COLUMN 2019年11月28日

推薦の素顔 村本剛毅(むらもと・ごうき)さん(理Ⅰ・1年→工)

 

次々と花開く好奇心

 

 芸術やものづくりが好きで、大学受験では表現手法を究めるために東京藝術大学も考えた。しかし「表現するとは何か、みたいな、根本的な問いにも向き合いたいと思ったんです」。人工の知能や身体、生命に関する研究などを通じて、人間の思考や動作の本質に迫ろうと、東大の工学部を選んだ。

 

 芸術と学術の両方に根差す姿勢は、高校生の頃から既に芽生えていた。オーケストラ部ではミュージカルの監督・脚本・演出を担当。演技初心者の部員が多い中で一人一人の魅力に向き合い、2000人規模の観客を動員した。物理の授業では「入賞すれば米国に行けると聞いて」国際コンテストに向けた本格的な実験に熱中。イルカが口から吹き出す泡「バブルリング」を多角的に分析し、米国行きの切符を勝ち取った。

 

 こうした多彩な活動で発想力の下地が培われた。推薦入試の面接では「最後に何かあれば」と聞かれ、とっさに「人間は機械が見た夢を観測できるのでしょうか」。面接官が真剣に悩む姿から、悩みつつ選んだ環境の魅力を再確認し、安心した。

 

 大学では工学関連の研究室や学外のアーティストと協力し、アイデアの具現化を模索する。「頭だけ使っても固くなって楽しくないですし、技術が未熟でもできることはあります」。例えば最近取り組み始めたのは「鏡にのみARを適用する眼鏡や端末」により「個々人がそれぞれ独自の鏡の世界を所有する社会」を体験するプロジェクト。「生きるために世界を地球として共有せざるを得ない私たちにとって、鏡の世界はちょうどいい場所です」

 

 取材後、撮影中に「写真には興味はないんですか?」と聞いてみた。「もちろんあります。今考えているのは、目を細めるとレンズの時間がその分スローになるというように、目に関する身体動作に応じて時間軸が変わるカメラです」。好奇心の種はそこかしこに散らばっている。

(取材・撮影 小田泰成)


この記事は2019年11月19日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。

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