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2021年12月8日

過去3代でどのように変化? コロナ禍でクラスは機能しているか(前編)

 

 東大には「クラス」がある。しかしコロナ禍で、対面授業もキャンパス外での交流も減少した。直近の3学年では、クラス内の交流がどう変化したのか。学生への取材から、交流の減少が引き起こす問題や、クラスの持つ機能が見えてきた。(取材・金井貴広)

 

 

 解説:東大の「クラス」

 

 東大では、科類と履修する言語の選択に応じて入学時にクラス分けが行われる。現在の1年生は全員、合計110程度のクラスのいずれかに所属している。初修外国語などはクラス単位で授業を受けるほか、数クラス合同で受講したり、数クラス同時に開講されているいくつかの授業のうち一つを履修したりする授業もある(表1)。クラスは科類をもとに決められるため、興味で個人が選択する授業も同じクラスの人が受講しているということが起きやすい。コロナ禍以前は入学直前の3月末〜4月初頭に「オリ合宿」(クラス単位で上級生とともに行う、1泊2日の旅行)に参加し、親睦を深めていた。

 

 しかし新型コロナウイルスの影響で、昨年4月には全ての授業がオンラインに。昨年のAセメスターからクラスごとに開講されている授業は対面も取り入れられたが、依然オンラインの授業もある。オリ合宿も昨年度と本年度は中止、学園祭でもオンライン化に伴いクラスの出店を見合わせる動きがあるなど、授業以外の交流も減少している。

 

 

理Ⅱ・Ⅲ11組の3代を比較

 

 クラス名が同じで入学年度が違うクラスでは、授業の内容が似ていることから通常であれば対面の授業数が同じになる。しかし、この3年間で比較するとそうではない(表2)。理Ⅱ・Ⅲ11組出身の、伊藤和人(かずひと)さん(経・3年)に、コロナ禍以前の交流について取材した。同じく理Ⅱ・Ⅲ11組で、コロナ禍以降、それぞれの学年でオリ長(オリ合宿などの企画者、各クラス正副各1名)を務めた佐々清允(さっさせいん)さん(理Ⅱ・2年)と和氣尊寛(わけたかひろ)さん(理Ⅱ・1年)に合同で、クラス内の交流の様子や、クラスの存在意義について考えを聞いた。

 

19年度の理Ⅱ・Ⅲ11組オリ合宿(写真は伊藤さん提供)

 

「授業の疑問も興味も共有」進学にも影響

 

伊藤和人さん(2019年度入学)

 

 授業が始まる前から、オリ合宿などで交流できました。4月にクラス全体で中華料理屋に行き入りたいサークルなどについて話す機会もあって、互いの素性を知り打ち解けられた気がします。五月祭も試行錯誤しながら、15、16人で協力して運営しました。

 

 授業後にご飯に行ったり、テストに対して「やばいやばい」と言い合ったりする中で、友達は増えていきました。勉強で分からないところを得意な友人に聞くこともでき、私も助かったことがあります。オンラインだけの交流では、いきなりクラスメートの誰かに質問するのは難しいと思うのでありがたかったです。

 

 クラスは元から決められた枠組みなので、友達を作りたい人が人間関係を構築しやすいコミュニティーだと思います。実際はサークルなどを優先する人もいて、仲良くしたいという人で集まっていた印象です。現在と比べると交流が多すぎて、かえって仲の良い5、6人でまとまってしまうこともあったと思います。

 

 私はもともと薬学部に興味があったのですが、クラスの多様な人たちとの交流の中で、経済学部に進むことを決めました。自分の知らない分野を簡単に知ることができるという意味でも、クラスは重要でした。

 

「1年生 早く仲良くなれてうらやましい」

 

佐々清允さん(20年度入学)

 

 4月の授業が始まるまではクラスでほぼ毎日Zoomを行い、18人ほど集まっていました。特に夜遅くまで残った8人で仲良くなり、6月ぐらいに対面で会うこともありました。しかし他には対面の交流の機会はあまりなかったと思います。和氣さんのクラスは私たちが9月ぐらいにやっていたことを4月ぐらいにやっていて、早く仲良くなれてうらやましかったです。

 

 9月ごろに初めてクラス全体でご飯に行きました。全体で集まったのはそれともう一回です。私にもクラス全体の様子が見えず、みんなのサークルや部活での交流の度合いが分かりませんでした。和氣さんの話を聞くと、もっと集まろうと呼び掛ければ良かったと思います。

 

 もし仮にクラスがなければ、全然知らない人たちと大人数で授業を受けることになり、交友関係の構築は難しいと思います。オンラインでもクラスメートがいることで、困った時に助けを求められたり「知り合いがいるから授業頑張ろう」と思えたりすると感じています。

 

クラスで集まり受講 「モチベに」

 

和氣尊寛さん(21年度入学)

 

 Sセメスターは語学が対面授業ではありませんでしたが、別の対面の授業の前後などにクラスで一緒に集まって空き教室で受講をすることがありました。集まることで授業を受けるモチベーションにもつながったし、交友関係もできました。Aセメスターから対面でクラスで受ける授業もありましたが、あまり変化したという印象はなく、Sセメスターから集まっていた人で仲良くしている気もします。

 

 6月からは誕生月を祝う会を開こうという動きもあり、マスク着用など感染に気を付けながら、希望者15人ぐらいで集まりました。その後も何度か行っています。仲良くなる良い機会だったと思いますが、参加しなかった人には申し訳なかったですし、私も感染状況を考えて参加しない時もありました。

 

 クラスは少人数の集団で、学部よりも交流しやすいです。サークル以外にも、同じような授業を取っている人と仲良くなれる団体があって良かったと思います。

左から伊藤さん、佐々さん、和氣さん

 

 後編では、現在の1年生の各クラス内での交流について、アンケートを中心に特集する。

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