学術ニュース

2014年9月4日

1兆分の1秒以下で1コマを撮影可能 世界最高速の連写カメラを開発

中川桂一研究員(理学系研究科、日本学術振興会特別研究員)らは、全く新しい動作原理による超高速撮影の手法を提案し実証した。1コマあたり1兆分の1秒以下での撮影ができる。研究成果は、8月10日付の英科学誌『ネイチャー フォトニクス』(電子版)に掲載された。

高速度カメラは機械的動作による慣性力や、電気的動作によるデータ転送速度制限・熱の発生など多くの技術的問題を抱えており、動作速度は頭打ちの状態だった。今回、中川研究員らは、光を周波数ごとに異なる時間に撮影対象に当てることによって高速に画像を得るSTAMPという撮影法を考案した。

実証のため、中川研究員らは6枚の連続画像を撮影するシステムを構築した。連続した周波数の異なる6つのごく短い光を物体に当てた後、周波数ごとに分光させセンサーの異なる箇所で一度に画像を得るという仕組み。分光のための手法も、今回のシステムのために新たに開発したという。

このシステムを用いて、レーザー光によるガラス表面の蒸発現象を撮影。1秒あたり654億枚の速さで画像を得ることに成功した。続いて、電磁波が格子振動との相互作用により結晶中を伝わる様子を1秒あたり1・23兆枚で、さらに現象の重要部分は4・37兆枚での撮影に成功した。

今回開発された撮影手法は、細胞での衝撃波伝播過程の解析や新規材料開発に向けた極限状態での物質の振る舞いの観察など、多くの領域の研究で利用されることが期待される。

文・編集部

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この記事は、2014年9月2日号からの転載です。

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