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2025年5月3日

核融合の研究センター 新領域に開設 産学連携で実用化目指す

 東大大学院新領域創成科学研究科(新領域)は、4月1日に「フュージョンエネルギー学際研究センター」を開設した。フュージョンエネルギーとは超高温・高圧下でプラズマ化した原子同士が融合してより重い原子に変わる際に放出される、核融合エネルギーのこと。



 センターは独自の研究室などは持たず、14 名の兼務教員で発足した。専門分化が進んだ核融合分野で、研究開発の焦点を、学術から実用化・産業化にシフトするのが特徴。各専門分野の技術研究に加え、それらを統合するシステム開発を、産学連携の下で推進する。現時点では新領域の教員だけだが、今後は理学系・工学系研究科との協力も視野に入れる。



 5月1日には8社と共同で社会連携講座を開設。小規模なセンターゆえの機動力を強みに、基礎研究から社会実装まで一貫して扱う。東京大学新聞社の取材に対し、センター長の江尻晶教授は「まだ誰も実現したことがないシステムを設計することを通して、設計を学術として確立することが目標」と答えた。



 フュージョンエネルギーは脱炭素の観点から注目されており、核融合発電の実用化や、産学連携のさらなる進展が期待される。



 東大はこれまで、研究機関の小規模さゆえの柔軟な研究環境を生かした成果を残している。原子のプラズマ化と核融合反応のために必要な高温高圧の原子の原子炉への閉じ込めるため高温超伝導コイルを世界で初めて適用したことや、さまざまな高周波の波動を用いたプラズマ維持の実証、磁力線のつなぎ換えの時にプラズマが加速され莫大なエネルギーを得る磁気リコネクション現象による急速な高加熱の実証がある。

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