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2025年10月19日

東大、先住民族の遺骨収集を謝罪 返還のためタスクフォース設置も

 東大は10月17日、声明を発表し、先住民族に十分配慮せず行われた遺骨の収集や保管、研究について謝罪した。遺骨返還への対応などを企画立案するため、タスクフォース(TF)を設置していたことも発表した。

 

 東大は17日、ウェブページ上に「遺骨返還等タスクフォースの設置について」と題した声明を発表。東大は国内外の先住民族の遺骨を収集・保管し、研究調査に用いてきたと説明した。収集や保管、研究の中には「先住民族の方々のご意向に十分配慮することなく行われたもの」があり「先住民族の方々の尊厳を深く傷つけ」たとして、厳粛に受け止め反省し、心からお詫びするとした。

 

 設置されたTFは複数の部局からの8人で構成され(表)座長は林香里理事・副学長が務める。TFは、先住民族の権利に関する国連の決議や、アイヌ施策推進法などの関連法規、国内外の研究機関や学会の見解を踏まえ、返還についての方針と、返還を求める地域や団体、個人への対応の方針を明確にすることを目的とする。TFは8月1日付で設置され、すでに調査を始めているというが、保管期間が明治期にも遡るため、調査には時間がかかるとする。調査の経過については適宜説明するという。

 

TFのメンバー
座長 林香里 理事・副学長(国際、D&I)
副座長 齊藤延人 理事・副学長(研究、懲戒、病院)
矢口祐人 副学長(グローバル教育センター、CoD設置準備促進)
吉原真里 グローバル教育センター教授、ハワイ大学教授(1997年よりハワイ大学で勤務)
海部陽介 総合博物館教授(日本人類学会教授)
松田陽 大学院人文社会系研究科文化資源学専攻准教授
武藤香織 医科学研究所ヒトゲノム解析センター教授(医科学研究所研究倫理支援室室長)
金子仁久 医学部技術専門員(医学部標本室)
(表)TFのメンバー(敬称略。◎は座長、◯は副座長)

 

 遺骨の返還をめぐっては、昨年11月に東大から遺骨の返還を受けたハワイ先住民組織の関係者が、東京大学新聞社の取材に回答。文化的な配慮に欠けた対応があったこと、詳細な遺骨の目録を提出するまで一部の遺骨の存在を認めようとしなかったこと、返還後も東大から大学名や東大側の関係者名を公表しないように求められたことなどを指摘し、東大の対応への不信感を示していた。この返還の際には謝罪はなかったというが、一部メディアによると、盗掘されたのち東大に保管されていたとされる遺骨が7月にアイヌ民族の団体に返還される際には、東大の担当者が謝罪の意を示していたという。

 

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