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2024年1月27日

学生自治会、2023年度学部交渉本交渉 2年ぶりに実現するも異例の合意なし

 

 東京大学教養学部学生自治会(自治会)は12月18日、教養学部との間で、2年ぶりとなる学部交渉本交渉を行った。争点となったのは、(ア)図書館の開館時間延長(イ)学生スペースの確保(ウ)公欠制度の整備(エ)学事暦の改善(オ)キャンパス構内の開門時間延長(カ)通称名使用の許可─の6点(表)。教養学部は自治会の要望に対し一定の理解を示したものの、具体的な合意には至らなかった。学部交渉とは、自治会がキャンパス運営の改善を求めて年1回行う、教養学部との交渉のこと。過去の交渉では、90分授業の継続や自習室の設置などが実現。昨年は交渉が遅延し、実施されなかった。要求項目は学生へのアンケートなどを基に、学部交渉局が策定・検討し、各クラスの代表が集まる自治委員会で承認を得る形が採られている。

23年度学部交渉で提出された要望と、学部からの返答の要旨(東京大学新聞社が作成)
23年度学部交渉で提出された要望と、学部からの返答の要旨(東京大学新聞社が作成)

 各項目について、学生・学部側の発言の要旨は以下の通り。

 

図書館の開館時間延長

 現在駒場図書館は、平日午前8時半~午後10時、土日・祝日は午前9時~午後7時に開館している。自治会は、定期試験期間中の開館時間を、平日は午前8時〜午前0時、休日は午前9時~午後10時にすることを要求した。学生の多くが定期試験期間に、駒場図書館を自習室として利用し、その期間の開館時間延長を最も求めていることから、光熱費高騰の中でも、需要に応じた限定的な開館時間の延長が必要だと述べた。

 

 学部は①光熱費などのコスト②利用者の安全の確保③既に自習スペースが確保されていること─などを理由に合意できないとした。対して自治会は閉館日の増加やフロアを限定した形での開放などによりコストの問題はある程度解消できることなどを提案するも、学部は部分的開館には大規模な改装が必要と回答した。

 

 

学生スペースの確保

 現在、講義棟の多くは5・6限終了後すぐに施錠される。自治会は、①授業日に、1号館・21KOMCEEの施錠時刻を21時に変更すること②休日において、21KOMCEEを駒場図書館の開館時間に合わせ開放すること─の2点を要求。理由として学生が事前の予約なしに気軽に利用できるスペースが学内で限られていることを挙げた。小教室が多く正門から近い1号館と、多目的教室が多く、サークル活動等にも活用しやすい21KOMCEEの開放を要求した。

 

 学部は、すでに開放している情報教育棟や5号館、7号館、コミュニケーションプラザ棟の利用状況に余裕があるとして要求に否定的な姿勢を見せた。開放されている講義棟の形状や予約方法が学生のニーズに適していないという自治会側の意見には一定の理解を示したが、両者は妥協点を見つけられなかった。

 

 

公欠制度の整備

 現在、教養学部前期課程には、公欠制度(特定の感染症への罹患や忌引きなどが事由の場合、授業への欠席を欠席扱いとしない対応のこと)が存在せず、欠席の扱いは各教員に委ねられている。自治会は、学部が統一的な公欠制度を整備し、教員らに対し平常点等の配慮を義務付けるよう要求。進学選択制度が存在する東大で各教員により平常点の扱いが異なることは、成績評価の際に、学生の不利益になると主張した。

 

 学部は、単位の取得には授業への出席が必要だという原則に言及。各授業評価の在り方の柔軟性を担保するという観点からも、公欠制度の導入を検討する予定はないと回答した。

 

 

学事暦の改善

 現在の教養学部前期課程の学事暦においては、連休の中日や「成人の日」周辺の平日が授業日となっている。上記の期間について自治会は、休業期間を削減する代わりに授業を行わないよう要望した。理由として、学生の帰省やアルバイトなどの課外活動、特に地方出身学生の成人式参加に悪影響を及ぼしていることを挙げた。

 

 学部は、大学全体の標準授業日程に従って、現行の学事暦を定めているため教養学部のみ大幅に変更することが難しいと説明。さらに夏季休業期間の短縮について、大学院入試や進学選択に大きな影響を与えることから実施は困難だとした。自治会が示したオンライン化の案には、カリキュラムの大幅な見直しが必要であり、すぐには返答できないと答えた。

 

 

キャンパス構内の開門時間延長

 2020年以降、感染症対策を目的とした活動制限の一環として、駒場Ⅰキャンパスの各門の開門時間が短縮されていたが、自治会の要望で段階的に規制緩和が進み、現在、正門は終日開放、それ以外の門は午前7時~22時までの開放となっている。自治会は正門以外の門を午前5時~翌午前0時半まで開門することを要望。現在、東大では活動制限を設けていないこと、学生が現在の開門時間に不満を持っていることを要求の理由として挙げた。

 

 学部は、学生や教職員、施設などの安全確保、および事故発生時の迅速な対応のため、開門時間に制限をかける必要があるとした。

 

 

通称名使用の許可

 現在、通称名使用は、トランスジェンダーに限り公的に認められているが、民族・国籍・家族関係などを理由とした使用は教員の裁量に委ねられている。自治会は、①講義内での諸般の事由による通称名使用の認可②通称名が許可される対象の拡大③学籍氏名登録時の字数制限の撤廃─を要望した。

 

 学部は、平時の通称名使用については、正式な手続きをとる必要はないので、通常の授業においては担当教員から許可を得れば通称名の使用は可能だが、定期試験など成績に関わるものについては成績管理の観点から難しいと回答した。

 

 

 その他、(キ)履修登録期間前の出席・課題の成績への不算入(ク)街灯やオールジェンダー更衣室の設置などのキャンパス内の設備整備─を文書回答にて求めている。学部からの返答は本年度末の予定。

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