受験

2026年2月19日

試験当日をイメージして備える

 

 

 この記事では、本番でこそ最高のパフォーマンスを出すために、試験を受ける上で意識した方が良いと思われる点を、記者の経験と絡めてピックアップする。取るに足らないように思えるものも含まれているかもしれないが、合格をつかみ取る上ではどれも事前に念頭に入れておくに値する重要なことだと思われる。今、この記事を読んでいる受験生の皆さんの中には、不安を抱えている人もいるかもしれないが、そんな状況を打破しようとわざわざ東大新聞を手に取っている熱心なあなたなら、きっと大丈夫。いつもとは違う環境でもベストを尽くし、最善の結果でゴールを迎えられることを心から願うばかりだ。(執筆・加藤悠介)

 

1. 急な「トイレに行きたい!」

 

 試験直前や試験中、ふと体に違和感を覚える。そして気付く。 もしかして、自分はトイレに行きたいのか? せっかくの試験の時間をトイレに費やしたら、時間が足りなくなってしまうかもしれない。しかし、このまま我慢し続けたら試験に集中できないかも。急に湧き立った焦りを前に、せっかく保っていた集中力や思考力がみるみると消えうせてしまう……。このような負のジレンマに直面することが怖くて、記者はあらゆる対策を講じた。

 

 まずは前日から。本番でのコンディションを整えるために、前日から対策を打つに越したことはない。25日に読んでがっかりした方もいるかもしれないが、翌日も試験は続くので、参考にできる部分は少なからずあるだろう。筆者は、次の日に腹痛を起こさないよう、普段食べ慣れていなかったり、胃に負担が大きかったりするものを食べることは極力回避した。勝負に勝ちたい気持ちは当然あったが、カツ丼は自制せざるを得なかった。地方から上京してきた受験生は東京の飲食店の多さ、豪華さに圧倒されるかもしれないが、刹那に湧いてきた食欲のまま、食べ尽くすことのないように。1日目の夜も、つかの間の解放感に駆られないよう注意が必要かもしれない。そして、試験当日。朝食、昼食ともに腹八分の量を意識すると同時に、持参した温かいお茶を飲み過ぎないようにした。朝、試験会場の門の前で整列する際は特に寒さを感じるだろうが、お茶は尿意を引き起こしやすいので注意しなければならない。

 

 また、いつも以上にトイレへ行く頻度を多めにした。ホテルから出発する前。駅でも電車の待ち時間。特に、休憩時間ごとに必ず1回はトイレに行くようにした。「行かなくてもいいだろう」というその見通しがうまくいく保証はどこにもない。事前に打てる手は打ってしまおう。試験教室付近のトイレは混雑しやすいので、屋外の仮設トイレの利用などあらゆる選択肢も考慮に入れておくと良いだろう。それでも、どうしてもテスト中にトイレへ行きたくなることもあるだろう。その際は、遠慮せず試験官にその旨を伝えてみよう。我慢し続けるのは健康面でもパフォーマンス面でも悪い方向へ進んでゆく一方だからだ。

 

2. 周りの受験生にモヤモヤ

 試験会場に足を踏み入れると、当然あまたの受験生を見かけることになる。特に同じ教室にいる人たちは、同じ科類を受験する点で狭き門へ競い合うライバルとも言える。試験は個人プレーであり、自分が最大限実力を発揮できるよう集中できるのが理想だが、非日常的な空間にいる以上はどうしても周りの言動が気になってしまうこともあるだろう。ここでは、周囲に関連した記者の実体験を取り上げてみる。

 

 1日目、初めて会場となる教室に足を踏み入れた時には既に何人かの受験生がいた。最初の科目は国語なので、彼らは古典の暗記事項を確認していた。よく見ると、彼らが手に持っている参考書は、都内の名門学習塾のオリジナルテキストや自分が持っているものよりはるかに分厚く、充実していそうな単語帳ばかり。学校でもらった参考書だけで勉強してきた自分は、彼らよりはるかに勉強量が劣っているのではないか。彼らと本当に戦えるのだろうか。急に不安に襲われた。とはいえ、今から新しい参考書を手に入れるわけにもいかないので、仕方なく再び持参の単語帳を読むことにした。

 

 すると、今自分が持っている参考書がとても古いものに見えた。授業中のメモ。なかなか覚えられなくて何度も引いた蛍光ペンの痕跡。自分なりに、この参考書と全力で向き合ってきたではないか。毎日顔を突き合わせたからには、きっと不足ない範囲で知識が身に付いているはずだ。こうして、再び最後の確認に専念することができたのである。

 

 同じ会場に集う受験生の出自は千差万別であり、自分にとってなじみのない彼らの努力の痕跡に触れる機会は少なからずあるだろう。筆者のように、自分と比較して不安に駆られる危険性もあるかもしれない。そんな時こそ、いつも自分が日々行ってきたルーティーンに立ち戻ってほしい。なじみ深い参考書。自分の好きな音楽。テスト前にこっそりやっていたおまじない。どんなことでも構わない。今までの自分を信じ、周りに流されないいつも通りの状態でいられるよう、少し意識してみてはいかがだろうか。

 

3. 終了後の空白時間

 

 1日目の数学、2日目の英語が終了した後、全答案が無事に回収されたか否かの確認が行われる時間が存在する。この間、受験生は離席、退室することは原則許されず、椅子に座って空白の時間と向き合わなければならない。加えて、退室が許可されるまでにかかる時間は教室ごとにまちまちで、1時間以上の待機を強いられうる。この時間を、どう使えばよいのだろうか。あまりにもささいなことのように見えるかもしれないが、実は試験を自分の望む結果にするヒントが詰まっているのだ。

 

 受験生だったときの筆者は、事前にこの空白の時間の存在を全く知らなかった。1日目は終わったばかりの数学で自分の考えが正しいかどうしても気になってしまい、問題用紙とにらめっこして時間を浪費してしまった。たまたま持っていた社会(2日目の午前)の参考書で暗記事項の復習をすべきだったと思う。結果として重大な計算ミスを発見してしまい、一時的に大きくモチベーションが低下してしまった。与えられた時間を十分に有効活用する姿勢は、最後の最後まで忘れないでほしい。



 2日目の英語が終わった後はすべきことが全く思いつかなかった。途中で電子端末の利用が許可されたが、多くの受験生がアクセスしていたからか電波が悪く使い物にならない。勉強という義務から解放された時間だが、制約が多く中途半端な状態だった。ふとリュックサックに目をやると、日本史の資料集が目に留まった。何気なく手に取ってページをめくってみる。1日目のこともあり試験で問われた箇所は避けて資料を読んでみると、受験期の「暗記しなければならないもの」ではなく勉強し始めたときの「面白いもの」という印象がよみがえった気がした。自分の関心に基づき学ぶことを選ぶ大学生の感覚を少しだけ先取りできたようにも思える。

 

 試験に臨む際にはこんなことを想定する余裕などないかもしれないが、義務的な勉強から解放される時間は割とすぐにやってくる。自分が好きだった小説、心から楽しいと思えた科目の教科書などをリュックサックなどに忍ばせておいても良いのかもしれない。最後にささやかなご褒美がある──。このことを念頭に入れておけば、たとえ1日目で思うようにいかなくても、2日目も最後まで頑張ろうと思えるだろう。少し遅れて、勝利の女神がほほ笑んでくれる可能性に賭けてみても良いのではないか。

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