東大の藤井輝夫総長は10月3日、臨床カンナビノイド学社会連携講座に関する案件について「本学に対する社会の信頼に関わる重大な事案である」との認識を示した。事実関係の究明や学内のコンプライアンス対応体制の再構築を進める。
藤井総長は「社会連携講座に係る事案と改革策について」と題し、メッセージを公表。今年3月末に廃止された医学系研究科臨床カンナビノイド学社会連携講座に関わる事案の内容が「極めて不適切な行為」であり、大学執行部としての責任を痛感しているとした。藤井総長は、社会からの信頼を回復するためには事実関係の解明と説明責任を果たす必要があると言明。第三者の弁護士事務所の指導の下で調査を進めているとし、東大の規則に違反する行為には大学として対処するとした。
同講座をめぐっては、同研究科の教授らが高額な接待の要求や研究契約の一方的な解除を行ったなどとして、日本化粧協会品協会が約4,200万円の損害賠償を求めて東大を提訴している。東大は事案を受け、6月末に社会連携講座等検証・改革委員会を設置。社会連携講座をはじめ、民間企業などから資金等の提供を受ける研究・教育に関して調査・検証を行ってきた。
検証を踏まえた改革策の取りまとめの公表に併せ、総長の声明が発表された。改革策の資料は、すでに8月に発表した内容に「教職員倫理に関するセルフチェックリスト」、フローチャート形式の「利害関係者等との間の飲食に関する規制について」などの新たな資料を追加したもの。藤井総長は今後、産業界との連携に関わるすべての教育・研究活動における契約時・開始時のチェックも強化していくとした。
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