インタビュー

2014年7月4日

“あなたの声が東大を変える”学生発の意見集約サービス「CooCreed」

「帰国子女の必修英語はなくせないか」「図書館の24時間利用を可能にしてほしい」――

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東大生の切実な訴えを届けるサービスがつい先月開始され、注目を集めていることをご存知だろうか?

自治会に代わって、これまで拾い切れなかった学生の声を大学に伝え、動かそうとしているのは技術経営戦略学専攻2年生の曽根岡侑也さん、澤村治基さん を中心とする少人数のチームだ。

彼らはいったいどうやって大学を変えようとしているのか、インタビューしてきた。

学生の要望をウェブで”見える化”

――まずは、この「CooCreed」がどういうサービスなのか教えていただけますか?

曽根岡(以下、敬称略) 一言でいうと、東大生が大学に対して改善を求めている声を可視化するサービスです。学生が投稿した要望についてFacebookのアカウントでログインし、「支持」「不支持」を表明することができ、多くの「支持」が集まった要望はプリントアウトして大学側に実際にかけあいます。

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――今までそうした声を届ける仕組みはなかったのでしょうか?

曽根岡 学生自治会が、学生の声を大学側に届けることをこれまで担ってきました。しかし主に紙ベースで声を収集しており、あまり機能していないと話されているのを聞いたことがあります。

また、大学側も形式ばかりの「授業評価アンケート」を各講義ごとに実施していますが、実際何の役にも立っていないですよね。

まずは身近で役に立つものを作りたかった

――確かに、あれで講義の質が改善された等は聞いたことがありませんね。曽根岡さんたちが、あえてこの問題に取り組もうと思われた理由はなんでしょうか?もともと自治会の関係者とかではないですよね。

曽根岡 僕たちはそれぞれプログラミングのスキルも持っていることから、「ウェブで何かしたい」という気持ちがありました。とりわけ、周囲でスキルを持っている人たちは例えばアプリを開発したりと、お金儲けの方を考えていたので、僕たちはそうじゃなくて何かこれまでになかった役に立つものを創ろうと思ったんです。

そうしたら、自分たちが所属している大学のことは何でもトップダウンで決まっていてうまく学生の声を届けて大学を動かす仕組みがないことに気づき「これだ」と思いました。

ウェブの力でうまく意見を吸い上げることが出来るのではないかと考えたんです。

――真夏に冷房をつけてくれという投書がいくら送られてきても大学は素知らぬ顔で「なぜ東大は30%の節電に成功したのか?」なんて本を出すぐらいだという話が有名ですね。

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曽根岡 知らなかったです。これはひどいですね(笑)

さまざまな”声”が届けられている

――実際に始めてみて、どれぐらい反響がありましたか?

曽根岡 (6月8日時点で)Facebookなどを使った拡散のおかげで、9600人にリーチすることができています。そのうち213もの”声”が集まりました。

―― 送られてくる声にはどういったものが多いんですか?

曽根岡 ある程度偏っていて、「自習室・図書館の24時間化」や「仮眠室の設置」の要望が多いです。

投票数が多いのは、「必修英語の免除制度」ですね。理学部は土曜日に英語の授業を必修化していますが、帰国子女でTOEFLはほぼ満点、といった学生にも一律で必修として課しています。それは明らかに無駄だという意見に対して、多くの賛同の声が寄せられています。

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個人的には学部間・学科間の交流がもっとほしいという要望があります。理系は前期教養のクラスが終わったらほぼ研究室としか会わなくなりますから。折角の総合大学なのに非常にもったいないです。

――個人的に少人数での集まりが行われていますが、それももっと皆に見える形になるといいですよね。今後このサービスをどう広めていきたいですか?

曽根岡 4つのステップがあると思っています。

1つ目は、みんなが書き込んでくれるようになるフェーズ

2つ目は、書き込まれた声を他の学生が自律的に大学にかけあうようになるフェーズ

3つ目は大学側が「CooCreed」を認め、サイトを参考にして改善点を検討してくれるようになるフェーズ

4つ目は「CooCreed」の理念とサービスが他大学にも広がっていくフェーズ

です。ステップを進めていくための目下の課題は、プロモーションですね。もっと多くの東大生にこのサイトを知ってもらい、使ってほしいです。

――そのためにてっとり早いのは、なにかひとつ実績をあげることでしょうね

曽根岡 そうなんです。なんとしても図書館の24時間化実現させたいです。

われわれが参考にしたサイトである「change.org」も、レスリングのオリンピック復活に関する署名を集め、実現したことから注目度が上がりました。

――サイト自体もそうですが、運営にかかわるメンバーも増えると良いですね

曽根岡 本当にその通りで、同じ問題意識を持つ人を募集しています。最初は開発メンバー4人ではじめ、リリース後に共感してくれた学部生2人が運営を手伝ってくれることになりました。ただ、まだまだ手さぐり状態で進めています。

今は、先生方に助言をいただいたり、他の学生団体と連絡を取っています。 学生自治会とも協力しあっていけることは沢山あると思います。

――ウェブの力によって学生と大学の関係性を変える、壮大なプロジェクトです。ぜひ、今後ともがんばってください!

曽根岡 はい!

「ウェブを使って役に立つものを創りたい」という純粋な思いから生まれたこのサービスは、まだまだ課題も多いものの、よりよい学生生活の実現にきっと役立つ。

読者のみなさんも、ぜひ「CooCreed」で大学に意見発信をしてみてはいかがだろうか。

coocreed5.jpg左から文科3類2年小寺さん、理学部4年植原さん、工学系修士2年曽根岡さん

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