東大は10月1日、本郷キャンパスの東京大学大講堂(安田講堂)で2025年度秋季入学式を行った。学部生と修士・博士課程の学生が参加し、Aセメスターから東大で学び始める。式典は英語で執り行われ、オンラインで同時中継された。
藤井輝夫総長は2027年に控える東大の150周年に言及し、時間というテーマに結びつけて式辞を述べた。「時間をどうとらえるかは、私たちの社会と人生とを考えるうえで、大切な主題」とし、「大学で学ぶ時間も、138億年に及ぶ宇宙の歴史と比べれば、ほんの一瞬」と語った。藤井総長の話題は時間をテーマに、日時計や原子時計、砂時計から、ギリシャの神クロノスとカイロスに及び、人がさまざまに物を作り時間を把握することについて紹介。東大での学生生活がどのようなものになるかは「何も約束されてはいません」と強調し、仲間との語り合い、助け合い、競い合いや、広い社会との関わりを通じて「皆さん自身がその意味を決め、皆さん自身がその豊かさを創りだしていくことになるでしょう」と結んだ。
藤井総長のスピーチに続き、粕谷誠・研究科長(経済学)、國部毅・校友会長が式辞を述べた。新入生総代として熊川友子さん(医学系・博士1年)と李心悦さん(PEAK・1年)が順に宣誓。東大の歌である「大空と」と「ただ一つ」の合唱で式は締めくくられた。

入学式の直後に、東京大学新聞社は、安田講堂の外に集まった学生にインタビューを行った。
PEAK生インタビュー
秋季入学式は、教養学部英語コース(PEAK、2012年に設立された4年制英語課程)の学年の始まりに当たる。PEAKは来年の秋をもって募集を停止し、新設されるカレッジ・オブ・デザインに引き継がれる。
PEAKに入学するカミーユ・ルマジェールさん(フランス・ハンガリー)と、ディヤ・シャルマさん(インド出身、日本育ち)、ミシェル・スルジャントさん(インドネシア)にインタビューした。(取材 ゼリビ・カミル、撮影 岡拓杜)

──東大に来た理由は
ルマジェールさん:私が受けてきた教育のほとんどは、西洋の影響下にある環境だったので、新しい場所に出てみたいと思いました。欧米の他にも世界で見るべき場所はたくさんあると思います。
シャルマさん:東京の治安の良さが大好きですし、私自身ここで育ったので、ちゃんとした大学に受かったら、都内の大学に進学しようと考えていました。
スルジャントさん:私が日本に来た最大の理由は、都市の生活スタイルが好きだということです。国際的な経験をしたり、新しい言語を習得したり、全く異なる文化の人々と出会ったりすることは、誰にとっても重要だと考えています。
──期待していることや、楽しみにしていることはありますか
ルマジェールさん:先生方にお会いして、授業の雰囲気を実際に見てみたいです。ほとんどアメリカの学校についてしか知らないので、日本の先生の指導スタイルが違うのかどうか確かめたいと思っています。
シャルマさん:学生生活のカオスですかね。
スルジャントさん:授業が始まるのを楽しみにしています。それだけでなく、友人やクラスメイトのことや、首都圏のコミュニティーのことをもっと知ることが楽しみです。
修士課程生インタビュー
続いて、建築学を専攻する2人の修士課程生アナ・ハッシュさん(パレスチナ)とニーナ・イソカーンタさん(フィンランド)にインタビューした。

──東大に来た理由は
ハッシュさん:パレスチナで建築を学んでいました。パレスチナでは、文部科学省の奨学金が有名で、多くの人が応募しています。私は去年申請して奨学金に受かりました。それから、東大は評判が非常に良いので、第一志望でした。幸運にも、ここに来ることができました。
イソカーンタさん:私はヘルシンキで建築を学んでいて、日本の建築にはいつもインスピレーションを受けていました。2年前に東京でインターンをしたのですが、それが気に入って戻って来たいと思いました。それに、修士では違う学校を試してみたいと思い、奨学金を見つけられたので、今ここにいます。
──期待していることや、楽しみにしていることはありますか
ハッシュさん:バイクに乗って、日本中を旅することができたら、本当に素敵だと思います。それが夢ですね。
イソカーンタさん:私は旅や冒険がしたいです。それから、勉強についてであれば、他にもインターンをして日本の働き方や建設について学びたいと思います。
博士課程生インタビュー
最後に、博士課程のデイヴィッド・ウルフさん(ルクセンブルク)にインタビューをした。

──東大に来た理由は
ウルフさん:奨学金です。博士課程に進みたかったので、奨学金制度を利用して自分のやりたい研究ができる大学として東京大学を選びました。
──期待していることや、楽しみにしていることはありますか
ウルフさん:スキーです。北海道のスキー場に行きたいです。でも、やっぱり今はバイクの免許を取ろうと頑張っています。
インタビューは英語で行われました。