
東大ラクロス部女子Celeste(関東学生ラクロスリーグ1部)は11月16日、1部・2部入れ替え戦を戦い、5─4で勝利して1部リーグ残留を成し遂げた。今回は秋季リーグでのチームの状況や、入れ替え戦の様子などについてラクロス部女子に寄稿してもらった。(寄稿=東大ラクロス部女子 吉野ひかり、金原麻友、画像は全て東大ラクロス部女子提供)
昨年度24シーズンで創部史上初の1部昇格を果たした、東大ラクロス部女子Celeste。25シーズンは、初めての1部の舞台で学生日本一を目指した。五月祭試合では1部校相手に勝利するも、7月から始まったリーグ戦では苦戦し、ブロック戦は全敗。11月16日の下入れ替え戦への進出が決まった。
昨年度掴(つか)み取った1部の舞台を、26シーズンに繋(つな)げられるか。25シーズンの集大成を、勝って笑顔で終われるか。相手は2年連続同点となった因縁の相手、東京学芸大学(学芸)。この試合に勝てば1部残留、負ければ2部降格という大きなプレッシャーのかかる試合となった。
秋のブロック戦から入れ替え戦まで
試合経過の前に、ブロック戦後から入れ替え戦までの2カ月を簡単に振り返ろう。ブロック戦を全敗した上に、その後の練習試合に負け続けた。2部校にも負け、久しく勝ちを経験していない状態が続いた。なんと、この2カ月で勝った試合は入れ替え戦1週間前の1回のみである。入れ替え戦で負けて2部に降格してしまう不安は大きいものであり、それに向き合うことさえ逃げたくなる程だった。その上、入れ替え戦に勝てると思わせるような結果や裏付けを見出せない。「このままだと自信もって入れ替えに臨めない」「このままだと負ける」試合のたびに誰かが泣き、試合後の振り返りも暗く、なんとか前向きな発展で雰囲気を変えようと思うけれど、どうしても暗かった。
その状況に対して、幹部コーチで雰囲気やメンームの雰囲気に対してアプローチしようという動きがあり、、10月後半から雰囲気改革が始まった。突如、グラウンドにキャラクターの仮装をするメンバーが何人も現れた。まずは形から笑顔が生まれるよう、行動を起こしてくれた。勝つために必要な指摘は厳しくしつつ、個々人がチームの雰囲気に対してアプローチするようになった。技術においても、9月から負け続きでも自分達の技術やチームの戦術に真しん摯しに向き合い着実に成長していった。そして最後の練習試合で、3カ月ぶりに勝利をすることができた。
来たる学芸との入れ替え戦。”東大は1部を守る側”のメンタルでは絶対にダメだ。こっちが捨て身で強気で、死ぬ気で勝ちを掴みに行かないといけない。それぞれのメンバーがどんな状況でもブレない軸を固め、強い気持ちを持って試合に臨んだ。
主将・吉野ひかりは自らの思いについてこう語った。
「人間はいずれ死ぬのだから、それまでに感じる不安や恐怖はたいしたものではない。戦場で強いのは、相手を倒す覚悟がある人ではなく、自分が死ぬ覚悟がある人です。負ける不安に邪魔されず、負ける覚悟・死ぬ覚悟さえも持って、一瞬一瞬の勝負を意地と狂気で奪いに行く。期待も高揚も、重圧も不安も、すべて飲み込んだ上で沸き立つ自らの狂気を、思う存分楽しみます」
運命の1部・2部入れ替え戦
当日の最初の集合では、覚悟を決めた全員が集い、緊張感と高揚感に満ちた異様な空気感が漂っていた。アップから声を出しチームは活気づき、目を見張るような好プレーが決まり大盛り上がり。最高の入りだった。みんな強気だった。
第1クオーター(Q)。ドロワーである3年#87吉本はながドローを取り、東大のポゼッション。3年アタック(AT)#23冨永真愛が強気の1 on 1でファールをもらい、フリーシュートを4年#10中塚雅が決め、1─0。東大はその後のドローも取り、3年#97木村莉緒が1on1で仕掛けていき薄いシュートを放つと、ボールはゴーリーのクロスの上を突き抜けゴールネットを揺らした。2─0、東大の流れである。その後も、4年#17吉野ひかりがフリーシュートを獲得し、良い飛び出しで走り抜け得点を重ねる。ここで学芸はタイムアウト。その後も東大の流れは止まずシュートを打つも、笛が鳴って第1Qは3─0で終了した。

第2Q。東大はディフェンス(DF)の時間が生まれるも、チームでやることを徹底し守り続ける。東大オフェンス(OF)になると3年#97木村莉緒が中に切り込みファールを獲得し、4年#17吉野ひかりがシュートを決めた。4─0。このまま東大の勢いで飲み尽くすかと思いきや、学芸は強度高くダブルチームを組んでボールを奪うと、ブレイクでシュートを決めて4─1。学芸側の応援席も大盛り上がり。そして第2Q終了。最後、学芸の勢いが垣間見え、油断ならない展開となった。
10分のハーフタイムを挟み、勝負の第3Qが始まる。ドローを学芸が獲得し、東大のディフェンス時間が増える展開となった。学芸OFがファールを獲得すると、俊足の選手のフリーシュートで4─2。東大はタイムアウトを取る。コーチ・森山裕行は「この5分よく耐えた。もうこれ以上流れが悪くなることはない」と呼びかける。プレー再開直後、4年#17吉野ひかりがボール持って中に切り込み、DFをかわしてシュートを決めた。第3Qは東大にとってきつい時間が続いていたが、久しぶりの東大の得点となり、5─2で第4Qを迎えることとなった。
そして緊迫の第4Q。学芸が1点を返し、5─3となる。リードする東大、勢いのある学芸。観客も一瞬も気が抜けない展開となった。再び学芸のOFが続き、右裏から1on1で仕掛けた学芸選手が中に入り込んでシュートを決める。5─4。東大にとってかなり痛い1点である。体力も減る時間帯となり、足を攣(つ)る選手も続出していた。残り7分半、1点差。ここからお互いの攻防が続いていく。学芸が攻めるも、しっかりとした連携で中を割らせない東大DF。東大が攻めるも、学芸のダブルチームに苦戦する。しかし、東大はリードする展開でも、強気のプレーを見せ続けた。1点も入らないまま6分が過ぎ、ラスト80秒、学芸がファールをとり、フリーシュートを獲得。走ってシュートを打つも、3年#50高橋光がセーブで守り切る。東大はクリアでボールをOFコートまで運び、攻める姿勢を見せる。その気持ちが強すぎたか、チャージングでOFファールが取られてしまい、学芸ボールに。ラスト20秒、東大のライドは学芸のOFコートへの侵入を許さず、「ピッ・ピッ・ピーー」という音が鳴った。
それが試合終了の合図だと分かった瞬間、東大の選手は一斉にフィールドの中へ走り出し、全員で集まり感涙にむせんだ。久しぶりの公式戦での勝利、多くの障壁を乗り越えてやっと掴んだ勝利だった。いろんなメンバーの強気のプレーがあって、紙一重の勝負の積み重ねで、全部ぶつけてやっと全員で掴んだ勝利だった。

メンバーたちは大勢の青い観客席の前に並び、東大応援部との挨拶をすると、肩を組んで勝利の歌「ただ一つ」を歌った。以上の結果により、東大ラクロス部女子Celesteは1部残留し、26シーズンも1部リーグで戦うことが決定した。来年度以降も挑戦を続けるCelesteへ、変わらぬご声援をお願いしたい。


ヘッドコーチ森山裕行(東大ラクロス部男子OB)より
ラクロスは、スピード感や連携など直感的な魅力の裏に、奥深い戦術の面白さがあり、その高度な理解はCelesteの強みです。ですが最大の強みである魅力は、大志を胸にひたむきに挑む不屈の精神、強い結束といった心にあることを私自身再認識する、そんな勝利でした。日本一への挑戦は、始まったばかりです。ぜひスタジアムで、躍進を共に後押しいただけると幸いです。Celesteの魂が、きっと心打つと思います。
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見事1部昇格を決めた成蹊大学との1部・2部入れ替え戦を取材した記事です。
https://www.todaishimbun.org/femalelacrosse_20241130/









