COLUMN 2014年4月18日

面接で「スピーチ」はダメ。「アドリブトーク」風に見せる魔法の言葉とは? 霜田明寛の就活十番勝負6

shimoda6.jpgモデル:下田奈奈 元「ZIP!」リポーター/明治ガールズコレクション2012 グランプリ

 昨日の朝、虎ノ門駅近くの信号で、おそらく自己PRだと思われる内容を、口パクしながら、いや、むしろ若干声に出しながら歩いているリクルートスーツ姿の女子大生を見て、「やめな!やめな!」と言いたい衝動に駆られました。彼女が変な人に見えるからではありません。目で必死に合図を送ったのですが、こっちが変な人扱いされそうだったので、それ以上はやめておきました。

 ということで、今回は自己PRをはじめとする、面接でのトークの準備の話です。この女子大生のように、完全に暗記した自己PRというのは、果たして有効なのでしょうか? ちなみに、この連載の第2回で、こんなことを書いたらとても好評でした。

「面接なんて素がいいんだろ?」と思う人もいるかもしれません。でも、”何もしない”は”素”とは違います。周到に準備したからこそ、安心して自然に振る舞える。それこそが、本当に有効な”素”の姿なのです。

 これは、要するに「準備をたくさんするから素になれるよ。ちゃんと準備しようね」ということですが、今回は、さらに踏み込みます。ここには、注意しなくてはならないポイントがひとつあるのです。 実は、準備するのはいいけれど、面接担当者に、「こいつ準備してきたな……」と思われるとダメなのです。つまらないやつだ、と思われてしまう

 矛盾しているように聞こえるかもしれませんが、ちょっと考えてみてください。 例えば、国会での首相の答弁。明らかに用意してきた原稿を読み上げているのがバレバレで、頭に全く入ってきませんよね。ときに、その場で出た質問と、用意した答弁がフィットしておらず、ちぐはぐになっていることも見受けられます。 面接で、覚えてきた自己PRをとうとうと述べるのは、この国会での答弁に近いものがあります。繰り返しますが、用意すること自体が悪いことではなく、むしろいいことなのですが、それがうまく活かされていない状況になってしまうのです。

 人は、誰かの話を聞くときに、「同じ内容の話をいつもしてるんだろうな」と思うより、「今、目の前にいる自分に反応して生まれた話だ」と感じたほうが、好感をもちやすくなります。 例えば、基本的には毎日同じことをしている演劇やライブでも、「今日のお客さんは◯◯ですね」みたいなアドリブやトークが挟まると、会場全体が盛り上がりますよね。

 話を聞いている側は、“用意されたもの”と、”その場で生み出されたもの”とでは、後者を新鮮に感じ、好感を持つのです。 その場で生み出されたもののほうが、一方通行ではなく、双方向でやりとりしている感じになります。伝達するのではなく、場を共有すること。それがコミュニケーションの本質です。答弁のようなスピーチは、自分の話の一方的な押しつけ、すなわち伝達になってしまい、本当のコミュニケーションになっていません。

 面接でも同じことが言えます。 そう、面接の場ではスピーチではなく、トークをしなければいけないのです。 では、スピーチではなくトークをするにはどうすればいいのでしょうか?スピーチじゃないからといって、何も考えない、何も用意しないで面接にのぞむのもまた違います。”考えてトークをする”ことが必要なのです。“スピーチ原稿”は充分に用意した上で、その場でトークに変えることが重要です。なんだかよくわからなくなってきましたね。

 ということで、小手先ではありますが、用意してきたものをトークに見せる、面接でのとっさのひとことを紹介したいと思います。 ポイントは、”アドリブ風”。準備してきたものを、その場で生まれた偶発的なものに見せるための言葉です。

  1. 「えっと……」(考えている雰囲気をだしながら)
  2. 「あ!」(今思いついた風に)
  3. 「そういえば今朝……」

 ①②は、主に話の冒頭で使います。何か質問をされたときに、間髪入れずに答えられると、面接担当者は「この質問への答えを用意してきていたな……」と勘ぐってしまいます。就活生は、自分が予想していた質問が飛んできたりすると、「その答えはもう考えてあるぜ!」とばかりに、すぐに食いついてしまいがち。すると、せっかくよい答えでも、魅力が半減して聞こえてしまいます。 そこで、少し”考えている風”の間を作ることが大事です。時間にして、1~3秒。それ以上沈黙するとしらけてしまうので、すかさず①の言葉で「今考えていますよ!」という雰囲気を出します。

 それから、②とともに喋りだすという流れがよいでしょう。そうすると、“用意してきた答え”を”今思いついた風”に喋ることができます。また、この話を今この3秒の間で考えついたと受け取られるので、”頭の回転の良さ”もアピールすることができます。

 ➂は、自分の持っている鉄板エピソードに使います。この時期、そろそろ面接に慣れ、自分のこの話がウケる、というエピソードを、皆さんが持ち始めていると思います。ですが、喋れば喋るほど、どうしても新鮮味が欠けてきてしまい、聞いている側も「もしかして、このエピソード毎回使っているのかな?」という気になってしまいます。 そこで有効なのが➂なのです。「そういえば今朝」でも「そういえば昨日」でもいいのですが、とにかく直近にその出来事が起きたことにします。もしくはそれが難しそうだったら、「そういえば昨日◯◯なことがあって思い出したのですが……」と、あくまで思い出したきっかけにする。

 それだけで、一気にマンネリ感が減ってきます。 つまり、毎回使っている話を、”その日のその面接だけのための話”に見せることができるのです。 「そんなのバレるっしょ!」と思った方、この記事の冒頭に戻ってみてください。今回の冒頭のエピソードは、実は去年の出来事なのですが、「昨日の朝……」という言葉で最近の出来事に見せかける➂の術を使っています。ね、特に違和感なかったですよね!? 今日起きたことは、昨日起きていてもおかしくないし、去年起きていてもおかしくない。 別に完全なウソをつけ、と言っているわけではありません。『人志松本のすべらない話』だって、芸人さんが決まった順番で喋るのではなく、あの中にサイコロという偶発性が入ることによって、同じ話でもより芸人さんが面白く見えていますよね。 面接は相手との共感を得るための”ショー”だと考えれば、これくらいの”演出”は許容範囲内なのです。

POINT

  • 『いつもの話』を『今日だけの話』風に。
  • 伝達ではなく、共有するコミュニケーションをするためのショー。それが面接である。

 

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霜田明寛 (しもだ・あきひろ) 1985年生まれ、東京都出身。国立東京学芸大学附属高等学校を経て、早稲田大学商学部を卒業。2008年の大学在学中に、第四回出版甲子園準グランプリを受賞し、執筆活動を始める。雑誌記者・ライターとして活動する傍ら、『夢をかなえるゾウ』著者の水野敬也氏に師事し、『テレビ局就活の極意 パンチラ見せれば通るわよっ!』『マスコミ就活革命(レボリューション)~普通の僕らの負けない就活術~』の著書を出版。 その後、就活生相談や全国の大学からの講演依頼が殺到。アナウンサーをはじめ、テレビ局、出版社、広告代理店など、マスコミを中心に多くの就活生を送り出す。2013 年からはPR会社に勤務する傍ら、早稲田大学で就活講座を担当。主宰するセミナー『就活エッジ』も好評を博している。

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