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2015年6月25日

コンピュータの本質とは?ビジュアルプログラミング言語「Viscuit(ビスケット)」

コンピュータの本質、可能性、限界をどれくらいの人が理解しているだろうか?

そう疑問を投げかけるのは、2014年度の人工知能学会「現場イノベーション賞」を受賞したビジュアルプログラミング言語「Viscuit(ビスケット)」の開発者、原田康徳(はらだ やすのり)さんだ。

原田さんの登壇するセミナーが、6月29日(月) にある。現場で活躍する科学者やエンジニアを講師に迎えて、セミナーとディスカッションを行うSCHOLAR.professor。研究開発や新規事業開発を担当する企業関係者や、アカデミックに活躍する研究者とが交流を深め、価値創造プロセスそのものを革新することを目指している。

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■原田 康徳 氏からのメッセージ
「日本企業のIT活用が遅れている理由はコンピュータの本質を理解していないことにある」

この度、「ビジュアルプログラミング言語Viscuitの開発および普及活動」が評価され、人工知能学会の「現場イノベーション賞」をいただきました。「ビスケットが人工知能研究の成果の一つである」ということがここに示されたといえます。研究の成果によりプログラミングは簡単になってきました。小学校に取り入れられるだけでなく、家庭にも自然に使われるものを目指していきたいですね。

みなさんは「コンピュータとは何か」という問いに答えられますか?どのくらいの人が「コンピュータ」の本質や可能性、限界を理解しているでしょうか?今の社会はコンピュータ無しではもはや成立できず、生活やビジネスにおいてコンピュータへの依存度はますます高まって行くでしょう。それにも関わらず、経済産業省の情報処理実態調査でも示されましたが日本企業のIT活用は非常に遅れています。

>>平成26年情報処理実態調査の結果をとりまとめ
http://www.meti.go.jp/statistics/zyo/zyouhou/result-2/h26jyojitsu.html

その理由はコンピュータが特殊な発明であり、多くの人がその本質的な理解ができていないことにあります。これまでのほとんどの発明が、それまであったものとの差分で説明できました。たとえば自動車は、馬車との差分で説明ができ、飼育が不要であり速く遠くまで行けるようになったと言えます。しかしコンピュータには前例となるものがなく差分では説明できません。

同時にコンピュータは人間が認識できる桁をはるかに越えた存在でもあります。馬車から自動車に変わったことで、速度も移動距離も恐らく10倍にはなりましたが、コンピュータの発明では億、兆といった規模で変化が起きました。こういった規模の変化を導く発明の、本質的な理解はそう簡単なことではなく、そのためITの活用が遅れています。

<知っている人と知らない人>
コンピュータの本質を理解するということは、本を読んで知識として理解するのではなく、限界や可能性、進化の方向に関して理解して判断できるかどうかということです。それができるかどうかの違いは、プログラムを書くか書かないかの違いです。

プログラムを書くということは、ものづくりの最下層ではなく、未来を遠くまで見ることのできる必須のスキルであり、社会を主体的に構成する人たちにとって必須のスキルです。

<従来のプログラミング言語の問題点>
従来のプログラミングではプログラミングの言語的側面に意識を向けることが多く、コンピュータやプログラミングの本質を見失いがちでした。「プログラミング言語を学ぶこと」が目的になるのではなく、「プログラミングの本質」を学び活用するためにはツールがもっと直感的である必要があります。

<教育用ビジュアルプログラミング言語「Viscuit-ビスケット-」の誕生>
そこで、直感的なプログラミングを可能にしたのが、小学生低学年からプログラミングが可能になる教育用ビジュアルプログラミング言語「ビスケット」です。ビスケットでは簡単な原理を覚えるだけで複雑なプログラムをすぐに作れるようになります。そのため「プログラミング言語」を学ぶことを超えて「プログラミングの本質はなにか」を学ぶことができます。短時間でコンピュータの無限の可能性に触れることができるツールと言えます。ビスケットには見た目の簡単さとは裏腹に、奥深いコンピュータの原理が仕組まれているのです。

<ビスケットが可能にすること>
プログラムが書けるようになることで、コンピュータやプログラミングが使われる場を広げることができます。それは与えられたコンピュータやソフトウェアを使うということではなく、家庭や教育の場にビスケットが入り活用されることで、必要なものをプログラミング、つまりその場にあったコンピュータを作りながら生活するという世界が可能になるということです。

専門家でさえ思いつかなかったコンピュータの使い方を、一般の人が見出せる時代が来るかもしれません。

第6回「SCHOLAR.professor」についての詳細は以下のとおり。

【開催日時】
2015年6月29日(月) 19:30~22:00(開場19:00)
【会場】
devcafe@INFOCITY(渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル16F)
【受講料 特別割引】
東京大学新聞オンラインの読者には、通常5,000円のところ、申込フォーム(詳細はこちら)で「一般・ゲスト参加」を選択した上、秘密のコードを入力すると、「研究者の卵割」と同額の3000円(税込)で参加可能です。

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「東京大学新聞は、西暦○○○○年に創刊された、東京大学の学生が編集を行う週刊の新聞です」

(文責 須田英太郎)

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