インタビュー

2016年2月21日

「この業界は、ブルーオーシャン」 おときた駿・東京都議が語る政治ブログの現在

 18歳選挙権成立後、初の参議院選挙が予定される今年、若者と政治の関係が注目を集めつつある。高校生にどう政治を教えるべきか。どうすれば若者の投票率を上げることができるのか。こういった問題が、各種メディアで取り上げられることが増えた。

 そんな中、ブログという手段を使って、政治の世界に新たな風を吹き込もうとしている若手政治家がいる。2013年より東京都議会議員(北区選出)を務める、おときた駿さん(32)だ。当選以来、毎月 30回以上のペースでブログの更新を続け、最近の月間PV数は20万~30万に達する 。2014年の東京都議会やじ問題では、女性差別的なやじを強く批判した記事が大きな反響を呼んだ。

 都政の現場で精力的に活動を続けるおときた議員は、今日の日本政治をどう見ているのだろうか。インタビュー第1回では、政治家がブログを書く意義を聞いた。

 

 

―おときたさんは、ほぼ毎日という高い頻度でブログを更新されていますが、いつもどのくらい時間をかけて書いていらっしゃるんですか?

  調べたりする時間をどこまでカウントするかによりますが、書いている時間は大体30分前後ですね。

 

―労力を使う作業だと思うのですが、それを毎日続けていらっしゃる理由は何ですか?

 僕が政治家になる前は、政治家が何をしているのかさっぱりわからなかったし、政治がわからないから、みんな政治に興味がない訳です。駅に立ったりチラシを配ったりするけれども、それはあくまで選挙のためであって、わかりやすく政治を伝えようという気持ちでやっている政治家があまりにも少ない。そこに私は問題意識を持っていて、誰もやらないんだったら自分がやるしかないだろう、と。

 特にいまはインターネットの時代で、一筆書けば1万人とか、バズれば10万人に見てもらえる時代なんだから、「これはやらない手はない」と思って続けているというところです。

 

―たくさんブログを書かれる中で、かなり読まれる記事もあると思うんですが、それはどんな記事ですか?

 結局よく読まれる記事って、お金関係とかスキャンダルとか、そういう分かりやすいものなんですね。そういうのって面白いけれども、本当はもっと政策とかを読んでほしい訳ですよ。ただ、まじめな障害者の政策とかLGBTがどうだとか書いても、やっぱりアクセス数で考えたら10倍くらい開きがあったりします。

 BLOGOSとかハフィントンポストでバズる記事ばかり目に入って、「おときたって奴は結局金の話しか書かないのか」と時々言われたりすると、「ちゃんと前後読んでよ」と思うんですけど、そこはなかなか伝わらないので、今後どう伝えていくかは大きな課題です。情報量自体はたくさん出していると思いますが、それが目的とする人全員に届いている訳じゃないというのは、歯がゆいところですね。

 

おときたさん1-2

 

―ブログ執筆にあたって、注意している点はありますか?

 炎上対策というか、公人が書くものなので、ちょっとした間違いとか表現の方法次第でもあっという間に燃え広がる時代なので、一般的なリテラシーみたいなところは気を付けているという感じですかね。

 

―何か、炎上のご経験とかってありますか?

 まあ、いつも燃えてますよ(笑)。たとえば障害者の話で、とある専門家が言ったことを書いたら、「それは一面的な見方だから」ということで、別の側から「不勉強でこういうことを発信するな」と総攻撃を食らいました。

 別に僕はこれが絶対に正しいと思って書いたつもりはなかったけれども、そっち側の人から見たら、「一つの意見だけ取り上げるな」ということになる訳で、両方のバランスを取るのは非常に難しいですよね。所詮ブログって1500文字しか書けないので、「ここの研究が足りない」とか「ここは不十分だ」とか、細かいことはいくらでも揚げ足を取れて、それを気にしていたらもう書けなくなってしまう。

 どこで割り切るかっていうのは非常に難しい問題で、僕はある程度燃えてもしょうがないと思っている。それはもう、前後の文脈を読んでくださいとしか言いようがないですね。

 

―僕たちも記事を書くのですが、まじめな話だとなかなか読まれないということがあります。それでも「これを伝えたい」と思ったら、それを読ませるコツが必要だと思うのですが、具体的に何かありますか?

 簡単に言うと、タイトルのつけ方とか話題性。社会課題っていくらでもあって、毎日いろんなことをやっているけれども、いま何が読まれるのかっていうところで、たとえば「LGBTの最高裁判決が出ました」といったら、そこに合わせた方がいい訳です。昨日清原が捕まったんだったら、覚醒剤取締りについて東京都ってどんなことやってるの、とか。時事ネタとからめるといった工夫をしないと、いくらいいものを書いたって読まれる訳がないので。

 たとえば「清原も関連した何々対策がすごい」とか、タイトルもわかりやすいものをつければ、SEO(筆者注:検索エンジン最適化)でも上がってきて、僕の記事に流入してくるかもしれない。それは全然政治家の仕事じゃないんだけれども、僕はブログを10年くらいつけていて知識があるので、多くの普通の人に「清原の記事にアクセスしたら政治家の話だった。へー都議 ってこんなことしてんのね」とかいう形で、一つでもつながればいいんじゃないかな、と思いますね。

 

―最近では、どんなエントリが読まれていますか?

 自分の結婚とかすごい読まれましたね(笑)。プライベートなものがバズることもあります。あとは、政務活動費。野々村さんが話題になっているので、あれは野々村さんが話題に出るたびにアクセスが増えています。

 

―いろんなブログを書かれる中で、反応もいろんな方から返ってくると思いますが、どんな反応が多いですか?

 基本的には、ネットの世界なのでネガティブなものが多くて、「勉強不足だ」とか、私生活のことを書くと「遊んでんじゃねえ」とか。あまり肯定的なものばかりではないです。

 政治家がブログとかツイッターをやりたくないのは、批判が来ることが多いからですね。それで、票にならないと言われていて。さっきも言ったように1500文字ですべてを書くのは不可能なので、悪意がある人につかまったら絶対たたかれる訳です。そういうところが割り切れる人じゃないと、政治家でブログをやるのは難しいですね。

 

―それだけネガティブな反応が多いのに続けるのは、どうしてなんですか?

 まあネット民だからね(笑)。そんなの話半分に聞いとけばいいんじゃないかっていうところと、自分のクオリティには自信を持っているので、新聞記事と一緒で、絶対に必要としてくれている人はいると信じてやっています。

 それで、誰もやっていないから、ブルーオーシャンなんですよね、この業界。東京都の記事でググったら僕の記事以外出てこないということがありえるくらい、誰も書いていない。

 グーグルでビジネスのこととか株の話とかファッションとか、大抵のことはわかるけれど、地方政治のことを調べようと思ったら区役所のページとかしか出てこない訳ですよ。ネットの世界って、株でこう儲けたとか、このファッションがイケてるとか、だんだんみんながブログとかで自分の情報を出すことで、情報が豊かになっていく訳じゃないですか。

 政治の世界はそこがまだ未発達なので、若手の政治家がやっていくことで、国民が啓蒙されて政治に強くなっていく。それは社会的にも意義があることなので、続けているというところです。(続く)

 

おときたさん1-3

 

取材を終えて

 フランクな言葉で政治家がブログを書く意義について語ってくれたおときた議員は、20代前半の取材陣から見ても身近な、等身大の政治家という印象を受けた。インターネットの力を使って新しい分野を切り開いていく姿は、どこか最近の若手起業家に重なるようにも思えた。

 次のインタビュー第2回では、政治×ネットの今後、そして若者の政治参加について聞く。

 

(聞き手・文:井手佑翼 聞き手・写真:須田英太郎)

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