インタビュー

2022年12月6日

「駒場のカラス」ユータスくんのあれこれ 「本日のユータスくん」更新担当の職員にインタビュー

 

 教養学部ウェブサイトで、前期課程生用ページトップのイラストをクリックすると現れる「本日のユータスくん」をご存知だろうか。駒場にいるカラスのキャラクター「ユータスくん」が活躍するこのコーナーだが、知名度はあまり高くない。このコーナーを更新する目的や、ユータスくんそのものの誕生経緯などについて、「本日のユータスくん」を更新する教務課前期課程チームの遠藤暢雄(のぶお)さんに聞いた。(取材・小原優輝)

 

「本日のユータスくん」解剖

 

──「本日のユータスくん」更新の目的は

 

 ユータスくんは、以前の学務システムであるUTask-Webのマスコットキャラクターとして、2005年3月に登場しました。トップページにアクセスして最新の情報を手に入れるきっかけにしてもらうために、IDとパスワードを入力する画面のすぐ右横に前身の「ユータスくんの窓」というコーナーを設けて更新していました。17年6月に学務システムがUTASになってからは、違う場所に「本日のユータスくん」のコーナーが設けられています。「教務課からのお知らせ」ページの一番上にあることで、最新の情報を見ていただくきっかけにするという主旨は変わっていません。教務課に親しみを持ってもらうという意図もあります。

 

東大生39人を対象に行ったアンケート

 

──アンケートの結果を見てみると、あまり「本日のユータスくん」の知名度は高くないようです

 

 お知らせページにアクセスするきっかけの一つとなることが主旨であり、元々は教職員の遊び心により誕生したものなので、「あんなのもいたな」くらいの知名度でいいのかなと思います。

 

──更新は楽しいですか

 

 絵を描くのがそれなりに好きなので、楽しいです。ただ、ほぼ毎日更新しているので、ネタ切れで困るときはあります。

 

──過去の絵を使い回すことは

 

 基本的には全て違う絵にしようと描いていますが、テーマは違ってもユータスくんのポーズが同じ絵を描くこともありますし、ネタ切れで苦しいときには、まったく同じ絵を載せることもまれにあります。

 

──ユータスくんのプロフィールはどう考えましたか

 

 最初からしっかり設定を作って始めているわけではないので、08年に東大新聞の取材を受けたときにプロフィールについて聞かれて考えました。好きな食べ物がラーメンとパフェなのは、描いていた絵の中で食べていたからです。

 

──ユータスくんが授業に出たり試験を受けている描写がありますが、どのように入学したのですか

 

 現在の前期教養課程には規則上存在しませんが、科目等履修生として授業に出たり試験を受けたりしています。だから、いつまでも修了しないんです。

 

──「本日のユータスくん」によるとユータスくんの趣味はラッパだそうですが、ほかの趣味はありますか

 

 結構いろいろやっていて、ドラムやギター、バイオリン、チェロ、コントラバスを演奏していたこともあったし、機械いじりをしていることも多いです。多趣味なんでしょうね。教養学部にいるキャラクターなので、さまざまなことに興味を持つという方向性はマッチしているんじゃないかと思います。

 

──ユータスくんの見た目のチャームポイントは

 

 やはり、丸々とした体形です。実際のカラスの体型だったらかわいくないと思うので、丸く描くようにしています。

 

──東大生に「本日のユータスくん」にどのように関わってもらいたいですか

 

 先ほどお伝えした本来の意図を超えたことは特に何も考えていませんが、できればかわいがってほしいですね。教務課は学生さんに厳しいことを言う側面があるため、教務課だけでなくユータスくんにまで良くない感情を持たれてしまうこともあります。ですが、あまりいじめないでほしいです。

 

東大新聞とコラボしたユータスくん(画像は遠藤さんより提供)

 

ユータスくんの活躍とその裏側

 

──ユータスくん誕生の経緯は

 

 03年ごろに、当時在籍なさっていた化学の教員に描いていただき、しばらく教務課の中でかわいがっていました。その後、初年次教育と教職共同をテーマにしたシンポジウムが開かれた際に、「ユータスくんの窓」のアイデアが出され、05年に実際にUTask-Webのページに登場しました。

 

──ユータスくんのこれまでの活躍の場は

 

 皆さんが目にするいろいろな掲示や、時間割冊子の裏にちょこっといたりするなど、ちょい役での登場が多いですね。私が前期課程に在籍していなかったときに、何かに協力してくださった学生さんに、ユータスくんが描かれた感謝状をお渡ししていたこともあったそうです。

 

 また、職員が出張したときには、ペンシルバニア州立大学とハーバード大学の初年次教育部門にユータスくん人形をたくさん持って行ってプレゼントしたり、ペンシルバニア州立大学のマスコットのNittanyLionとコラボした絵を描いてお贈りしたこともあります。

 

 あとは、東京大学愛鳥研究部さんが、サークルオリエンテーションや学園祭のときに、教務課にある巨大ユータスくんのぬいぐるみを借りて行かれたり、東大LEGO部さんに作品を作っていただいたりもしています。

 

──学務システムがUTASになって以降活躍の場に変化は

 

 基本的に大きな違いはなく、ちょい役での登場が主です。UTask-Webがなくなってからは、学務システムのキャラクターではなく教務課が課外活動として運用しているキャラクターという扱いになり、目下求職中となりました。

 

 ですが、実は現行の学務システムのUTASという名前は、当時の学務システムご担当の方がユータスくんの名前に当て字をしてくださったという説もあり、そういう意味では、今でもひそかに学務システムの中に生きているということもできます。

 

──今後のユータスくんの活動予定は

 

 どうしましょうかね。しばらくは今のままの地味な立ち位置にいるのでしょうが、それで十分なのかなと思っています。

 

──ユータスくんが教務課にもたらしたメリットは

 

 UTask-Webや教務課からのお知らせのトップページにアクセスしてもらう、教務課に親しみを持ってもらうという効果については、なかなか測れないですね。あとは、職員の息抜きや窓口での学生との雑談の話題として、緩衝材にはなっていると思います。

 

──ユータスくんのほかに、学生に親しみをもってもらうための活動は

 

 特別な活動はしていません。強いて言うなら、窓口などの対応ではできるだけ学生さんの立場に寄り添い、親しみを持ってもらえるような応対、言葉遣いができるように、どの職員も心掛けています。

 

──駒場Iキャンパスにとってユータスくんはどのような存在ですか

 

 今はいろいろな部署にさまざまなキャラがいますが、その中でユータスくんは最古参だと思います。その点では特別と言えるかもしれません。それくらいかな。ただ、長く続けているので、卒業後、同窓会などの際にでも、そういえばあんなのもいたな、と話の種にでもなればいいな、という感じです。

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