LATEST NEWS 2014年6月5日

オンライン授業を教育にどのように活かすか 濱田総長との全学懇話会レポート

5月26日(月)に、「オンライン授業を教育にどのように活かすか」をテーマに、総長との全学懇話会が開催された。情報学環の山内祐平准教授、大学総合教育研究センターの宮川繁特任教授、法学政治学研究科の藤原帰一教授が話題提供者として講演し、パネルディスカッションを行った。

総長懇話会.png

(濱田純一総長は、冒頭で、「オンライン化が進むなかでこれからの教育の姿をどのようにすればよいのかを思いを巡らせる時間になれば」と挨拶した。)

MOOCの歴史と展開

山内准教授は、「MOOC(Massive Open Online Course)の歴史と展開」と題し、MOOCのこれまでの動きと、現状の取り組み、MOOCの世界的な広がりの背景について述べた。

MOOC(大規模公開オンライン講座)とは、オンラインで誰でも無償で利用できるコースを公開し、修了者に修了証を発行するサービスである。

MOOCの将来像として、山内准教授は、高等教育に巨大な新市場が生まれる可能性、大学の授業に影響を与える可能性、就職・転職に影響を与える可能性を指摘した。

東京大学もMOOCに参加しており、Coursera(https://www.coursera.org/utokyo)では、2013年度にカブリ数物連携宇宙研究機構の村山斉機構長・特任教授、法学政治学研究科の藤原帰一教授の講座を公開し、5000人を超える修了者を輩出している。また、2014年度も新たな講座を公開する予定である。

edX(https://www.edx.org/school/utokyox)では、副学長・大学院情報学環の吉見俊哉教授のコースが10月に公開される。

このようなグローバルなコースもある一方で、ローカルなオンライン講座の動きも見逃せない。日本語でのオンライン講座としては、gacco(http://gacco.org/)がある。gaccoでは、東京大学史料編纂所の本郷和人教授の授業が4月に公開され、20000人以上の受講者、3000人のレポート提出があった。

MITにおけるOpen Educationの取り組み

宮川特任教授は、MITでの教授時代(現在は、大学総合教育研究センター特任教授と兼任)、MIT OPEN COURSE WARE(OCW)(http://ocw.mit.edu/index.htm)の開設に携わったことから、MITにおけるOpen Educationの取り組みやオンライン授業の役割について述べた。

2000年頃から、「誰でも登録でき、MITの授業のリソースを使えるようにする」という理念のもと、学習用の画像や、授業ノートをクリエイティブ・コモンズで提供するようになる。MITがMOOCやOCWを行う利点としては、世界中から優秀な学生を集めることができる点、さらにそれによって現在MITに通う他の学生にインパクトが与えられる点などがあるという。

また、オンライン授業から対面の授業へのフィードバックできる点もあったという。MOOCでのオンラインの評価テストは、瞬時に評価(反応)を行うことができ、これを対面の授業では、間違えた箇所に関しては2週間以内にもう一度テストを受けることができる。その評価方法を通常の授業にも用いたところ、成績が向上した。また、オンライン授業と対面の授業を組み合わせた反転授業(※)によって、対面でインタラクティブな授業を行うことができる。対面授業では、リーダーシップ・チームワークなどの育成を行うことができる。

実際にMOOCで授業した立場から

藤原教授は、自身が実際にCourseraでオンライン授業を開講した(https://www.coursera.org/course/warandpeace)経験から、MOOCを行うことの難しさとおもしろさ、そして今後の課題について述べた。

藤原教授は、オンライン講座を開設する以前は、MOOCは一方向の伝達の授業であるため、答えの無い問いを考えさせることができるのか、そして、受講者の学習レベル・社会背景の多様性がどのように作用するのか、という疑問を持っていたという。

実際にオンライン授業を開設するにあたり、通常の授業とは異なる難しさとして、講義ビデオを10分ごとにきりわけ、その動画ごとに問いをつくる作業、レポート課題を受講者同士で採点させる際の採点基準をつくる作業などを挙げた。一方で、MOOCの掲示板では、世界中の受講者が、国境を超えたディスカッションを行うなど、MOOCならではのおもしろさもあったという。

今後の課題としては、反転授業の有効性と限界を考えていく必要性、ビジネスモデルとしてのMOOCについて考えていく必要性があるとの見解を示した。

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パネルディスカッションでは、学生や教員から、オンラインで行うテストでは不正への対処はどのように行うのか、多くの授業が開設されているが、それらの授業は淘汰されていかないのか、公開するにあたっての課題としての著作権についてなどの質問があがっていた。

MOOCの動きはまだまだ始まったばかりといえる。今後どのようにオンライン授業が発展していくのか注目である。

※オンライン授業と対面授業を組み合わせた反転授業について、東京大学の取り組みもあるので、そちらも参照されたい(http://flit.iii.u-tokyo.ac.jp/)。

文・写真 オンライン編集部 青木翔子

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