COLUMN 2020年5月6日

【サークルペロリ】東京大学能狂言研究会宝生会 600年の深遠に挑む

 「大学に入って、何か新しいことに挑戦してみたい」と思う人は、東京大学能狂言研究会宝生(ほうしょう)会に顔を出してみてはいかがだろうか。能と聞いて少しとっつきにくい印象を抱く人も多いだろう。しかし「メンバーのほとんどが初心者ですし、少しでも興味がある人は誰でも歓迎しています」とメンバーの石川知輝さん(文・4年)は話す。

 

 ルーツは戦前までさかのぼる由緒正しいサークル。駒場Ⅰキャンパス一二郎池の側にひっそりとただずむ柏蔭舎(はくいんしゃ)で、週に1回の自主稽古と、月2〜4回の師範稽古に励む。稽古では年に7〜10回行われる舞台に向けて練習を重ねる。「時にはおしゃべりしながらお菓子をつまんだり、アットホームな雰囲気です」

 

普段の稽古では和気あいあいと練習に励む(写真は東大宝生会より提供)

 

 上半身を動かさずに摺(す)り足で歩く「運び」と呼ばれる歩く型や、腹から朗々とした声を出す発声法など能独特の技術も多い。これらは稽古を重ねる中で自然と身に付くという。「最初は先輩や師匠がどうしてあんなに大きな声を出せるのか不思議でしたが、いつの間にかこつをつかみました」

 

 普段の舞台では能の一番盛り上がる部分だけを抜き出して舞う「仕舞」を主に上演しているが、本年6月には実に8年ぶりに能1曲全てに挑戦する。(注)

 

 「能1曲を舞うことは全ての能楽部員にとっての憧れですが、それなりの人数がいないとできません。僕の代は3人と、宝生会の中ではかなり多い方なので、OBOG始め多くの方の協力を得て能を上演します」。普段の仕舞は紋付袴(もんつきはかま)に扇片手で舞うが、能1曲を舞うときは能面や装束を身にまとい、手には小道具を持つこともある。「多少動きが制限されますが、仕舞では切り捨ててしまっている、一つの物語としての能の魅力を味わうことができてわくわくします」

 

 東大宝生会の人数は少ないが、同じ宝生流に属する全国の大学の能楽サークルと多くの交流がある。「お互いの舞台を観たり、一緒に合宿に行ったり全国に友達ができます」。関西の大学の舞台はレベルが高く刺激を受けるのだとか。

 

 「能は入り口は易しいけどものすごく奥深い世界で、一生の趣味になると思います」と部員は口をそろえる。流行の最先端に目が行きがちかもしれないが、600年前から続く能の世界に、一歩足を踏み入れてみてもいいかもしれない。

部員5人・インカレ

(注)新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期などとなる可能性があります。


この記事は2020年4月21日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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サークルペロリ:東京大学能狂言研究会宝生会
キャンパスのひと:小坂涼さん(文Ⅰ・2年)

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