EVENT 2018年11月28日

TikTokのマーケティングの秘密に迫る! TikTok講演会レポート

 2018年第1四半期に約4580万回ダウンロードされ、この期間における世界でもっともダウンロードされたアプリとして勢いを増すTikTok。15秒前後の短い音楽に合わせてダンスや口パクなどの動画を撮影・加工して共有する同アプリは、日本でも10代の若者を中心に大きな人気を集めている。

 

ロゴはTikTok提供

 

 TikTokが日本で成功を収めた秘密は何なのか。それを明らかにするべく、東大の国際系サークル「Bizjapan」の活動の一環として、ビジネス面からの日中間の交流を促進するために立ち上がったチーム「Nichy」が主催する『今が旬!「TikTok」の人気の秘密を解剖するビジネスセミナー』が10月22日夜に新宿にあるTikTokオフィスで開かれた。ByteDanceを親会社に持つTikTokの人事担当者が登壇し、日本市場におけるマーケティング手法を中心に講演を行った。

 

(取材・楊海沙)

 

 約40人に上る参加者が集まった会場内で、運営メンバーである賀友如(が・ともえ)さん(文II・2年)による「Nichy」の活動内容の紹介からイベントは始まった。「中国では現在イノベーションや経済発展が進んでいるが、日本の大学生はその事情をよく知らないと感じている。私たちの活動を通じて中国の経済的側面について知ってもらえたら」と話した。賀さん自身も、中国では外で携帯1台しか持たずWeChat Payを主に使い、現金お断りの店が多数あるキャッシュレス社会を体感しており、ロボットが料理の注文から調理、会計まで全てを行うロボットレストランの開店などを通じてイノベーションが進んでいることを語った。

 

 

「中毒性」の裏にはAIの存在

 

写真はTikTok提供

 

 続いて登壇したのは、中国でNo.1のシェアを誇るドローン製造会社DJI Japanに勤めたことがある、TikTokの人事担当者だ。TikTokのミッションは「スマートフォンを通じて世界中の創造力や知識を瞬時に届けるグローバルなプラットフォームをつくる」ことだという。

 

  TikTokを見始めたらなかなかやめられない人は多いだろう。その「中毒性」の裏には、AI(人工知能)の存在がある。言語処理や機械学習により、ユーザーの好みに正確に合わせたコンテンツを届け、AIを通じて配信の効率を高める。これが活発なコミュニケーションを生み、より高いクオリティのコンテンツ作成を促進している。「自分が見たいものが勝手にどんどん出てくる」のがTikTokの強みだ。会社設立当初からAIへの投資に力を入れ、優秀なAIのエンジニアを集めている。将来的には、優秀なAIの研究室が多い日本でAIの開発を行うことも検討し、AR(拡張現実)や、海外のコンテンツを自動的に翻訳してくれる機能の導入も目指しているという。

 

写真はTikTok提供

 

  TikTokの本拠地はロサンゼルスにあり、東京、上海、北京、ソウル、シンガポール、ジャカルタ、ムンバイ、ロンドンなど世界各地に拠点がある。TikTok japanには世界各地から100人以上のグローバル人材が集まり、チームメンバーは毎月10、20名という速いスピードで増加しているという。謙虚かつオープンな態度でチームとともに働くことが求められ、モットーは「とにかくやってみる」こと。社内評価は結果主義に基づいており、タイムカードのないフレキシブルな環境のもとで従業員一人一人の個性を尊重。それぞれが効率的に働けるようになっている。

 

 

タイアップに力を入れる

 

 日本はアジアでダウンロード数が一時期No.1になるなど、TikTokにとって非常に重要な市場だ。TikTokは2017年8月に日本に進出し、短期間で多くのユーザーを獲得することができた。最初はYouTubeやFacebook、Twitter等で広告を打ち出し、人気を集めるにつれて、「アゴ乗せ」や「U.S.A.」ダンスなどの流行を生み出した。テレビCMに加えてTV番組、映画、アーティストとのタイアップにも力を入れており、講演会でもいくつかのCMを紹介。テレビドラマの内容とリンクして出演俳優にTikTokを使用してもらい、普通のCMより長い尺で宣伝をするというインフォマーシャルを取り入れるなど新しい挑戦を続けている。今後の課題としては、Twitter等での広告が「うざい」などという不満の声が一部にあることが挙げられ、有名人とのタイアップなどを通じてイメージチェンジを図っている。「とにかく大胆にやりたい、TikTokはうざくない、新しいもの好き、というのがTikTokの宣伝にあたり伝えたい3つのこと」と締めくくり、参加者からは大きな拍手が起こった。

 

写真はTikTok提供

 

 質疑応答の時間では、答えきれないほど多くの参加者から手が上がり、TikTokへの関心の高さがうかがえた。なぜ日本のマーケットを優先しているのかという質問に対しては、「日本はGDPが世界3位という大市場であるとともにコンテンツ・カルチャーの発信地としての存在感も大きく、グローバル志向の人材も多い」と答えた。また、「iPhoneで使いすぎ防止機能が導入されるなどスマホ依存に警鐘が鳴らされてきている中で、中毒性を持つTikTokはこの状況にどう向き合っていくのか」という質問には「今のTikTokはまだダンスや歌などエンターテイメント性の要素が強いが、グルメ情報や旅行先の風景、生活のお役立ち情報などと皆さまの日々の生活に貢献できるようなコンテンツを増やしていきたい」と話した。

 

 

日中間におけるマーケティングの違いとは

 

 同じくアジアの巨大市場である中国に関する質問も多く、中国と日本のマーケットの違いを聞かれると、TikTokの人事担当者は「中国はすぐ製品が話題になりやすく、いきなり億単位のユーザーを獲得でき、1,2ヶ月で奪い合いになる。SNSでの宣伝やインフエンサーとの協力をするだけですぐ人気になる。それに対し、日本のユーザーは製品を受け入れるのに時間がかかり、日本ではテレビ、電車広告、SNSなど多方面で宣伝をすることを通じてマーケットを育てなければならない」と答えた。

 

 このように、TikTokはAI技術により一人一人のユーザーの異なるニーズに合わせたコンテンツを届け、タイアップなどを通じて大胆に挑戦を続けることで、日本でも多くのユーザーを獲得し続けているのである。今後はエンターティメント以外の分野にも力を入れていくというTikTok。さらなる成長をどのように遂げていくのか、今後の動向には注目だ。

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