就活

2014年7月2日

就活で”真っ向勝負”はするな コネを作るべき

こんにちは、大熊(くまりん)です。
先日久しぶりに大学に行ったら、経済学部3年の後輩たちが不慣れなスーツを着込み慌しそうにWebテストを受けたりグループディスカッションの練習をしていました。
今が外資系の大半と日系の一部が開催するサマーインターン選考まっさかりです。
大手意識の高い学生にとっては、日系就活解禁を遅らせたのは長期化を招いただけですね。

「新卒で新聞社に就職」に対して、就活してないメディア人志望の学生が思うこと

先日こういう記事を書いたのですが、より一般化して就活の話をします。今日はメディア論関係ないです。
僕の主張は「行きたい会社が明確な人と、超優秀ではない人は正攻法の就活をするな」です。

何故なら、無闇に死ぬことになるから。

どういうことか。最近は批判も強いですが、「リクナビ」や「マイナビ」が大量のエントリーを煽ってきます。
リクナビ
(デイリーニュースより引用)
結果、大手企業では倍率数百倍も珍しくなくなったのは衆知の事実です。これは何を引き起こしたか。

「そこそこ優秀」な学生は大変

内定が出まくる人と中々でない人に二分したのです。会社によって「優秀な学生」「欲しい学生」の定義は違うものの、何か秀でた人は余所でも秀でていると評価されがちで逆もまた然り。
で、全然でない人はどうするのかというと、とにかく受けまくる。実感ベースで、東大経済学部生の5~6割が該当します。20~30社は当たり前。頑張って3000字書いたESも数社からは切られる。何回もOB訪問繰り返し、面接の練習しまくる。そして何とか1,2社に内定する。
まあ、しんどい流れなわけです。メガバン志望者なんか、平日の昼間でも何回もリクルーターから呼び出されていました。それでも最後は電話一本で落とされたりします。
結果、かろうじて受かった会社に対する忠誠心が物凄く高くなり、「オレたち、すごくね?」とか思うようになったり。

意外に知られていないが、内定者に強烈な選民意識と自己陶酔感を与えて正社員メンバーの一員として4月1日に迎え入れることも、採用セクションの重要なミッションだ。

就活コンサルの城繁幸さんが言うようにこれもまた企業側の戦略の一環です。内定後の満足度が高いのはいいことでしょう。しかし入社3年後の離職率は30%という時代で、バカ正直に必死に選考フローに乗ることは、果たしてそれでも合理的ですか?

運まかせの面接を受けるという巨大なリスク

そして日系大手採用で最大の勘所となることの多い面接では、「大学時代に頑張ってきたこと」がすさまじい勢いでコモディティ化します。
途上国にボランティア行ったとか、世界一周したとか、体育会で全国大会出たとか、サークルの代表だったとか。
さんざ言い尽くされてるから「またか」と思うだけで、よくよく考えると本当にやってのけたならどれも凄いわけです。が、10000人も集まるとそういう人が大量に出てきちゃう。何もやってこなかった学生も真似たり盛ったりしてくるので、ちゃんとやってた学生にとって損。本当は彼らの4年間に、価値のある物語があるのに。これは本当に悲しいです。
結局「頑張ってきたこと」も「御社で成し遂げたいこと」もほとんど誰も差別化できないから、面接官との相性とかその場のちょっとしたノリで合否が左右されてしまいます。

面接官「あなたをモノにたとえたら?」学生「はい。消しゴムです」お互いが真剣に迷走中!「人物本位」の就活、こんなにヒドいことになっていた

更に、企業側は無理やり差をつけようとこんな無意味な質問も飛ばしてきます。しかも、最初の段階では人事でもなんでもない、面接初心者が担当してたりもします。

学生同士のグループディスカッションによる選考も、グループにわけのわからない持論を展開して主導権を握ろうとする通称「クラッシャー」がいると議論がぶっ壊されて全員落ちるなんてこともあります。もちろんクラッシャーをなだめつつ議論をリードできればそれにこしたことはありませんが……。

こちらからは面接官も、同じ面接グループの学生も選べません。

だから結論、「面接」に正々堂々と行った時点で負けです。

「コネ」を作るべき。どうやって?

じゃあどうするべきなのか。答えは「コネをつくって、決定権のある人に営業しろ」です。
コネという言葉に卑しい響きを感じるかもしれませんが、実はとてもポジティブな言葉であることを説明していきます。
まず例をあげましょう。

君に友だちはいらない

君に友だちはいらない [単行本]

瀧本 哲史
講談社
2013-11-13

瀧本哲史さんの著書「君に友だちはいらない」で、物議を醸した岩波書店の採用方法が紹介されます。
曰く応募資格に「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」を明記。
この方式には非難が殺到したそうですが、瀧本さんが解説しているように、編集者志望だというのなら作家の1人ぐらい引っ張ってこれないと話にならないのは当然とも言えます。

これって多くの職種に当てはまりますよね。営業志望なら、顧客に飛び込み営業できないようでは(ry。
企画志望でも、お偉いさんを直接説得できるプレゼン能力がないようでは(ry。
業界によっては、例えば銀行なんかは、「忠誠心」が大事な要素だからあんまり効果がないし、官庁は民間のように柔軟な意思決定はできないから難しいというのはあるでしょうが。

ドワンゴ・川上量生会長 「受験料徴収」の真意 大量の”廃人”を生み出す「就活」

大量にエントリーして1つも受からなかったら、説教をしますね。「なぜ早く俺に相談しないのか」と。入りたい会社があるなら、父親である自分にそこにツテがないかを確認するのが頭のいいやり方だと思います。大量にエントリーするなんて、何を勘違いしているのか……。自分の力を過信してますよね(苦笑)。

正々堂々と闘い、玉砕する弱肉強食の社会が「美しい」とは、僕は思いません。

自社のエントリーに受験料を課したドワンゴの川上会長もこう言っています。
勿論、コネなんて最初は持っていない人が大半でしょう。じゃあどうすればいいか?いきなりFacebookでメッセージの絨毯爆撃とかだとレスポンスは期待できません。取材の合間などを狙って飛び込み営業しに行くのは一つの手です。
もしくは、自分の知り合いの中で最もコネのありそうな人に相談する。その人に紹介してもらった人を辿って、また辿って……とどうにかアポを獲得する。

もちろんOB訪問の門戸は広く開かれています。電話一本かメール一通で、若い年次の人には会いに行けます。
商社などでは、OB訪問で見込みあると見られたら上に報告してもらえるそうです。
でもそれよりも、がんばって人事部長や役員、社長に会いましょう。採用に直接影響を及ぼせるこの人たちに「面白い」と思われることが大事です。

準備万端で営業できるというメリット

営業しろといっても、準備なしにとにかく行けと言うわけではありません。礼を失してやっても逆効果なだけなのは言うに及びません。
むしろ「あなたをモノにたとえると?」が来かねない面接と違って、アポを取り付けて対面で会えばこちらから話題を用意し放題なわけです。
自分の売り込みプレゼンを完全に準備した状態で会える。他には例えば、友だちと数人がかりで作り上げた精緻な「貴社の位置する業界展望レポート」とか創ってプレゼンしてみてはどうですか?

こういうのは、面接に自信がない人こそやりましょう。「バカとブスこそ東大へ行け」と同じです。
全く卑怯でもなんでもないですよ。企業だって、某大生だけとか、某社のインターン参加者だけとか、某サークル関係者だけに少人数の特別セミナー開いたり特別な選考フローを用意したりとかやってますから。
また、たとえ超優秀であっても、どうしても行きたい1社がある人もやった方がいいです。エントリーシートで切られるなどの事故に遭う可能性は超優秀な人にだってあるからです。

こんなことが本当にできるのか?と思うかもしれませんが、実際に社長にアポをとってプレゼンしたのがきっかけで金融機関で働くことになった知り合いはいます。

学生が積極的に「差別化」に動いてシステムを変えよう

就活は、学生にとってはお目当ての企業からなるべく好条件で内定を得るゲームです。で、「差別化」が攻略のキーになってくるわけです。そして、比較不可能なものは過大評価してもらいやすいのです。
だから、正攻法とは何かを理解したうえで、なるべくそれから外れた妙手を打つことが必要です。
「コネを作って営業」も、いずれコモディティ化するかもしれませんが今のところやってる人は少ないのでチャンスです。

とにかく、文科省も「おいおい、ちょっと今の就活状況ってやばいよ」というムードで、社会人達も「おかしくないか?」と思い、企業側もひいひい言ってるのが現状の新卒就活システムです。しかし肝心の学生は、情報の非対称性によって一番被害に遭っているのに、仕組みに乗っかるしかなくなっています。イノベーター層の学生が率先して変わっていけば、いずれ「リクナビモデル」は立ち行かなくなり就活はおそらく変わります。
そもそもかつてリクルートの社訓は「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」でした。リクナビが今それを体現出来ていないのなら、学生側が実践してやれば面目躍如です。

1人でも行動されるといいなと思いながら主張を終えさせていただきます。

39578.jpg

※こちらの記事は、ジャーナリスト志望の東大生・大熊将八さんのブログの転載です。

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit

   
           
                             
TOPに戻る