文化

2024年2月20日

【知のrecipe】寒い冬にこそ! 心に染みる鶏スープ

 

 夕方、少し息をすると顔の前で白くなってから消えていくこの季節。今晩はスープで温まりませんか? 東大卒の食文化研究家スギアカツキさんに、忙しい学生でも作れる、簡単ながら味は一流のスープレシピを聞いた。

 

心に染みる鶏スープ

 

 スープを飲んでほっとするという経験は、誰もが味わったことがあるのではないでしょうか。そんな心身温まる食べ物を一種類でも最高においしく作れるようになってもらえたらという願いを込めて、一生モノのレシピをご紹介します。手軽な価格で購入できる骨付き鶏と言えば、手羽先や手羽元。これらをぐつぐつ煮込むだけで、旨味たっぷりのスープが完成します。合わせる食材は、自由。冷蔵庫に残っている野菜、その日に安かった豆腐、使ってみたいと思っていた魚介類など自分の直感を信じて選ぶのも楽しい時間です。ずいぶん昔の話になりますが、私が東大生になった時に購入したイチョウの型抜き。今でも大切にしていて、今回活躍してもらいました。おいしいスープを作ろうという意欲は、体温や栄養だけでなく、生きる好奇心も高めてくれます。

 

材料

 

【材料(2~3回分)】  
鶏手羽先もしくは手羽元 5~6本
ネギ(青い部分) 3センチ
お湯 1リットル
小さじ1
みりん 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
好みの食材 自由

※お正月に余っていたカマボコとかつお菜、大根、人参を選びました。人参はイチョウ型に。

 

レシピ

 

(1)手羽先(関節部分を切り分ける)、手羽元は水で洗い、さっと火を通す(水は分量外)。雑味やアクを取る効果があり、これをするのとしないのとでは大違い。

 

(2)お湯1Lに塩、みりん、ネギを加えた鍋で(1)を煮る。フタをして弱火で1時間。ほったらかしておいてOK。

 

(3)根菜類は10分程度煮る必要があるので、(2)の時間に合わせて後半に加えて一緒に煮る。しょうゆを加えて味見をし、しょうゆとみりんで味を調える。さっと火を通す程度の食材(青菜、かまぼこ)などは直前に加える、もしくは仕上げに添える。

 

(4)器に盛れば完成。

 

記者が挑戦

 

記者が実際に作ったスープ
記者が実際に作ったスープ

 

 引っ越して一人暮らしを始めた記者はまだ調味料がろくに揃っていない。だからしょうゆ、みりんと塩の三つの調味料があれば作れるこのスープはありがたい。

 

 今回は手羽元で挑戦。一度火を通してから、鍋に入れる。よくひと手間を省いてしまう記者だが、軽く火を通すことによってアクなどが取れて、味が大きく変わると知った。そこに塩、みりん、ネギを加え、スマホのタイマーを1時間セットしたら、一旦放置。気になって、何回か覗(のぞ)きに行ったが、やがて蓋についた水滴が視界を曇らせた。

 

 他の事をしていたら、いつの間にかスマホが鳴っていた。ここで事前に切った人参を入れる。包丁でイチョウを作ろうとしたら、結果は茎のないの少し不格好なイチョウになった。最後にしょうゆを足すと色が変わり、一気にスープらしさが増す。みりんと一緒に味を調えたが、正解の味が分からずプチ苦戦。最終的に自分好みの味にたどり着いた。

 

 普段はインスタントスープが多く、盛り付けするのは久しぶりでテンションが上がる。たまたまあったホウレン草とかまぼこも足してみた。

 

 試食をしてみると、みりんの甘さとしょうゆの塩味がいい相性。まろやかな優しい味で他の料理とも合う一品だ。多めに作ったので、残りは冷蔵庫に。冷えるとプルプルに固まって、理科の実験みたいで面白い。

 

 このスープは作るのに少し時間がかかるが、一度覚えたら、味噌を足したりと色々なアレンジが楽しめそうだ。まだまだ寒い冬を乗り越えるのに、コラーゲンたっぷりの温かい鶏スープはいかが?【柴】

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