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2025年12月29日

【総長選考2026】「求められる総長像」確定 パブコメ回答の抜粋も掲載

 

 総長選考・監察会議は12月1日に「求められる総長像」を確定した。8月までに作られた案をもとに、運営方針会議の意見やパブリックコメントを反映したもの。来年1月に学内諸会議で報告され、4月には総長選考の公示が行われる。

 

 10月8日には、運営方針会議が求められる総長像を総長選考・監察会議へ提案した。東大の経営状況を「非常時」と位置付け、東大の強みを踏まえたビジョンを示せること、そのための変革推進にあたる意志と経営手腕を持つことを次期総長に求める最重要の資質としていた。

 

 9月25日から10月8日にかけては、全学でパブリックコメントが行われた。教職員20名・学生16名(合計36名)から回答があった。(本記事末尾に回答の概要を掲載)

 

 運営方針会議は、総長に求められる資質が状況に応じて変わるとして、総長選考の時期に合わせて資質の優先順位を示すように提案している。総長選考・監察会議は、今後の選考において提案を活用していくとした。

 

求められる総長像の変更点

 

 12月1日の総長選考・監察会議で確定された「求められる総長像」の案は以下の通り。

 

(表)求められる総長像
色マーカー付きはそれぞれ、2020年の総長選考時からの変更点
ピンク色:5月21日の総長選考・監察会議でいったん確定した変更箇所
黄色:10月の運営方針会議からの意見とパブリックコメントを受けた変更箇所
緑色:10月31日の総長選考・監察会議での修正箇所
水色:11月14日の経営協議会からの意見を受けた変更箇所
(表)求められる総長像 色マーカー付きはそれぞれ、2020年の総長選考時からの変更点 ピンク色:5月21日の総長選考・監察会議でいったん確定した変更箇所 黄色:10月の運営方針会議からの意見とパブリックコメントを受けた変更箇所 緑色:10月31日の総長選考・監察会議での修正箇所 水色:11月14日の経営協議会からの意見を受けた変更箇所

 

 

パブリックコメントに寄せられた「求められる総長像」への意見

 

 パブリックコメントに寄せられた意見のうち、「求められる総長像」に関する意見の概要を全て、総長選考・監察会議の資料から抜粋して掲載する。()内は件数。

 

●2項に関する意見(4)

・「鋭い先進性を持って現代社会の要請に能動的に応え、必要に応じて大胆な改革を行い」の部分は冗長で、「要請に能動的に応える」という表現には違和感がある。

・「現代社会の要請」という表現は曖昧なため、社会と対話しながら大学が主体的に理想的な社会に関する構想・実行方針を定めるような表現とするのがよいのではないか。

・「必要に応じて」という表現は消極的で、要請から改革への繋がりが不明瞭であるため、「理想的な社会を実現するために大学が実行するべき課題を設定し,そのために必要な改革や見直しを行う」とする方がよいのではないか。

・「現代社会の要請に能動的に応え」という修正は、的確かつ迅速にというのが真意かと思うが、社会に迎合するという印象を持つため、他に適切な表現があるのではないか。

 

●3項に関する意見(7)

・冒頭「東京大学憲章の掲げる目標・理念を尊重し」及び3項「組織構成員の幅広い支持」に関して、構成員との双方向的な信頼を構築するために、構成員を真に「対話の相手」として認識することを総長像の重要な要素として明文化すべき。

・授業料改定に係る決定では、学生への説明が不十分なまま報道により知る形となったため、「円滑かつ総合的な合意形成に配慮しつつ、優れたリーダーシップを発揮し、効果的で機動的な組織運営を行う能力と実績」を「全構成員自治に則り、全構成員の合意形成にたゆまぬ努力を行ない、組織運営を行う能力と実績」と改めてほしい。

・「適切」又は「優れた」リーダーシップとはどのようなものかが不明瞭。また、「円滑かつ総合的な合意形成に配慮」は授業料改定の決定に際し、満足に達成されたとは言えないため、「協治」などより強い表現に改めるべき。

・「優れたリーダーシップ」に異論はないが、「適切に」を削る意図は図りかねる。

・「組織構成員の幅広い支持を受け」について、総長は職員・学生も含めた全構成員の代表であるとの理念をより明確化してほしい。

・深刻化する財政難の解決には、総長の強いリーダーシップが不可欠であり、「機動的な組織運営」に加え、「健全な財務経営」や「難局を乗り越えるための決断力」といった財務面の資質も明記すべき。

・「優れたリーダーシップ」について、単に強いリーダーシップを指すべきではない

 

●4項に関する意見(1)

・ 「社会の各界」という表現について、経済界などの一部の有力層に限定されるような印象を与えかねないため、税金と授業料で運営される大学として、国民や学生・保護者を広く含む「社会」という表現にすべき。

 

●5項に関する意見(1)

・「多様性を重んじ」に関して、経済的・精神的な困難や性別に関するマイノリティーなど数字だけでは捉えられない多様な背景をもつ構成員の存在へ目を向け、環境改善に積極的に取り組む姿勢が、D&Iを掲げる大学にふさわしい総長像である。

 

●その他の意見(4)

・改訂が特定の要素に偏っていることで、意中の候補者に合わせた改訂ではないかという疑念を持たれかねず、「能動的なリーダーシップ」や「財務基盤」等の記述には、学内の合意形成を軽視する意図が感じられるため、改訂にはより慎重さが求められる。

・「組織構成員の幅広い支持を受け、円滑かつ総合的な合意形成に配慮しつつ、」「自由・自律及び多様性を重んじ、」の部分に十分に留意してほしい。

・経営力だけでなく、教育研究環境や学内意思決定過程を重視する総長像が求められるのではないか。

・候補者資料の内容や意向投票が教員中心である点から、研究者としての資質が重視されていると見受けられるが、総長像には研究実績の言及がなく、違和感がある。

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