INTERVIEW / FEATURE 2014年10月24日

【躍進する地方高校の実態】『最後まで諦めず』合格者伸ばす岡山朝日高校

東大は、関東以外の地方出身が比較的多い。東京大学新聞社が2014年度学部入学者全員を対象に実施したアンケートによると、出身校の所在地に関する質問で「近畿」「中部」「九州・沖縄」「中国・四国」「東北」「北海道」の合計は40%を超えた。一方、各大学発表データによると早稲田大学と慶應義塾大学は約25%で、東大より少ない。 東大合格者が多い高校としては首都圏の有名校がよく話題になるため、地方の高校の実態が知られる機会は少ない。しかし地方にも東大合格者が10人を超えるほか、科学オリンピックで顕著な成績を上げるなど成果を出している高校は多い。この連載では、東京から離れた地域で多くの東大合格者を輩出する高校を取材した。 岡山県立岡山朝日高校は、14年度入試の東大合格者数が23人(うち現役11人)と地方公立高校トップクラスだった県内有数の進学校だ。13年度は10人(うち現役5人)で、14年度に大幅に増えた。科類別では14年度に文Ⅰが9人と多い。 共学で1学年の定員は360人。文理選択は2年次で、多様な進路選択に対応している他、現在ではあまり見られなくなった既卒生が対象の補習科も併設されている。岡山朝日高校の好調の理由について、進路指導課課長の藤井省吾教諭、副課長の田中晴美教諭に聞いた。 岡山朝日.JPG ――岡山朝日高校の特徴は 藤井教諭:勉強はもちろん、それ以外のことにも周りから言われずに自分で考えて取り組む生徒が多いです。受験でもそのような生徒が良い結果を残すような気がします。難関大に進学する生徒は部活動などの課外活動にも積極的に取り組んでいた印象がありますね。 ――補習科があるメリットは何か 田中教諭:一つは経済的なことです。外部の予備校などで勉強する既卒生は比較的少なく、例年約100人が補習科に入科します。大半の予備校と違ってスポーツ大会や餅つき大会などの行事もあり、生徒の良い息抜きになります。よく見知った生徒や先生と仲間意識を強め、受験に団体戦として臨めますね。補習科の存在によって、浪人を過度に恐れず第一志望を貫くこともできているようです。 ――14年度入試の結果をどう見るか 田中教諭:東大が多かった理由としては文系に数学が得意な生徒が多かったことがあります。浪人生も諦めずに第一志望を貫いたのが大きいです。 藤井教諭:14年度入試は旧課程最後の入試でしたが、影響は限定的でした。特に東大をはじめ旧帝大クラスを志望する生徒は、浪人した場合の困難を恐れて志望を下げることは少なかったと思います。 ――14年度入試では、地方の優秀な受験生の多くが地元の医学部を受験したという報道が多くの雑誌などでみられるが 藤井教諭:確かに医学部志望者は増えました。今まで30~40人程度でしたが今年度の志望者も多く、50人を超えています。しかし東大志望者がそれに伴って大きく減ったわけではありません。 田中教諭:例年卒業後は男女関係なく岡山を離れる傾向が強いです。東大志望者は受験先を京都大学と迷うことは多いですが、岡山大学など地元の医学部と迷うことは少ないです。 ――東大受験を後押しする取り組みはあるか 田中教諭:「東大・京大ガイダンス」と称したOB・OGとの懇談会が毎年8月にあります。2年生のみ対象でしたが13年度から1年生も参加しています。2年生の修学旅行でも東大でOBが所属する研究室やJAXAなど首都圏の最先端の研究施設を例年見学します。東大の先生方による講演会もあります。これは全校生徒に学問の面白さを知り教養を深めてもらうという点で成果が大きいです。 ――東大は16年度入試から推薦入試を導入するが 藤井教諭:推薦要件が論文執筆経験や外部大会など、公立高校には厳しいと思います。毎年推薦要件を満たす生徒がいるわけではありません。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)やスーパーグローバルハイスクール(SGH)でない公立高校の生徒は普通、論文を書く機会は少ないでしょう。論文執筆などができる環境の有無で決まってしまう懸念があります。 田中教諭:推薦要件を見る限り、全国から生徒を集めるというより、トップ層の確保を目的としている気がします。公立高校では科学オリンピックなどの外部大会より学校行事が優先という雰囲気が強いです。もし地方公立高校の生徒を求めているのであれば、東大には実態に即した対応を期待したいです。 (取材・文 小原寛士)

 

【躍進する地方高校の実態】

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