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2016年3月24日

2018年度から復活の理科三類面接、過去の試験では何が問われたのか

 東大が2018年度入試で導入する理Ⅲの面接試験は、99~07年度入試でも実施されていた。当時は医学的知識や時事的関心、医師の倫理性が問われたが、医師の適性は入学後の前期課程で審査するとして廃止。今回の面接試験復活で、東大は医学に関わる動機付けや適性の審査を目指す。(構成・太田聡一郎)

面接復活は2016年度合格発表と同時に発表された

 

以前は医学の専門知識を重視

 

 99~07年度入試の理Ⅲの面接試験は面接官3人に受験生1人という形式で約20分間行われ、質問事項は一部受験生ごとの質問を除いて事前に決められていた。質問は「アフリカでエイズの流行を防ぐには」(01年度)など専門知識や医学に関する時事的事項を問うものが多かった。「友達の父が脳死と診断され臓器提供を求められたとき、あなたは友達にどうアドバイスするか」(99年度)など倫理性を問う質問もなされた。

 

理Ⅲ面接復活図表

 

 99年度入試での面接試験導入時、多くの受験生は「学力以外の医師の素質を見てもらえる」と歓迎したが、「専門的な質問に戸惑った」という声もあった。面接が最終的な合否に影響した受験生は毎年数名だったという。

 理Ⅲの面接試験廃止は07年の3月に発表。吉田元夫副学長(当時)は少人数授業や担当教員の進路指導など、入学後の教育で学生の適性を判断する環境が整ったことが理由と説明した。医師の適性を判断できないとの懸念には、2年間の前期課程で慎重に見極めると応じていた。

 

 東大は18年度入試からの面接試験の復活理由について、実質全員が医学部へ進学する理Ⅲでは患者とのコミュニケーション能力などの適性や医師への動機付けを早い段階で判断する必要があるためと説明。現理Ⅲ生の医師の適性を否定するわけではないものの、成績は良いが医師の自覚に欠ける学生もいると苦言を呈した。

 面接は質問を事前に決めず受験生との会話に集中する自由面接を予定する。加点することはなく、受験生が本当に医師になりたいのか自省する機会となることを狙う。詳細は16年7月まで検討し、17年7月までに公表する。

 


この記事は、2016年3月22日号(就職特集号Ⅰ)からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。紙面はこちらのページでご購入いただけます。

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