2019年8月28日

新たな磁性材料「磁気スキルミオン」開発 次世代デバイスへの応用が期待

 車地崇さん(マサチューセッツ工科大)、十倉好紀教授(工学系研究科)らの共同研究グループは、磁気スキルミオンという微小な磁気渦を形成する新たな磁性材料の開発に成功した。次世代のデバイスとして注目されるスピントロニクスデバイスへの応用が期待される。成果は8日付の米科学誌『サイエンス』(電子版)に掲載された。

 

 磁気スキルミオンとは、磁性を帯び得る物質に存在する棒磁石のようなものである磁気モーメントが、渦状に並んだ状態。電子の回転であるスピンのねじれにより安定化する。巨大な仮想の磁場を引き起こすため電気的に検出可能で、磁気メモリなどへの応用が検討されてきたが、空間的に非対称な物質にのみ現れるとされ、応用可能な材料の開発に制約があった。

 

 本研究では、磁気フラストレーションという現象に注目。二つの磁気モーメントの相互作用が拮抗し、安定な磁気状態が一つに定まらない現象のことで、空間的に非対称という制約を脱することができると期待された。

 

 そこで、空間的に対象な化合物であるGd2PdSi3の単結晶でのスピンのねじれを調査。単結晶の三角格子に垂直に磁場をかけた時のみ、磁気スキルミオンが規則的に並ぶ様子が観測された。この磁気スキルミオンは従来に比べ安定化・小型化した他、電気的な信号として検出することにも成功した。今後、より巨大な電磁気応答を示す物質の探求の進展が見込まれる。


この記事は2019年8月27日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。

 

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