EVENT 2018年1月14日

日本のITの未来を担うか ハッカソンイベント「HACKER WARS」レポート

 今後、深刻なIT人材不足に陥ることが見込まれている日本。

 

 2020年に小学校でのプログラミング教育が必修化されるなど、政府も対策を急ぐ。すでに小学生向けのプログラミング塾も多数のサービスが出て来ている。そんな中、プログラミングに関わる大学生の間で人気になっているのが、「短期間で集まったチームで協力してコーディングを行う」ハッカソンである。

 

 今回取材で訪れたスローガン社が主催するハッカソン「HACER WARS」も、「応募多数で選考があった」ほどであるという。ハッカソンの多くは企業がアイデアを募集するために開催されることが多い(三菱東京UFJ銀行主催VRハッカソンなど)。

 

 HACER WARSはエンジニア志望の学生にアウトプットの場の提供と、IT企業へのインターンにつなげることが目的として開催されている。第5回の今回は10チーム44人が参加し、そのうち9人が女性であった。チームは大学やインターン先が同じ友人でのチームエントリーもあれば、個人参加でその場でチームを結成した組もある。2日間の日程のうち、初日にテーマが発表される。今回のテーマは「『働く』の未来を考える」。初日にブレインストーミング等でアイデアを出し、開発したあと2日目夕方のデモを迎える。

 

 

 優勝したのは、早稲田大学基幹理工学部のメンバーで結成されたチームが作った「WorksPotter」というフリーランス向け仕事マッチングサービス。コンセプトは「時給は実力で勝ち取れ」。自分の能力の可視化として「コーディング」「体力」などのパラメーターが設定され、グラフ化されていることが特徴だ。仕事をこなすと発注側から評価を受け、それが経験値のようにたまっていく。この「スキルのレーティング化」により、短期の仕事でも継続すれば評価がたまっていき、そのレーティングを元に新しい仕事が探していくことができるというサービスになっている。同一の仕事でも、レーティングの高い人ほど高い時給が提示されるようになっていることで、働くモチベーションを与えることができる点も特徴だ。リーダーの中川陽太さんは「普段はいかに機能を実装するかということにフォーカスしていることが多いので、丸々2日間、サービスの意義からその実装までの全てのフェーズについて考えるのは非常にいい経験になりました。他の大学のエンジニア志望の学生と話せたのも良かったです」と話していた。

 

 審査に入ったCarat社によるCarat賞を受けたのが、「JobHub」というサービス。何かITサービスを作ろうとしている人が、エンジニアに質問をしながら、あるいは部分的なコーディングを依頼しながらサービスを作っていくことができる。完全なプロダクトとしてのみならず、プロダクトの基盤部分や独立した一機能の実装であればサービスの詳細を公開することなく発注もでき、起業したい人が重宝するという。エンジニアにとっては、プロダクトの一部の制作を請け負い、実力を付けながら稼ぐことができる。

 

 

 同じく審査に入ったBizteX社からBizteX賞を受けたのが、VRを利用した「忙しさの可視化アプリ」こと「Task baloon」。Googleカレンダーに記入してある各自のタスクから、忙しさを可視化し、チーム内での仕事振りに生かすのが目的だ。メンバーそれぞれに絵などのロゴを割り当て、それを画像認識するとVRとしてバルーンにタスクが表示される。キャッチーなUIが会場を沸かせた。チームリーダーの高橋賢さん(東京工業大学)は、「いずれは顔を見るだけで、その人の趣味や忙しさが分かるようになる時代が来ると思う」と未来像を語っていた。

 

 

 主催であるスローガン社からスローガン賞を得たのは、女性だけで結成されたF-girlsチーム。同じ会社でアルバイトをしている女性だけで結成されたチームだ。作ったのは「働く人のやる気を高めるサービス」である「てくてくハリ坊」。女性らしい感性を生かした可愛らしいUIが特徴だ。解決を目指したのは、仕事で怒られたり褒められたりした際の気持ちをSNSでつぶやけない、という課題。デスクトップにあるかわいいハリネズミ(ハリ坊)に「遅刻して怒られた〜!」「仕事で褒められたよ〜!」などと話し掛ける。「疲れた」と呟くと「ここで休憩を挟みませんか?」と返してくれるなど、インタラクション性が特徴だ。遅刻を繰り返すと「また遅刻したの?」と返し、しばらく遅刻をしないと「最近遅刻しなくなったね!」と、仕事での成長を共にしてくれるサービスとなっている。Googleカレンダーを参照して、予定も通知してくれる。デモ中にファンシーな音楽を流すなど、会場を和ませていた。参加メンバーは「作品のハリ坊をみんなにかわいがってもらえてうれしい」「HACKER WARSは3回目の参加。三度目の正直として、賞がもらえてうれしい」と話していた。

 

 

 

 スローガン社の木村圭佑さんは「以前はデモまで至れないチームもあったが、今回は全チームがデモできました。学生の全体的なレベルが上がってきていると思います。開発ツールで便利なものが増えて、簡単なプロトタイプはすぐに作れるようになって来たという開発環境の向上も背景にあります。今回はアイデアが良いチームが多かったですね」と言う。

 

 

 スローガン社は、学生エンジニアの長期インターンのラインナップもそろえている。

 

 卒業後の進路を考えるためにも、エンジニアに関心がある方は、一度学生向けハッカソンに参加してみてはいかがだろうか。

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