東大が新学部「ディープテック学部」と「コンピューティング学部」の設置を計画している。メタバース工学部(工学についての発信やオンラインで工学教育を行う東大工学部の組織)が10月14日に発表した。工学部は計画にあたり10月31日までパブリックコメントを実施する。
メタバース工学部は、これらの新学部では「テック系企業教育」や「コンピューター科学」を扱うと発表した。新たに公開されたサイトで掲載されている12日付の一部メディアの報道によると、 「ディープテック学部」は、AIや宇宙、半導体やロボット、量子科学などの先端分野を、「コンピューティング学部」ではコンピューター科学を専門とする。2031年度の進学選択(今の中3が現役で合格した場合の進学選択に当たる)から学生の受け入れを実施する。工学系研究科の教員によると、計画は東大本部と工学部などの関係部局によって進められているという。
東大工学部では、これまでは後期課程の3年生になると特定の学科に、4年生になると研究室に配属されるのが一般的だった。この制度のため、学生が希望する学科や研究室に所属できるとも限らず、学生の関心の変化に応じた学科や研究室の変更も困難だったという。この課題を解決するため、まずは学生からの関心が高い「コンピューター科学」や「テック系企業教育」の分野で学生が希望に応じて自由に学科や研究室に所属可能な学部の新設を目指す。新制度の開発にあたっては、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進と東大の持つ「膨大な教育リソース」を活用するという。
東大メタバース工学部は、中高生向けにオンラインで提供しているメタバース工学部ジュニア講座の案内メール配信機能を通じて、「号外」として新学部の設置とパブリックコメントの実施を発表した。パブリックコメントは 東大大学院工学系研究科と工学部が[特設サイト]で募集するが、東大や研究科・学部としてパブコメに関わる広報は行わないという。17日23時時点では、東大や東大工学部、メタバース工学部のサイトでこの情報は発信されていない。
東大は国際卓越研究大学(卓越大)の第2次公募に申請している。卓越大に選定されると科学技術振興機構(JST)の10兆円規模の大学ファンドから支援を受けられる。すでに東北大学が採択されている他、現在8つの大学が申請している。一部メディアによると、新学部の設置には大学ファンドからの支援を充てることを見越しているという。 17日には、文科省による東大の視察が行われたとする情報もある。
東大は27年秋から約70年ぶりとなる新学部・UTokyo College of Design(CoD)の開設も予定している。CoDは秋入学で、進学選択からは独立した学部となる見込みだが、今回発表された2つの新学部は、前期教養課程から進学選択を経て入学することになる。卓越大の申請にあたっては、CoDが中心的役割を果たすと見られる。
【記事修正】2025年10月19日午前10時50分 「現在7つの大学が申請している」を正しい「現在8つの大学が申請している」に修正しました。