
東京大学フィールドスタディ型政策協働プログラム(FS)石川県珠洲市チームでは、1月17、18日にSHIBUYA QWSにてイベント「珠洲の高校生の未来キャンバス展─能登半島先端に生きる高校生はどのような未来像を描いているのだろうか」を開催します。このイベントでは、珠洲市の高校生に対してFS参加学生がヒアリングを通して探ってきた地域や自らの未来像について、高校生の「声」を展示します。また、さまざまなトークセッションを用意しており、珠洲市に生きる人々と来場者の皆さまが双方向的に交流できるものとなっています。イベントを通し、能登について、そして自らの人生について、新たな考え方の視点を持ってみませんか。(寄稿、撮影・東大FS珠洲市チーム)


◆プログラム
1 月 17 日(土)
16:00|開場/受付開始
・16:00~20:00(イベント終了時間まで):展示「珠洲の高校生の声」(パネル・映像・音声)
・16:00~16:15, 16:30~16:45:トークセッション
登壇者:珠洲市出身の大学生 橋本啓佑さま
内容:かつて珠洲で高校生活を過ごされた橋本さんが、”今”の珠洲の高校生の声をきいて何を感じたか、参加者の感想も共有しつつ、みんなで珠洲の高校生へ思いを馳せる車座形式のトークセッション
・随時|東大FS珠洲市メンバー・珠洲市職員を交えた車座会
20:00|終了
1 月 18 日(日)
11:00~|開場/受付開始
・11:00~15:00(イベント終了時間まで)|展示「珠洲の高校生の声」(パネル・映像・音声)
・11:00~12:00|トークセッション
登壇者:珠洲市出身の研究者 大伏仙泰特任助教(東大先端科学技術研究センター)
内容:「復興に携わりながら論文を書く」。バーチャルリアリティなどの研究に携わりながら、地元・珠洲市をフィールドに活動してきた大伏仙泰特任助教。過疎化が進む中で地元に対して感じてきたことや、「見附島アーカイブ」などの研究についてもお話しいただきます。トークセッションの最後には参加者と双方向的に交流する機会を設けます。
・14:00~14:15, 14:30~14:45|トークセッション
登壇者:珠洲市出身の大学生 濱野蓮也さま
内容:かつて珠洲で高校生活を過ごされた濱野さんが、”今”の珠洲の高校生の声をきいて何を感じたか、参加者の感想も共有しつつ、みんなで珠洲の高校生へ思いを馳せる車座形式のトークセッション
・随時|東大FS珠洲市メンバー・珠洲市職員を交えた車座会
詳細・申し込みはPeatixをご覧ください。https://peatix.com/event/4753141/view
能登半島先端に位置する珠洲市
東大が事務局となり、地域から投げかけられた課題に対して東大の学生が1年間取り組む課外活動プログラム、FS。石川県珠洲市を担当するチームの課題は「子どもたちが思い描く『珠洲のみらい』を表現しよう」でした。

珠洲市は石川県の能登半島の先端にあります。2024年元日に発生した能登半島地震では震度6強を観測し、4mを超える津波を観測した場所もありました。追い討ちをかけるように、24年9月には奥能登豪雨が発生しました。現在でも災害被害があらわになっている場所が多くみられるほか、建物の解体作業が至るところで進んでいます。
災害被害の大きさは全国レベルで報道されています。そうした報道を通し、災害被害という事実は多くの人に知られているかもしれません。その一方で、災害被害を受けた能登には生身の人々が生きており、そしてそこには生の声があるということは、ともすれば忘れられているのではないでしょうか。
2度の現地活動 見えてきた高校生の「声」
FS珠洲市チームには、3人の学生が所属。2度の現地活動に加え、オンライン上で高校生に対してヒアリングを行ってきました。
昨年7月30日から5日間行われた1回目の現地活動では、事前に活動への協力を表明してくれていた高校生にヒアリングを実施しました。ある高校生は災害発生から時間が経つにつれて珠洲市に関する報道が減っていく状況を「忘れられていってるような感覚」と表現。「珠洲市の存在を多くの人に知ってほしい」というその思い、そしてそのために「珠洲市の良さを発信していきたい」という意志の強さに、はっとさせられました。
高校生は未来を担っていく存在です。一方で、彼ら/彼女らの多くには参政権がなく、その声を政治レベルに昇華させていくのは難しいです。その中でも、地域に生きる高校生が持つ考えや情熱を知ることは、地域づくりを考える上で大きなヒントとなります。そして、多くの東大生のように他地域に生きる人々にとって、同世代の考えていることを知ることは、自分とは異なるパラレルな生があり、そしてそれは多様性に溢れていることを知るきっかけになります。
1回目の現地活動の4日目には、珠洲市宝立地区で行われた「宝立七夕キリコまつり」を見学。能登のキリコ祭りは圧巻で、高校生が「ずっと残したい」と表現する行事。実際に東大生も威勢良い掛け声と共に練り歩くキリコの様子に感動するとともに、高校生の思いに強く共感しました。

2回目の現地活動は10月3日からの4日間で行われました。この現地活動で目標にしたのは高校生の「生の声」を集めること。1回目の現地活動を経て、大人たちが介在することで子どもたちが自由な考えを話しづらくなるのではないかと感じたことがきっかけでした。そこで、この現地活動では高校生の部活などにお邪魔して、「普通に会話する」ことを目標にしました。その中で高校生の声を探れば良いのではないかと思ったのです。
珠洲市唯一の高校である飯田高校。個性豊かなメンバーが集う芸術部ではさまざまな話を聞いてきました。チェーン店がほとんどない珠洲市にチェーン店は欲しい?という問いに対し、高校生は欲しい!と即答するのかと思いきや、「派手な看板のチェーン店は珠洲にはいらない」という意見で意気投合していました。そのわけを聞くと、「坂の上にある高校からみる夜景が好き」とのこと。高校生自身で地域に期待していることはよく聞けばたくさんあるのです。
高校生の思いは「こうなれば良い」という、ともすれば他力本願とも捉えられかねないものばかりではありません。珠洲市内で多数存在する祭りでは、進学や就職で地域を出ることになっても、祭りの日だけは帰ってきたいという声を多数聞いてきました。過疎化は問題であっても、その中で子どもたちが地域づくりに主体的に関わろうとする声もあるのです。
芸術部で聞いた衝撃的な一言が、このイベントの標語になっています。それは、「俺ん家、オーシャンビューになった」。海岸沿いが災害被害を受け、自宅から海が見えるようになった高校生の声です。災害が発生して地域に暗い影を落としたのは事実であっても、かといってそこに生きる人々みんな陰鬱(いんうつ)になっているというのはステレオタイプにすぎません。

渋谷でみる珠洲、高校生の声
今回SHIBUYA QWSで開催されるイベントでは、珠洲市でどのような未来が描かれているか、高校生の「声」を提示します。その声は、できるだけ恣意性を排除した、「生の声」となることを目指しました。それらはご来場いただいた皆さんの思考の枠組みを揺るがすものとなり得ると考えています。
今回のイベントでは、こうした声に加えて、さまざまなトークセッションを開催します。
1つ目は、珠洲市出身の方をお招きして開催するトークセッション。高校生の描く未来像と自らの高校生時代を比較して、自らはどのような未来像を描いていたか伺います。さらに、来場者も含めた車座形式の時間を用意することで、来場者の皆さん自身も主体的に自らの生を考えるきっかけとなることを目指しています。
登壇者は、珠洲市出身である2人の大学生、そして珠洲市出身の研究者である大伏仙泰・東大先端科学技術研究センター身体情報学分野特任助教。珠洲市での写真での記録を行われている大伏さまには、ご自身の活動についてもお話しいただきます。
2つ目は、FS珠洲市チームを交えた車座形式の座談会。こちらでは珠洲市に限らず、地元を出るとはどういうことか、そして自らの高校時代にはどのような未来像を描いていたかについて、来場者の皆さんと交流する機会となることを目指します。こちらは時間設定を行わず、随時実施することを予定しております。
ぜひ、皆さんのご来場をお待ちしております。
<登壇者>
大伏 仙泰さま(おおぶし のりやす)
(東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野特任助教)
珠洲市出身。国立石川工業専門学校・同専攻科修了後、東大大学院学際情報学府修士課程・同大大学院工学系研究科先端学際工学専攻博士課程を修了。博士(工学)。現在は人間拡張工学やバーチャルリアリティに関する研究に携わり、2024年能登半島地震以降は珠洲市を中心に被害や復旧・復興の記録も行う。360度カメラを使用しストリートビューの撮影と公開を継続的に行っており、画像はGoogleストリートビューで確認することができる。
橋本 啓佑さま(東海大学建築都市学部建築学科 4年)
濱野 蓮也さま(日本大学スポーツ科学部 4年)
珠洲市出身で東京に進学している大学生2人を招き、来場者と車座で行うトークイベント。本展示会で描かれた「高校生の生の声」について感じることを珠洲市出身者・来場者の目線で語り合い、視点の違いを体感する。また、高校時代に「地元」に対して感じていたことを言語化するトピックを通じて、本展示会で扱う高校生の「地元観」と自身との共通点や違いを発見することを目的とする。










