和歌山県新宮市の中学生16名が8月4日から7日の行程で東大を訪問した。東大人文・熊野プロジェクトの一環で、プロジェクトリーダーの秋山聰副学長(東大大学院人文社会系研究科)ら東大の教職員と大学院生などによる案内で、東大や都内の熊野社、熊野に関わる博物館展示などを巡った。
2日目となる5日には、能楽師の鈴木啓吾さんらが弥生キャンパスの弥生講堂で中学生と交流。鈴木さんは一説には熊野出身だという武蔵坊弁慶の話も交えつつ、中学生と一緒に能を演じた。中学生は恥じらいながらも刀を振って笛を吹いていた。秋山副学長は「東京での体験を通じて、日本の中で熊野とはどういうところなのか、子どもたちが考える機会となればうれしい」と語った。
参加した中学生は、「東京は人が多い、和歌山にはこんなところはない」、「夏休み中なのに図書館で勉強している人がいるなんてさすが東大」、「ハチ公の脳みそは鶏肉みたい」、「私も医学部で解剖をやってみたい」、「東大の人たちは熊野の人よりも熊野に詳しい。熊野のような小さなところまで研究されているのには驚いた」とその感想は三者三様。「友達から去年の話を聞いて行ってみたいと思った」、「医者になりたい」、「家族に行ってみるように勧められた」と参加理由もさまざまだった。
この日、一行は弥生キャンパスの農学部食堂にて昼食をとった。「食堂が安い」と驚く中学生たちに、秋山副学長は「でもね、私が学生の頃は・・・」と思うところがある様子だった。記者も自分が最近読んでいる本の話をしたり、東大の教室の中の写真を見せたり、貴重なひとときを過ごした。
東大人文・熊野プロジェクトは、2021年の地域連携協定締結により本格化。文学部の広い分野がつながり、熊野地方に根差した人文学「熊野学」を展開している。中学生の東大での研修は22年以来、毎夏の開催で、今年が4回目となった。
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