関東大学アイスホッケーリーグ戦ディヴィジョン(Div.)Ⅱで今季優勝を果たしたスケート部アイスホッケー部門は12月4日、同リーグDiv.Ⅰ─Bで最下位に終わった立教大学との入替戦を戦い、1─4で敗れた。終盤は猛攻を仕掛けたものの、序盤に背負った大量ビハインドを最後までひっくり返せず。今季東大が見せた歴史的快進撃は、悲願の昇格まであと一歩のところで幕を閉じた。(取材・清水央太郎)
史上最高の布陣でDiv.1昇格を狙う
東大|010|1
立大|310|4
関東大学アイスホッケーリーグにはDiv.ⅠとⅡの間に分厚い壁がそびえ立っている。東大が所属するDiv.Ⅱは大学入学後に競技を始めた選手が大半を占める一方、Div.Ⅰは主に経験者で構成されているためだ。その壁を打ち破る唯一のチャンスが、この入替戦。東大がこの舞台にたどり着くのは「関東の強豪私立大学が北海道出身のアイスホッケー経験者をスカウトするようになって以来はじめて」の快挙だと安東慧コーチは話す。
この日は、Div.Ⅰの規則で試合が行われるため、普段より5分長い1ピリオド(P)20分の3Pマッチ。スタミナが心配な東大だが、相手の2倍以上の補員を生かしたこまめな入れ替えで対応。史上初のDiv.Ⅰ昇格を賭けた大一番が幕を開けた。
第1P、東大は挑戦者らしく果敢な攻撃を見せる。フィールド上で互角の勝負を繰り広げていくが、2分に自陣でのフェイスオフからいきなり失点。さらに4分にはマイナーペナルティで2分間、相手より1人少ない状態での守備を余儀なくされてしまう。ここは守護神・岸本大聖(法・4年)を中心とした守りで凌(しの)いだものの、10分に相手にミドルシュートを決められ、さらに16分にもゴールを許してしまう。相手と大差ないシュート数を記録しつつも、点差は大きく開いてしまった。
第2P、流れを変えたい東大だったが両チームが互いにゴールを決めきれない膠着(こうちゃく)状態となる。そんな中迎えた13分、左サイドを切り崩した主将の松井大弥(育・4年)を起点に最後は間宮健太(経・2年)が押し込んで待望の1点を獲得する。
このまま反撃を続けたいところだったが、16分にはこの日4失点目を喫し3点ビハインドのまま最終第3Pへ。
機械トラブルによる数十分の中断を挟んで始まった第3P、攻めるしかない東大は華麗なコンビネーションから相手ゴールに迫るもなかなか得点を奪えない。12分にはパワープレーの機会を得て、最後にはゴーリー岸本を下げフィールドプレイヤーを投入するギャンブルを試みたがスコアは動かず。逃げ切りを図る立大の4倍以上のシュートを打ち込んだものの、最後まで相手ネットが揺れることはなかった。
中盤以降は互角の試合展開を演じただけに、序盤相手に数少ない好機をものにされて奪われた3点が重くのしかかった。悲願のDiv.Ⅰ昇格という記録を残すことはできなかったが、下級生の時から出場していた松井や岸本ら主力と今季Div.Ⅱ最優秀選手に選ばれた竹本泰志(養・2年)や澤邉祐志(文Ⅰ・1年)などの新戦力が融合した「強い東大」の記憶は今後もチームに刻まれ続ける。
安東コーチのコメント
今季初めての1P20分マッチということで、豊富なベンチメンバーを生かした総力戦を目標にしていた。耐える展開を想定していた第1Pでの失点は想定していたが、3点は多かった。シュート本数やゲーム内容は互角の勝負ができたと思うが、作ったチャンスが得点に結び付かなかったのが勝敗の差になったと思う。
今シーズンは今までで一番の選手層、実力で非常に良い結果を残せたと思う。新しい主将・チームで次こそDiv.1-Bに昇格したい。
松井主将のコメント
1部と2部の差を痛感する結果になった。人数は多かったのでその有利を生かし、序盤は耐えて後半に勝つゲームプランだったがその通りにはいかなかった。今大会は1試合1試合を通じ、修正と成長を達成できたので非常に良いものになった。OBの皆さまの期待に応えられなかったのは残念だが、この入替戦にたどり着けた経験を生かして後輩たちは悲願のDiv.1-Bへの昇格を成し遂げてほしいと思う。
アイスホッケー部門は12月9~15日、第62回全国七大学総合体育大会に臨み、全勝で優勝を果たしていた。前回大会に続いての優勝で2連覇。今季目標に掲げていた三冠(秩父宮杯、リーグ戦、七大戦での優勝)を達成した。来季以降も東大の挑戦を見届けていきたい。