キャンパスライフ

2017年4月7日

【サークルペロリ】丁友会 学生が東大工学部と社会を結ぶ

 象牙の塔にこもり、研究室で黙々と実験にいそしむ印象が根強い理系の学部。そのうち最多の学生数を誇る工学部で、学生と学部、そして社会の間をつなぎ工学部と工学部生を活性化すべく活動している団体がある。「丁友会」だ。

 

 工学部生全員が会員となり、その中の有志が委員として業務に当たる丁友会。活動の中心は、さまざまなイベントの企画・運営だ。東大には特に少ない理系女子学生の交流会、工学部を目指す2年生向けの学科ガイダンスなど、工学部生のニーズに直結したイベントが多い。例えば、就職している理系OB・OGと交流できる「冬季産業セミナー」には三菱電機や新日鐵住金など多くの大手企業が出展し、理系学生向けに特化した数少ない就活イベントとして好評を博している。

 

 中でも最大のものが、小中高校生に「工学」の一端に触れてもらい、工学部の魅力を伝える「Techno Edge」。紙に描くと電気を通す「銀ナノインク」のペンを使ったワークショップなど、子どもも喜ぶ展示が並ぶ。昨年は自由研究の題材を求める小学生ら2万人もの来場者を集め、多くの研究室や科学系サークルが出展する「工学部の学園祭」として定着している。

 

丁友会が開催するイベント「Techno Edge」。子ども向けサイエンスショーは、立ち見客も出る盛況ぶりに(写真は丁友会提供)

 

 丁友会は、企業との折衝から行程表作りまで、これらのイベントの準備を一手に担う。その幅広さは、委員の高柳佳織さん(工・4年)が当初「学生でもこんなに多くのことができるんだ」と驚いたほどだ。

 

 学生代表の上条陽さん(工・4年)は、丁友会の魅力を「昨年度の成果にとらわれず、委員の裁量で一からイベントを企画できる」ことだと語る。昨年のTechno Edgeでは春から夏に開催時期をずらし、出展団体数もおととしの10から25に倍増。東京23区ほぼ全ての小中学校に計30万枚ものビラを配布するなど宣伝も拡充した結果、一部のブースが1時間待ちになるなど「来場者を呼び過ぎちゃった(笑)」というほどの盛況となった。「企画を作っていると、周りの委員から『自分たちでイベントをどんどん良くしよう』との思いが伝わってきます」と高柳さん。本年度も、フリーペーパーの制作や写真コンテストなど新たな試みを模索している。

 

 裁量が広い分、一人一人の責任も大きいが、慎重に検討を重ねて工夫を凝らした企画が成功したときの喜びはひとしおだ。研究室を飛び出し、学生自ら社会との接点を探る姿に、工学部の未来を見た。


この記事は、2017年4月4日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

 

 

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