COLUMN 2020年6月27日

何気ない日常に彩りを 「辛い」だけじゃないスパイスの魅力

 単調になりがちな生活に刺激を求めている人も多いだろう。そんな人はスパイスを日常に取り入れてみてはいかが。今回は「日本をもっとスパイシーに」をモットーにスパイスの魅力を広めている東大スパイス部の部員に、スパイスの魅力や楽しみ方、お薦めのスパイスについて話を聞いた。

(取材・米原有里)

 

 主に南・東南アジア原産の調味料、スパイス。味にアクセントを付けるだけでなく、肉を保存するためにかつては貴重な交易品として取引されていた。しかし「日本では保存のために使うスパイスがあまり浸透せず、わさびやからし、山椒など薬味として風味を変えるために使われるスパイスがほとんどです」と語るのは東大スパイス部部長の大野聡真さん(東大理Ⅱ・2年)。「日本のスパイスはピリッと辛いものが多いためか、スパイスは辛いというイメージが強く、抵抗を感じる人が多いようです」

 

 スパイスに対する人々の苦手意識を払拭したいという大野さんは「辛味を付けるためのスパイスは黒胡椒やチリパウダーなど意外と少なく、スパイスの用途はもっと多様です」と強調する。実際、ターメリックなど色付けのために使われるものや、サフランなど香り付けになるものもあり、スパイスの活用方法は幅広い。

 

 スパイスの楽しみ方は料理以外にも広がる。大野さんは「机にスパイスを入れた瓶を置いて、疲れた時に香りを楽しんでいます」。さらに八角(中国料理によく使われるスパイス)など見た目が面白いスパイスも多く、インテリアとしても活用している。部員の山口湧太さん(東大文Ⅰ・2年)も「スパイスを容器に入れて積み重ね(写真1)、観賞して楽しむ他、オレンジの実にクローブ(スパイスの一種)を刺したポマンダー(写真2)と呼ばれる匂い玉を作り、芳香剤として使っています」と語る。

 

(写真1)スパイスを入れた容器を積み重ねた「スパイスタワー」。観賞用に楽しめる(写真は山口さん提供)
(写真2)山口さん手作りのポマンダー。オレンジの実にクローブを刺し、1、2カ月間乾燥させる(写真は山口さん提供)

 

 スパイス初心者にはかんきつ系の爽やかな香りが特徴的なコリアンダーやカルダモンがお薦めだという。「どちらも肉料理からスイーツまで使える優れものですし、疲れた時に匂いを嗅いでリフレッシュすることもできます」。スパイス部では都内の専門店で大量に購入しているが「普通のスーパーマーケットに少量のものが売っているので、まずはそこから初めてみてください」。

 

 スパイスを料理に取り込むにはどうすれば良いのか。スパイスだからといってエスニック料理を作る必要はない。「唐揚げに振り掛けたり、普通のカレーにちょっと足してみるだけで味も雰囲気もガラッと変わります」。スパイスの取り入れ方として、大野さんの一押しはオリーブオイルなどのオイルに乾いりしたホールスパイス(形を潰していない丸のままのスパイス)を入れた「スパイスオイル」(写真3)だという。「油の代わりにこれを加えるだけで料理のレベルがワンランク上がります」

 

(写真3)大野さんのスパイスオイル。オイルとスパイスの組み合わせでさまざまな風味を楽しめる(写真は大野さん提供)

 

 「スパイスは普段の生活に彩りと非日常性を与えてくれます」と山口さん。スーパーマーケットに行ったとき、1種類でもスパイスを手に取って、スパイスの世界に足を踏み入れてみてはどうだろうか。

 

大野 聡真(おおの そうま)さん(東大スパイス部部長)
山口 湧太(やまぐち ゆうた)さん(東大スパイス部会計)

 

味も香りも堪能あれ

 

 スパイスを実際に料理に取り入れて楽しむために、東大卒の食文化研究家であるスギアカツキさんに、初心者でも簡単に作れるスパイスを使ったお薦めレシピを聞いた。

 

 スパイスの魅力を知るためには、おいしい体験が必要です。今回は、インドの家庭料理には欠かせないガラムマサラというミックススパイスを生かしたエスニック風焼き肉を紹介しています。ガラムマサラは作り手の独自の処方によって3から10種類ものスパイスが組み合わさっています。まずはスーパーマーケットで購入したガラムマサラにどのようなスパイスが入っているかを確認してみましょう。そしてそれらがどんな香りでどんな特徴があるのか調べてみてくださいね。

 

 そして問題。カレー粉との違いはどこにあるでしょうか? ガラムマサラの代わりにカレー粉を使って味や香りの違いも確認してみましょう。

 

 

【作り方】

(1)肉を1.5センチメートル厚に切って並べる。しょうゆ、ハチミツ、ショウガ、ガラムマサラを加えてあえる。

(2)オリーブオイルを加えて全体を混ぜ、スライスした玉ねぎも加えて1時間ほど常温で置いておく。冷蔵庫に入れて一晩寝かせてもいい。

(3)漬け込んだ肉を熱したフライパンに玉ねぎごと加えて、両面をこんがりと焼く。火加減は最初は中火で、裏返したらふたをして弱めの中火で5分ほど焼く。

(4)さらに野菜を付け合わせて、焼き上がった肉を盛り付ける。

 

◇記者が挑戦

 

 シンプルな料理手順で、料理が得意ではない記者でも楽しみながら調理することができた。記者が使ったガラムマサラにはコリアンダーやカルダモンをはじめさまざまなスパイスが調合されていた。なじみのカレー風味の中に甘さやかんきつ系の爽やかな香りが感じられ、目を閉じると東南アジアに旅行している気分になれた。普段の焼き肉にガラムマサラを加えるだけで異国情緒を味わえて楽しい食卓となるので、ぜひ作ってみてほしい。


この記事は2020年6月16日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

ニュース:入構制限、キャンパスの現状は 活動制限緩和から2週間
ニュース:新型コロナ 理研・製薬2社と基本合意 治療薬実用化目指す
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ニュース:新型コロナ抗体検査 500例のうち陽性は4人
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ニュース:QS世界大学ランキング、東大は順位二つ下げ24位
ニュース:進学選択 進学志望登録など、1週間程度後ろ倒しへ
企画:論説空間 コロナ禍で理解は進むか 感染症数理モデルの活用 稲葉寿教授(東大大学院数理科学研究科)
企画:何気ない日常に彩りを 「辛い」だけじゃないスパイスの魅力
東大新聞オンラインPICK UP:就活編
東大最前線:コウモリの生態 福井大助教(東大大学院農学生命科学研究科)
100行で名著:『出家とその弟子』倉田百三著
キャンパスのひと:増田裕樹さん(薬・4年)

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