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2019年7月12日

ニューロテンシン受容体とGタンパク質の複合体構造を解明 薬の副作用軽減

 加藤英明准教授(総合文化研究科)らは、Gタンパク質と結合し活性化して多くの生理機能に関与するニューロテンシン受容体(NTSR1)とGタンパク質の複合体構造を解明した。鎮痛剤などの副作用軽減が期待される。成果は6月26日付の英科学誌『ネイチャー』に掲載された。

 

 NTSR1は血圧や体温、食欲などの制御に加え、薬物依存やがん細胞の増殖への関与も報告されてきた。NTSR1の作動薬や阻害薬は薬物依存の治療薬などへの応用の可能性が指摘されてきたが、関与する生理機能が多岐にわたるため、副作用を引き起こしてしまい実用化できないという問題があった。

 

 加藤准教授らは、NTSR1とGi1タンパク質の立体構造を解析。その結果、この複合体はC状態とNC状態という二つの構造を取ると判明し、うちNC状態では、C状態の状態に比べGタンパク質が45度回転しているという未報告の構造変化が示された。さらにNC状態はGタンパク質を活性化している状態としていない状態の両方の特徴を持つため、NC状態の構造はNTSR1が一部のGタンパク質と複合体を作る過程で形成される特異的中間体構造だと示唆。NTSR1にNTSR1の作動薬が結合すると、NC状態から活性化状態であるC状態に遷移するモデルを提唱した。

 

 今回の解明により、薬効を特定の生理機能に限定した、副作用が軽い薬剤候補化合物の開発につながることが期待される。

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