受験

2021年3月26日

現役東大生、「宅浪」を語る!

 

 大学受験には合格する人がいる一方、残念ながら不合格になってしまう人がいます。しかし、その後の選択は人それぞれ。第1志望以外の大学に進学したり、予備校でもう1年勉強したりという選択が一般的です。一方、その中で最も「精神的につらい」と言われるのが自宅浪人、いわゆる「宅浪」です。今回はそんな「宅浪」を経験後、見事東大に入学した3名の方を集め、経験を語ってもらいました! 

(取材:黒田光太郎)

 

オンライン座談会の様子。参加者は趙楠さん(左上)、金子健さん(右下)、千葉徹大さん(左下)、司会の黒田(右上)。

出席者紹介 (所属、学年は取材当時)

趙楠さん:文Ⅰ、2年。都内進学校出身。1浪。

金子健さん:文Ⅰ、1年。都内進学校出身。1浪。

千葉徹大さん:文Ⅱ、1年。高校中退。石川県出身。高卒認定試験を受験し、東大に入学。

 

 

宅浪を選んだ理由

 

  皆さんは自宅で浪人を経験する、いわゆる「宅浪」を経験されたわけですが、そもそもなぜ宅浪を選ばれたのですか?

 

趙:私は現役の時、合格最低点と僅差で落ちてしまったのですが、これくらいなら自分で勉強をすれば合格できると考えました。また、実家の近くには東大コースのある予備校がなく、予備校に通うなら遠方まで行かなくてはならなかったこともあり、とりあえず家で勉強しようと思いました。

 

金子:家族との仲が悪く、予備校に行かせてほしいと言いたくなかったことが一番大きな理由でした。

 

千葉:金銭的な面が大きな理由でした。予備校は高額ですが、宅浪に必要な費用は参考書分だけです。さらに、僕の実家がある石川県には大手予備校がなかったため、宅浪でいいのではと思い、宅浪を選びました。

 

宅浪での経験談

 

  宅浪ではご家族との時間も必然的に増えると思うのですが、ご家族との関係はいかがでしたか?

 

千葉:僕の家族は自由放任主義者だったので、自分で頑張るなら何でもしていいよ、と宅浪を容認してくれていました。支え合って暮らしているので、自分の自由意志を認めてくれたのは感謝しています。

 

趙:私は高校生の時、部活動などで家族との時間があまり取れなかったので、宅浪の間、家族との時間が取れるようになったことがうれしかったです。

 

  趙さんのように宅浪で良かったと思うこともあると思いますが、逆につらかったことなどはありますか?

 

金子:気がめいってしまうことがつらかったです。浪人をする知人は大体予備校に通い、大学に行った友達は大学でのコミュニティーに入ってしまう一方、宅浪の僕たちにはコミュニティーが存在せず、1人で取り組まなければならない点が大変でした。

 

千葉:宅浪ではずっと家にこもって勉強をしているので、代わり映えせず、精神的につらかった、ということはあります。

 

趙:身分がなくなる、ということもつらかったです。浪人中にバイト仲間などに「学生?」と聞かれると「大学生です」と嘘をつくなどしていました。何でもない、という状況が一番悩ましかったです。

 

受験当日から合格発表

 

  そうしたさまざまな状況を抱えて受験本番に臨んだわけですが、当日はいかがでしたか?

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金子:僕は、緊張しませんでした。他の受験生には予備校や高校の先生などが応援に駆けつけている場合が多いと思いますが、宅浪にはそれがなく、逆に周りの受験生とは違うんだぞ、という「優越感」みたいなものを感じ、安心しました。

 

趙:そうした予備校などの「応援団」の中に先に東大に合格した友人がたまたまいたり、キャンパスの中にも知り合いがいたりで、緊張がほぐれました。久しぶりに会ったのでとても嬉しかったです。

 

  こうして皆さんは見事東大に合格された訳ですが、合格したことが分かったときはいかがでしたか?

 

千葉:受験した後に合格したという手応えはありました。合格していることが分かった瞬間は「受かったんだ」と平然と受け入れました。入学資料が届くと、受験勉強のつらかったことも思い出され、喜びが吹き出しました。

 

金子:合格したことが分かったとき、うれしかったのはもちろんですが、1年前に宅浪を選んだ選択は間違っていなかった、という喜びもありました。

 

千葉さんの年間勉強計画表。宅浪では自分で勉強計画を立て自身の進捗を管理する必要があるが、その分自由がある。

 

宅浪の良いところ、悪いところ

 

  ご自身の経験を振り返ってみて、宅浪の長所や短所はありますか?

 

千葉:長所は自由であることですね。時間を自由に使えるので、自分の好きなときに好きな勉強ができる。さらに、勉強をする分量も自分で決められる。こうした自由は自分にとってはうれしかったです。一方で、自由に時間が使えることは、自由に怠けられることでもあるので、短所にもなるかもしれません。

 

趙:浪人生活が始まり、最初から勉強をガツガツしている受験生は息切れしてしまうと思います。その点宅浪は自分で勉強量も調整できるのでメリハリをつけた生活ができるのが長所だと思います。しかし、これは遊びすぎることにもなり得るので、短所にもなりますね。

 

金子:僕も同じことを感じました。だから、6月くらいまで遊んでいましたし、その後も月1くらいでサイクリングなどにも行っていました。

 

  宅浪を勧めたい人はどういう人ですか?

 

趙:メンタルが強く、1人でいても気がめいらない人ですね。さらに宅浪では家族との時間が増えるので、家族との仲がいいことも大切だと思います。

 

金子:ただメンタルが強くても駄目ではないでしょうか。僕はメンタルが強いと思っていましたが、気がめいってしまいました。そう考えると、支えてくれる人がいることの方が大切だと思います。さらに、自分が不合格になった理由が分かっている人に宅浪を勧めたいです。

 

趙:確かにそれは大切かも。全体的に学力が足りていないのなら、予備校に通った方が良いかもしれないですが、ある教科だけが苦手など、局所的に足りないのであれば、自分に合った勉強ができる宅浪が良いと思います。そのように自分の足りない点を見極められる人は宅浪が向いていると思います。

 

受験生へのメッセージ

 

  最後に宅浪をしようか迷っている受験生にメッセージをお願いします。

 

千葉:浪人の期間を「もう1年勉強しなくてはならない期間」と考えるのではなく、「自分がしたいことができる猶予期間」と考えることで、その期間を有効に活用してほしいです。そして、最後にはその努力に対する喜びを感じてほしいです。

 

趙:宅浪の人にしかできない経験もあり、宅浪は変わった経験だと思います。自分でするべきことを考え、こなしていく、ということはこれからの生活にも活用できるので、そうした経験を生かしていってほしいです。

 

金子:宅浪をするのであれば、大学で勉強するような勉強をしたり、本をたくさん読んだり、教養を積むことが大切ではないでしょうか。これで落とすのなら大学が悪い、といえるほどの教養を身に付けてはいかがでしょうか。

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