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2022年10月22日

今の高1から新学習指導要領で入試に変化 共テ・東大入試の変更点は?

 

 新学習指導要領の導入に伴い、2025年度入試から大学入試が変わる。大学入試センターが新学習指導要領(新要領)に応じた大学入学共通テストの出題形式を発表しているほか、東大は23年12月に、25年度入学者選抜(一般選抜)での出題教科・科目についての予告・補遺を発表した。「情報」の共通テストでの受験が必須になることが示されたほか、2次試験「数学」の出題範囲に「統計的な推測」が加えられるなどの変更がある。東大を受験する学生に求められる学習内容はどう変わるのか。共通テストと2次試験について見ていく。

 

国語

地理歴史

公民

数学

理科

外国語

情報

 

国語

  共通テストについて、24年度までは「国語総合」の内容を出題範囲としていたのに対し、25年度からは「現代の国語」「言語文化」からの出題に変更される。近代以降の文章が大問3問110点、古典が大問2問90点(古文・漢文各45点)となり、大問数が1問増加。これに伴い、試験時間が10分延長され、90分となる。

 

 大学入試センターは23年6月の発表で、25年度共通テストからの問題作成について「言葉による記録、要約、説明、論述、話合い等の言語活動を重視」という方針を明らかにしている。新要領では「伝統行事や風物詩などの文化に関する題材」「和歌や俳句などを読み、書き換えたり外国語に訳す」などの記載が見られ、これらの内容を含んだ出題が新設・増加される可能性がある。

 

地理歴史

 

(表1)「地理歴史」の科目編成の変化

 

  新要領では科目が(表1)のように整理され、共通テスト出題科目は「地理総合・地理探求」「歴史総合・日本史探求」「歴史総合・世界史探求」となる。「歴史総合」では旧課程で「日本史A」「世界史A」として扱われた近現代史などを扱うため、いわゆる世界史・日本史選択者は、従来より近現代の歴史に関する考察を求められる可能性がある。また「地理探求」の学習指導要領に、従来なかった「交通・通信、観光」の項目が追加。東大の2次試験で文科生が受験する「地理歴史」は、「地理探求」「日本史探求」「世界史探求」の3科目から2科目を選択する形式になる。

 

公民

 

   現行の形式に引き続き、東大の2次試験では出題されない。旧課程では「現代社会」「倫理」「経済」が選択必修とされたが、新課程では新設の「公共」が必修科目に。改訂で廃止された「現代社会」の内容が改編されている。共通テストは「公共、倫理」「公共、政治・経済」の形式で行われる。新学習指導要領の「倫理」では、生命科学や医療技術の発達を踏まえた「生」の意義の考察といった内容が盛り込まれた。共通テストでは「地理総合・歴史総合・公共」という「地理総合」「歴史総合」「公共」の三つから二つを選択する形式も予定されているが、東大はこれによる受験を認めないとした。

 

数学

 

(表2)「数学」の科目編成の変化
(表2)「数学」の科目編成の変化

 

   新要領では科目が(表2)のように再編成され、「数学B」からは「ベクトル」を、「数学Ⅲ」からは「平面上の曲線と複素数平面」、「数学活用」からは「社会生活における数理的な考察」の内容を部分的に引き継いだ「数学C」が新設される。

 

(表3)東大2次試験「数学」の出題範囲

 

 これに伴い25年度からの共通テストでは、従来の「数学Ⅱ、数学B」が「数学Ⅱ、数学B、数学C」に変わり、これまでは「数学Ⅲ」の内容だったため共通テストで出題されなかった「平面上の曲線と複素数平面」が「数列」「統計的な推測」「ベクトル」とともに、四つから三つを選ぶ選択問題として出題されることになる。24年度までの「数学Ⅱ、数学B」の試験時間は60分だったが、25年度からの「数学Ⅱ、数学B、数学C」では試験時間が10分延長され、70分となる。東大の2次試験の出題範囲も(表3)のように変更され、「統計的な推測」の内容が文理ともに新たに加えられる。新課程の「統計的な推測」では標本調査や確率分布などに加え、新たに仮説検定が扱われる。新要領では「数学Ⅰ」の「データの分析」も拡張。コンピューターを利用したデータの整理や仮説検定の考え方、主張の妥当性の批判的な考察が新たに扱われており、試験問題に影響する可能性もある。

 

理科

 

 25年度以降の共通テスト・東大の2次試験ともに出題形式に関する変化は見られなかった。

 

「生物基礎」では「ヒトの体の調節」という項目が新設され、特にヒトに焦点を当てて神経系や内分泌系による体内環境の維持や免疫といったトピックを扱う。

 

 「生物」では「人類の系統と進化」という項目が新設され、進化というトピックを特にヒトに関連づけ学習することになる。同じく追加された「生態系と人間生活」では、人間生活が生態系に及ぼす影響を「地球規模のものを中心に」扱うとされている。

 

外国語

 

 大学入試センターは「リーディング」形式と「リスニング」形式の問題を出題すると発表している。東大は従来通り、入学者選抜で共通テストの配点を「リーディング」「リスニング」を7:3にする得点換算を行う。

 

 学習指導要領の改訂で、語や句、文中の強勢などの「音声」、カンマ・コロン・セミコロンなどの「句読法」、接続詞や前置詞の用法の指導が追加された。これらが共通テストや2次試験の出題内容に影響する可能性がある。

 

情報

 

 新要領では旧課程の「社会と情報」「情報と科学」から「情報Ⅰ」「情報Ⅱ」という編成になり、このうち「情報Ⅰ」が必履修科目になった。共通テストの「情報」も「情報Ⅰ」から出題される。21年3月に公開されたサンプル問題では、情報技術の仕組みとその利点を考える問題や、適切にプログラムを完成させる問題、回帰直線(分布傾向を表す直線)から項目の値を予測したり残差(実測値と予測値の差)について考えたりする問題が出題されている(こちらの記事も参照)。

 

 東大は25年度以降の入試で、共通テスト「情報」の受験を必須とした。配点は100点で、全体の10%を占める。2次試験の科目として「情報」が増設されることはなかった。

 

 


 

学校推薦型選抜 高校など卒業後1年までに

 

 東大の一般選抜と学校推薦型選抜で、共通テストで受験が求められる教科・科目に違いはない。

 

 旧教育課程の履修者に対して、25年度共通テストでは「地理歴史」「公民」「数学」「情報」で経過措置が行われる。東大は「理科」でも、新旧教育課程で扱いが異なる内容について、選択解答できる問題を出題する場合があるとした。25年度東大2次試験でも、旧教育課程の履修者に対して出題する教科・科目の問題の内容による配慮を行うとしている。

 

 東大は学校推薦型選抜の出願資格について、25年度入試から「高等学校等卒業後1年まで」と変更することを発表している。

 

 

東大を志望する高122年の取材時点)の声

 

 共通テストに「情報」が加わることについて、勉強的な負担としてはさほど変わらないと思っています。「情報」は他の科目に比べ、常識を使って解く問題が多く、将来の生活にも役に立ちやすいものだと思います。まだ対策を行っていないのですが、比較的忙しくない高1のうちに、身近なSNSの仕組みや、プログラミングについて学んでいきたいと思います。

 

 

【記事修正】2023年1月24日、記事中の「令和7年度」という表現を「2025年度」に改めました。

 

【記事修正】2023年7月12日、表2の差し替え及び記事中の情報を更新しました。

 

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「情報」共通テスト導入 経緯と課題は

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