まれたのは長打力が売りの工藤雄大(文・4年)。初球を思い切りフルスイングした打球は中堅方向に高い弾道。しかしまたも風に押し戻され、打球は中堅手のグラブに収まり、そのままゲームセットとなってしまった。
