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2021年1月19日

「東大は学生の要望を吸い上げて」――新型コロナ再拡大と学生の声

 東大は1月7日、新型コロナウイルス感染の拡大を受けて学内の活動制限指針をレベル0.5(一部制限)からレベル1(制限―小)に引き上げることを発表した。引き上げる期間は11日から2月7日まで。学生の課外活動は原則禁止で、授業はオンライン形式で実施する。一方、一部の授業、定期試験などは感染対策を講じた上で対面実施の予定だ。東京都などで緊急事態宣言が発出される中、終わらないコロナ禍を過ごす学生からは、流行の終息が見えない現状に対する不安や大学への不満の声が聞こえた。

(取材・中野快紀)

 

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キャンパスには依然入構制限が敷かれている=1月16日、本郷キャンパス正門前で(撮影・小田泰成)

 

「コロナ禍の学びは『自力救済』しかないのか」

 

 Aさん(文Ⅲ・2年)が所属する音楽系サークルでは昨年末に新型コロナウイルスの感染者が出た。「東京都内の感染者が増加していて、さらに歌唱を伴うため確かにリスクはあります。それでも十分に対策を講じていただけに、ここまでやっても感染者が出てしまうのかと思いました」と驚きを隠し切れない。感染者発生に伴って今年2月に予定していたライブは中止。現時点で活動再開には至っておらず、各自で3月に公開する演奏動画の制作に向けた準備を進めているという。「いつまでこの状況が続くかとても不安です。本郷キャンパスへの進学が内定しているのに同級生と仲良くなれないし、旅行にも行けないし。コロナ禍のまま学生生活が終わってしまうのは嫌です」

 

 Bさん(文Ⅰ・1年)は緊急事態宣言が発出されるなど感染終息の兆しが見えない中「大学での学びの意味がなくなってしまうのではないか」と指摘する。昨年4月の入学以来ほとんどの授業がオンライン実施となっており、駒場Ⅰキャンパスでの学びの様子や駒場祭のノウハウといった伝統を後輩に引き継げないことを懸念。現在は自主ゼミにも参加しているというが「大学に頼らず自力救済で学びを進めるしかないのか」と漏らす。前期教養課程では今学期、実験や初修外国語など一部の授業に限って対面での授業を実施しているが、少人数の授業であれば工夫次第で対面授業をより実施できるのではないかと話す。

 

大学側「構成員からの要望はなし」も学生には不満の声

 

 Bさんは学生に対する大学側の対応にも不満を口にする。「東大は学生の要望を今よりも細やかに吸い上げるべきです。授業についての要望は受け付けていても、課外活動や交友関係など、その他に関する要望の吸い上げは不十分だと思います」。個々の授業において教員が学生の意見を反映しようとする姿は見えるものの、大学が全学として反映しようとする姿勢が見えてこないという。東京大学新聞社の取材に対し東大の担当者は、ここ数カ月間に学内構成員から多く寄せられた大学側への要望等はなかったとし、学内構成員の声を受けて実施した施策も特にないと回答した。

 

 一方Aさんが履修しているあるオンライン授業ではキャンパスでの対面授業が予定されていたが、教員独自の判断で対面試験とレポート課題が選択できるようになったという。「公平性の問題は確かに残りますが、大学側に頼らない柔軟な対応に感動しました」とAさんは振り返る。前期教養課程の定期試験が原則対面実施となったことについては「今学期の対面授業一部導入は学生の意見に配慮した上でのことだと思うので、評価しています。ただ、試験も全てオンラインだったSセメスターより大幅に感染者が増えているのに、なぜオンライン授業だった科目でも対面試験を実施するのでしょうか」と話した。教養学部は対面試験実施の経緯について、成績が進学選択に使用されることも踏まえ、学びの成果を公平・公正に評価するために適切だと判断したと説明している。

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