東大は10月17日、声明を発表し、先住民族に十分配慮せず行われた遺骨の収集や保管、研究について謝罪した。遺骨返還への対応などを企画立案するため、タスクフォース(TF)を設置していたことも発表した。
東大は17日、ウェブページ上に「遺骨返還等タスクフォースの設置について」と題した声明を発表。東大は国内外の先住民族の遺骨を収集・保管し、研究調査に用いてきたと説明した。収集や保管、研究の中には「先住民族の方々のご意向に十分配慮することなく行われたもの」があり「先住民族の方々の尊厳を深く傷つけ」たとして、厳粛に受け止め反省し、心からお詫びするとした。
設置されたTFは複数の部局からの8人で構成され(表)座長は林香里理事・副学長が務める。TFは、先住民族の権利に関する国連の決議や、アイヌ施策推進法などの関連法規、国内外の研究機関や学会の見解を踏まえ、返還についての方針と、返還を求める地域や団体、個人への対応の方針を明確にすることを目的とする。TFは8月1日付で設置され、すでに調査を始めているというが、保管期間が明治期にも遡るため、調査には時間がかかるとする。調査の経過については適宜説明するという。

遺骨の返還をめぐっては、昨年11月に東大から遺骨の返還を受けたハワイ先住民組織の関係者が、東京大学新聞社の取材に回答。文化的な配慮に欠けた対応があったこと、詳細な遺骨の目録を提出するまで一部の遺骨の存在を認めようとしなかったこと、返還後も東大から大学名や東大側の関係者名を公表しないように求められたことなどを指摘し、東大の対応への不信感を示していた。この返還の際には謝罪はなかったというが、一部メディアによると、盗掘されたのち東大に保管されていたとされる遺骨が7月にアイヌ民族の団体に返還される際には、東大の担当者が謝罪の意を示していたという。
関連記事