学術ニュース

2020年2月12日

マグノンを単一レベルで検出する技術を開発 量子的な実験研究の加速へ期待

 ダニー ラチャンス クイリオン外国人特別研究員(日本学術振興会=研究当時)、中村泰信教授(先端科学技術研究センター)らは、マグノンと呼ばれるエネルギー量子1個を単一レベルで検出する技術を開発した。成果は1月24日付の米科学誌『サイエンス』(電子版)に掲載された。

 

 鉄などの磁性体中では、電子の小さな磁石としての性質「スピン」の向きが揺らいでいる。この揺らぎは1個、2個と数えられるなど粒子と似た性質を持ち、マグノンと呼ばれる。従来は、膨大な数のマグノンを塊として検知することはできたが、マグノンを1個ずつ検知するだけの感度は実現できていなかった。

 

 今回の開発では量子コンピューターの基本素子「超伝導量子ビット」を使用。超伝導量子ビットとマグノンの間に強固な相互関係「量子もつれ」を生成させることで、単一マグノンの検出に成功した。開発された量子センサーは、約70%の高効率でマグノンを検出できる。今後の量子的な実験研究の加速とともに、宇宙のダークマター候補の未発見素粒子検出などへの応用も期待される。


この記事は2020年2月4日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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