スポーツ

2022年5月18日

東大ラグビー部広報責任者が語る、100周年記念ビデオに込めた思い 〜過去の100年から次の100年へ〜

 

 2021年に創部100周年を迎えた東大ラグビー部。その記念として東大ラグビー部広報セクションはおよそ半年をかけ、東大ラグビー部が歩んだ100年の歴史や100周年という節目を迎えた年の現役部員の活躍をまとめたドキュメンタリービデオを作り上げた。今回、制作責任者を務めた榎園琴音(えのきぞの・ことね)さん(文・4年)に、制作に込めた思いや101年目のシーズンを迎えるに当たっての意気込みを聞いた。(取材・安部道裕)

 

──なぜ東大ラグビー部100周年記念としてドキュメンタリービデオを制作しようと考えたのですか

 100周年の2021シーズンが始まった時、私の同期が「ラグビー部の歴史が分かりやすく伝わる映像のコンテンツがあったらいいよね」ということを話していたので、初めは歴史をまとめた15分ぐらいのビデオを作ろうと思っていました。いよいよ作り始めようとした時、コーチから「今までの歴史に加えて100周年の代の様子、OBへのインタビュー映像を含めた1時間ぐらいの長いビデオを作ってみたらどうか」と言われて。歴史だけでなく他のいろいろな要素がまとまったものがあったら確かに良いなと感じたので制作を始めました。

 

動画制作をした昨年度広報セクション(写真は榎園さん提供)

 

 他にも、私の中に問題意識が二つあったこともあります。一つ目について、ラグビー部はすごく強い部活というわけではないので、他の東大の部活や他大学のラグビー部と比べても、高い注目を集めているわけではないんですよね。でも日本で4番目に古い大学のラグビー部であるという歴史や、勝敗だけでなく精神性が重視されているところなど、強さ以外の部分でもたくさんの魅力がある部活です。なのに部活の実態があまり世に知られていないのがもったいない、何とかしたいと広報責任者として感じていました。これが一つ目の問題意識です。

 

 二つ目は、100周年記念事業としてOBさんが設備の増強や100周年記念誌という本の編集などをしてくださったのですが、OBさんが主体でいろいろ物事が進んでいて、100周年という節目の年をせっかく現役として過ごしているのに、私たちがそこに働きかけられていないということでした。

 

 東大ラグビー部の歴史や魅力がきちんと伝わっていないこと、現役が100周年事業に参画できていないことの二つの問題意識から、コーチや同期が話していたことを踏まえてドキュメンタリービデオを広報としてやってみようとなりました。映像ならワンクリックで内容がすぐ頭に入ってきますし、ラグビーの迫力も静止画より伝わるので、東大ラグビー部のことをよく知らない人にうってつけだと思いました。

 

ビデオ内「歴史」章での、1921年創部当初の部員集合写真(写真は榎園さん提供)

 

──学生の手だけで作ったと聞きました

 東大ラグビー部という組織は「学生主体」を掲げている組織で、お金の面やコーチングではOBさんや大人の手を借りていますが、最後の意思決定などは学生が中心となって行っています。「学生自身が考えながら自身の力で物事を推進していく」ことに意義があると考えている部活なので、今回学生の手だけでビデオを作り上げたのは東大ラグビー部の伝統的な考えに沿った、東大ラグビー部らしい取り組みといえると思います。

 

 また現役部員は試合や練習、その準備など「今のこと」でつい手がいっぱいになってしまいがちですが、100周年という節目を迎えたことで「現役部員が過去にも目を向けられた」ことには意味があるのかなと思っています。現役として過去を振り返り、その過去と比較した自分自身の姿を見つめ直すことで、今に生かせるところはきっとあると考えています。

 

 

──どのようなところが大変でしたか

 私たちはラグビー部なのでもちろん映像制作に関しては素人で、本当に手探りでした。ただ2020年は、新型コロナウイルス感染症が流行して対面での新歓活動ができなかったので、ラグビー部の魅力を新入生に知ってもらうためにYouTubeを始めて、動画の編集をみんなで手分けしてやっていました。なので、動画編集の経験がある人が多かったのは救いでしたね。

 

 また今回の企画はスタッフ3人、プレイヤー9人で制作しましたが、動画編集はラグビーとは全然違うことなのでプレイヤーに負担をかけてしまったとは思います。編集は春休みに多くやってもらったのですが、春休みの練習は長くタフで。プレイヤーは疲労度が高い中で、練習外の時間に編集の時間を取らないといけないのが本当に大変そうでした。本業のラグビーとは違うところで部員が作業をしないといけなかったのは大変なところだったと思います。

 

 

──映像を通して一番伝えたいところはどこですか

 東大ラグビー部という組織は、100年の歴史の中で強かった時期・弱かった時期がありつつも、その100年間ずっとラグビーというスポーツに真正面から向き合ってきたということをまずは伝えたいです。さらに、ただ勝利を追求してきただけでなく、そこには東大ラグビー部の理念にも象徴されるような精神性・信念がありました。最後の章にあるように、100年間かけて培われてきた思いや信念がこれからの100年、これからのラグビー部の時代でも受け継がれていって、広がっていくものであるということを知ってもらえたらと思います。

 

ビデオ内「対抗戦」章での、ターゲットマッチ前の主将インタビュー(写真は榎園さん提供)

 

 あと、普段テレビなどを見ている時はテロップが出るのを普通のことだと感じますが、いざビデオを作ってみるとテロップをつけることが一番大変で(笑)。なので、そういった細かいところもぜひ見てもらいたいです。

 

──撮影やいろいろな方への取材を通して感じたことは何ですか

 新型コロナウイルスが流行する以前は食事に行くなどOBさんと対面で交流する機会は多くあったのですが、なかなかそういう機会がなくなってしまって。普段から支援をしてもらっているOBさんと直接関わりがないという状況が続いていた中で久しぶりに会ってお話を聞けました。ビデオ制作にかかわらず、こういった機会が持てたことは意義のあることだと思いましたね。さらに、私はラグビー部の歴史や伝統については元々他の部員よりは知ってはいたのですが、実際にその時代を生きた人の経験や想いといった「生の声」が聞けました。単に事実として知っていたことを、実感を持って理解できたと思います。ラグビー部への愛着もより強くなりました。

 

 

──今年は101年目という、東大ラグビー部にとっての新たな門出を迎えると思います。100年という長い歴史を振り返った今、どのような気持ちでシーズンを迎えるか聞かせてください

 ただ100年という時間が流れただけでなく、その時代の現役の部員が本当に必死で戦って、うまくいったり、悔しい思いをしたりという経験を繰り返して100年という長い時間を積み上げてきたということを実感できました。入替戦出場というのが今シーズンの目標なのですが、それは私たちだけのために達成するものでは決してないです。今までの100年間の思いを全て背負っての「入替戦出場」という目標なのだと思っています。

 また私は広報責任者なので、ラグビー部の魅力を伝えることや組織力を向上させていくために、常に主体的に考えて行動しないといけないし、かつそこに価値があると考えています。ラグビー部という組織がより愛されていくため、「次の100年」の可能性を広げるためにできることを後悔のないようにやり遂げたいと思っています。

 

 

「東京大学運動会ラグビー部100周年記念ドキュメンタリービデオ」はこちらから

 

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